夢の中で

おかーさーん、と小さな子どもの声が聞こえたような気がして目が覚めた。夜中の2時。トイレに起きようか寝てしまおうか迷って、トイレに立つ。
なぎぃの部屋のドアが1センチ程開いていたのでソッと閉めた。
その時、もしやと思い玄関を見た。
なぎぃの靴はない。
部屋はもぬけのからだ。
夫の仕事の手伝いで一日働いて、くたびれて早く寝てしまったはずだった。
耳におかーさーんと言う声がこびりついて、胸騒ぎがした。
そのまま寝ようとしたが寝つかれず、なぎぃにメールした。
返信はすぐに返ってきた。
大丈夫、元気だから、夕方には戻る。
ホッとしてベッドに潜りこんだ。
その午後、財布を落としたと涙の顔文字付きでメールが来た。
驚いて電話すると、天神にいると言う。
交番にも届けたし、銀行カードは別にしていたのでお金は下ろしてとりあえず帰って来ると言う。
クレジットカードは止め、保険証は今日市役所で再発行してもらう。
なんとか落ち着いて疲れて寝たなぎぃ。
夜、青い顔をして部屋から出てきた。クレジットの引き落としが今日で通帳に残高がないから出掛けなければと言う。
夫がインターネットバンキングで振り込んで事なきを得たが、なぎぃはかなりダメージを受けたようだ。
社会勉強だと、夫が自分に言い聞かせるように言った。