らんすぴらしよぉん(l'inspiration) 

田窪与思子のインスピレーション
(L'inspiration de Yoshiko Takubo)

どこへ行っても、おんなじ。

2012-04-30 | 色々な思い

連休だ。

 

旅に出ると気分が変わる。

 

目の前の風物に集中すると、現実を忘れ、気分転換ができる。

 

けれど、「今ここ」が不幸だと思っている人が、同じ思考で生活すれば、別の町でも不幸だろう。

 

「今ここ」が幸せな人は、どこでも幸せ。

 

パリやロンドンや北京に逃避しても、その人の立ち位置と意識レベルに応じた世界が展開される。

 

歳をとると、結局、どこに行っても、おんなじ、と思うようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 


孤独なおじいさん

2012-04-29 | スケッチ

気分爽快で、鶯の声を聴きながら、つつじが咲き乱れる郊外の道を歩き、セルフサービスのカフェで休息をとった。

 

しばらくすると、日焼けした顔に野球帽をかぶり、大きな金の指輪をしたおじいさんが、大声で何かを言いながら入ってきた。

 

と、今まで平和だった店の雰囲気が、がらりと変わった。

 

おじいさんは、一杯のコーヒーを注文した。

 

店員が、お盆にコーヒー・カップを載せると、おじいさんは怒鳴った。「盆てえのは、くいもんをのせるんだ。盆はいらねえ。」

 

おじいさんは、店の中央にある、相席の大きなテーブルに座って、コーヒーを飲み始め、近くにいた男の子に話しかけた。「おお、坊主。お前は2年生だろう。じいさんは、何でも分かるんだ。」

 

男の子も両親もおじいさんを無視し、そそくさと店を後にした。

 

おじいさんは、グウエー、と大きなげっぷをすると、大声でスポーツ新聞を読み、自分でつっこみを入れた。「えっ、オリンピック? この歳になると、オリンピックなんざ、興味ないさ。 えっ、スカイツリー? 木戸銭がたけえんだろう・・・」

 

おじいさんは、時折辺りを見回して、声をかけれそうな人を捜し、客は、一人また一人、と店を出て行った。

 

「わたし」も、いつも、魂レベルではみんなおんなじ、などとほざいているくせに、話しかけられる前に、そそくさと店を後にした。

 

外に出ると、お天道様が笑っていた。ハッ、ハッ、ハッ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


パリの乞食

2012-04-27 | 外国語・外国

パリの街角で、時折、乞食を見かけた。

 

古びた建造物の前にうずくまるように座る、乞食。

 

教会の鐘の音が聞こえてくると、乞食すらも、絵になっていた。

 

犬と一緒の乞食もいた。

 

わずかばかりの小銭で、バゲット(フランスパン)と安物のワインが買えるので、一度乞食を始めると、なかなか元の生活には戻れないそうだ。

 

中には、元大学教授という人もいる、と聞いたことがある。

 

パリでは、ちょっとしたことで人生につまづくと、厳しい現実が待っている。

 

それでも、華の都には、世界中から芸術家の卵が集まってくる。

 

光と影が交差する都、パリ。

 

今日はどんな顔をしているのだろう・・・時折、パリが恋しくなる・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


パリの空気

2012-04-26 | 外国語・外国

パリの空気が、好きだ。

 

自由で束縛を嫌う、乾いた空気。

 

黒っぽい洋服に身を包んでさっそうと歩くパリジャンからは、他者を拒絶しているような雰囲気さえ漂ってくる。

 

アフリカや中東やアジアからの移民が多く、人種のるつぼなので、パリでは簡単に人を信じない、と聞いていたが、住んでみると、意外に人情味豊かな人が多かった。

 

どこへ行っても、いい人はいい人で、悪い人は悪い人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


雨のパリ

2012-04-25 | 外国語・外国

パリには、雨が似合う。


それは、突然降り、突然上がることが多い。


だから、傘をささない人も多い。


雨がざあざあ降ってきたがので、カフェに入ると、太陽が顔を出し、再び街に出ると、冷たい空気が肌に心地よいことがあった。


パリでは、雨もロマンチックなのさ....


変わらぬものなど何もなーい!

2012-04-23 | 色々な思い

昔の友達に会った。


変わらないね、と言われ、変わったのよ、と笑った


変わらぬものなど何もなーい!


私たちの一生なんて、空の雲。


生きること

2012-04-22 | 色々な思い

クリシュナムルティは、言った。「生きることこそ、色彩であり美であり、表現なのだ。それ以外は不要だ。」

 

彼は、こうも言った。「思考が表現するものはけっして美ではありえない。一羽の鳥は思考によって造られたのではない。だから、美しいのだ。」

 

自然と共存しながら、達観して、すっきりとシンプルに美しく生きれたら、と思う。

 

けれど、人工の放射能が飛散してしまった中で美しく生きるのは難しい・・・

 

 

 

 

 


「戸外の日記」

2012-04-21 | 本・文学

プルーストのパリがあれば、バルザックのパリもある。

 

パリでは、フランス人も外国人も、誰もが「わたしのパリ」を語る。

 

その中で、1940生まれの女流作家、アニー・エルノーが、1985年から1992年までの、パリ郊外のニュータウンの様子を描いた、「戸外の日記」が好きだ。

 

様々な人生のスケッチ。

 

作者は、「現実界をそのまま写し取る一種の写真的記述法、ふと見かけた人生からそれ本来の不透明性と謎を奪うことのない書き方を実践しようと努め」、そこには「どんな描写もなく、また、どんな物語もない。ただ、いくつかの瞬間、いくつかの出合いがあるのみ」だと語る。

 

ほんとうの自己は外側にも現れる。

 

いつか、こんな本が書けたらなあ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


好きな詩人

2012-04-20 | 本・文学

神戸のハイカラな詩人、竹中郁(1904-1986)が好きだ。

 

春を詠んだ短い詩に、「午前十時の風」というのがある。

 

「 いま

 「春」が

 垣根に沿って喋言つて往つた」

 

彼は、昭和3年に、写真家、マン・レイのシネポエム「ひとで」を見て感動し、パリまで作者に会いに行っている。

 

マン・レイは、引出しからたくさんの写真を出して、好きなだけ取っていってくれ、と言い、竹中郁が値段を尋ねると、いらんよ、との返事。

 

竹中郁は、それなら、と日本から土産用に持参していた上等のちりめんの風呂敷を渡し、たいそう喜ばれたそうだ。

 

いつの時代も、芸術は、軽やかに国境を超える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今カコ&今ミライ

2012-04-19 | ポエム

今、過去を想うと、今カコ。

 

それは、本当の過去ではない。脚色カコ。

 

今、未来を思うと、今ミライ。

 

それは、来るべき未来ではない。妄想ミライ。

 

何処まで行っても、今イマしかない。

 

逝っても、今イマ。

 

だったら、今は、今イマに生きよう。

 

春は、心の大掃除。 

 

 

 

 

 

 

 

 


見合い

2012-04-18 | スケッチ

喫茶店で、見合いしたばかりの男女が語らっていた。

 

二人ともスーツ姿で、カチカチ。

 

会社のこと、仕事のこと、生活のこと・・・ぎこちない会話が続く。

 

男の人が一人で喋り、女の人はただひたすら相槌を打つ。

 

それでも、何となくお似合いの二人。

 

しばらくすると、二人は食事に出かけた。

 

あと数年もすれば、子供がいて、妻は夫を尻に敷いているかもしれない。

 

まったく、縁は異なもの味なもの・・・

 

運命には、決まっている部分と自分で決める部分があるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 


懐かしい詩 

2012-04-17 | 本・文学

先日、久しぶりに丸の内を通った。

 

35年位前、全く何の才能もないので、しばらくの間、丸の内でOLをしたことがある。

 

ツマラナカッタ・・・

 

その頃、お昼休みに、中原中也(1907-1938)の「正午   丸ビル風景」という詩を読んで、フッフッフッ、と自嘲的に笑ったことがある。

 

「あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ

 ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ

 月給取の午休み、ぶらりぶらりと手を振って

 あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ

 大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入り口

 空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃も少々立つてゐる

 ひょんな眼付で見上げても、眼を落しても・・・・・

 なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな

 あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ

 ぞろぞろぞろぞろ、出てくるわ、出てくるわ出てくるわ

 大きいビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入り口

 空吹く風にサイレンは、響きひ響きて消えてゆくかな」

 

戦前の詩なのに、今の風景とも重なる。

 

けれど、もうそろそろ、資本主義もおしまいかもぉ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


寄せ植え

2012-04-16 | 色々な思い

花屋の前を通りがかったら、きれいな寄せ植えの鉢があった。

 

どの植物も、依存することなく、自立し、そっと寄り添い、それぞれの花を咲かせていた。

 

どの花も、それぞれの美しさを誇っていた。

 

個々も美しいし、全体も美しい。

 

わたし達も、わたし達の社会も、そうありたいね。

 

 

 

 

 

 

 

 


花びらウンチ

2012-04-13 | スケッチ

老母が、笑いながら、愛犬の散歩から帰ってきた。本日は、贅沢なウンチでございます。桜の花びらまみれでございます。

 

犬は、ピンクの花びら絨毯の上で、いつもと同じことをしただけ。

 

老母は、ただそれだけのことを可笑しがり、犬は、訳も分からずしっぽを振る。

 

ハイヒールに広いつばの帽子で都心を闊歩していた人も、今では、メディカル・シューズで近所をよたよた散歩。

 

季節は巡り、人は老いる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


まず、お母さんが幸せになろう。

2012-04-12 | スケッチ

急行電車を降り、各駅停車に乗った。

 

席を見つけて座ると、若いお母さんの金切声が聞こえた。

 

お母さんは、大きな声で機関銃のようにまくし立てていた。どうして言うことが聞けないの! いつもそうなんだから!

 

身を乗り出して、声の方を見た。

 

と、プラットホームにたくさんの荷物を置いたお母さんが、男の子に上着を着せようとしていた。

 

男の子は逃げ回り、お姉さんは、困った顔をしてお母さんの傍に突っ立っていた。

 

お母さんは、きちんとした身なりをしていたが、とても疲れているように見え、自分の人生を呪っているかのようなヒステリーを起こしていた。

 

電車が出発しても、お母さんの声が耳に残っていた。

 

駅に着いて、バスに乗り換えた。

 

と、前の席に、先ほどのお母さんと同世代の女性が男の子と座った。

 

ニコニコ顔で幸せオーラのお母さんの隣に座った男の子は、上機嫌。

 

ワンちゃんを出そう、と呟き、背負っていたリュックサックから、大小、二つのぬいぐるみを出した。

 

そして、外の景色が見える位置にぬいぐるみを置き、ひとり遊びを始めた。

 

幸せオーラのお母さんは、ニコニコ顔でただ見守るだけ。子供をコントロールしようとはしなかった。

 

降りる停留所が近づいてくると、お母さんが何も言わなくても、男の子は、自発的にぬいぐるみをリュックサックにしまった。

 

停留所に着くと、二人は仲良くバスを降り、家の方に向かった。

 

正しいお母さんなんて、いない。

 

が、お母さんが幸せモードだと、子供も機嫌が良いような気がする。

 

町では、早くも桜が散り始めた。