象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

今更ベーブされどルース〜アメリカを変えた男の最後です。

2018年03月09日 14時14分28秒 | ベーブルース

《野球を愛し、野球から愛された男》

 とうとう、ベーブルースの旅も最終回です。実は、ブログを立てたのも、彼を紹介する為だけだった様にも思えます。

 何だか、自分の中で一つの歴史が過ぎ去った様な気分です。8回に渡って紹介した、この『ベーブルースの内幕』(Pクリーマー)は、『アメリカを変えた夏』(Bブライソン)がなければ、ここまでのめり込む事も、ブログで紹介する事もなかったかもです。

 そして、この”アメリカを変えた男”こそがベーブルースだった様に思えるのです。彼こそが一人勝ちのアメリカの、夢の大陸と世界中の民が憧れた新大陸の具現者だった様にも思えてくるのです。

 ルースの生き様は、良くも悪しきも、アメリカの全てを象徴してます。それにルースの晩年の哀れさこそ、アメリカの行く末を具現してるようにも思えます。まるでアメリカから富を奪い去ったら何も残らない様に。


 今現在、世界の富は、二度の世界大戦に圧勝したアメリカが独占しています。一部例外もありますが。それはルースが何の苦もなく、タイトルを独占してきた様と非常によく似てます。実際には様々な障害と労苦があったんですが。

 彼が育て創り上げたヤンキースが、メジャーの大半の歴史を支配してきたように。
 当時は、ルースを中心にNYがアメリカが回り、そのNYをアメリカを中心に世界が回ってたのです。

 そのアメリカにも天敵が多く存在する様に、勿論、裸の王様である彼にも、敵が沢山いました。コミッショナーもオーナーも監督もファンすらも、彼が調子を崩すと一斉にこき下ろしたもんです。今じゃとても考えられない事ですが。


 しかし、彼のバットに一度火が付くと、ファンは狂った様に熱狂し、その様は独立戦争の勝利や世界大戦での勝利よりも、ずっと大きかったのです。

 富や贅沢は、戦争に勝利する事で、敵国の民を大量殺戮する事で、簡単に得られますが。真の栄光は、神ではなく、一人の生身の人間が運命と才能と生き様を削り、我らにもたらすのです。それも血一滴流さずにです。
 ルースは、お金や富では得られない、眩い程の僥倖と暁光を隅々にまで、全米中に注ぎ続けたのです。

 
 1920年、ヤンキースに移籍したルースは、30本が限界とされた本塁打を54本にまで伸ばし、次々と記録を塗り替えました。野球の在り方を変え、大衆の嗜好まで変えた。まさにこの年は、アメリカをNYを変えた年だったのです。

 ニューヨークは発狂し、アメリカ中が熱狂した。ファンも大衆も球界も財界もその熱にうなされた。ルースを極端に疎う、コミッショナーやオーナー達も例外ではなかった。
 他のプロスポーツを尻目に、野球だけは"飛ぶボール"同様に弾じけ続けた。1920年代から30年代前半に掛け、アメリカは野球バブル一色となる。

 翌年の1921年は、ルースの絶頂であった。59本、3割7分8厘、170打点は打撃10冠となる。まさしく神の領域を超えた瞬間だ。彼がヤンキース在籍中に積み重ねた偉大な天門学的数字は誰もが知り得る所だろう。

 飛ぶボールであろうが、飛ばないボールであろうが、まともに当たれば、どんなに広い球場でも場外に消えた。典型の600ftヒッターだったのだ。

 現在のMLBのレヴェルや質、球場の狭さから逆算すると、年間160本は当確だろう。マクガイヤやボンズや王さんと比較される彼が哀れだ。彼らとは全く次元が違う。持ってるモノが、与えられた物が違い過ぎるのだ。


 野球選手としては神の領域を凌駕するも、グラウンド外では、狂った裸の王様に過ぎなかった。大衆に与えた分を、そっくりそのまま補充するかの様に、全米中の女を買い漁り、飲みに呑み、食べに食べ捲った。
 しかし、時と大衆とベースボールを支配した彼も、権力とルールと病魔には勝てなかった。


 "ルースかルールか"は常に議題となった。チームが負けると疫病神扱いされた。ファンもメディアも相手チームも、容赦なくルースを罵った。しかし、どんな時も子供を愛し、子供から愛された。子供は唯一の味方だった。

 しかし、球界を去った後のルースは、去勢された屍に過ぎなかった。病を患うとあっという衰弱した。ルースから野球を取ったら何も残らなかった。
 神は彼に野球の全てを与え、彼は野球の全てをファンに与えた。そして、神は彼から全てを奪い去った。ルースにとって野球こそが全てだった。野球を愛し、野球に愛された。これ以上の贅沢な人生が何処にあろうか。

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6 コメント

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ルースの最後 (ootubohitman)
2018-03-12 18:06:39
少し早いですが、こんばんわ。

とうとうルースの物語も終わりました。”ジョー俺はもうすぐ死ぬ!”の言葉にはジーンとくるものがあります。

転んださんが言ってる様に神様は野球の全てをルースに与えました。そしてルースはその野球の全てをお茶の間に与え続けたんです。

ルースもゲーリックもドイツ系で、ディマジオはイタリア系、初期のメジャーは殆どがアイルランド系とすると、野球というのは典型の移民の娯楽といえます。

彼を知れば知る程、その偉大さが滲み出てきます。
Re:ルースの最後 (lemonwater2017)
2018-03-12 22:43:14
遅いですが、今晩わです。

ホント、ルースは野球の全てを我々に与え、死んでいったのですが。

まさしく、野球界の巨人ですね。
彼を知れば知る程、ルースの時代の野球を見てみたかったですね。

今まで読んで下さって、どうも有り難うです。
大谷は大丈夫かな (paulkuroneko )
2018-03-30 01:54:35
明日はメジャーが開幕しますね。
大谷は大丈夫でしょうか。
私的には少し無理っぽかなと思ってましたが、予想通りオープン戦では上手くいかなかったみたいで。

自慢の速球もオジギしてるみたいで、打つ方も小さくなってますが。ベーブルースと比較するのは構わないのですが、時代やレベルが違い過ぎるので、ピンとこないか。

象が転んださんも今のメジャーには懐疑的ですが、私も同感です。アメリカもMLBも随分と貧相になったもんです。
そういう意味で、”アメリカを変えた男”のベーブルースには、非常に愛着を感じますね。

象が転んださんも無理しないで、ボチボチ行きましょうね。
Re:大谷は大丈夫かな (lemonwater2017)
2018-03-30 05:22:40
ご無沙汰してます。

 ブログもボチボチ再開しようと思いますが。どうなる事やらです。当初は週二回くらいでと思ってんですが。

 因みに大谷ですが、私のブログと同様に、先は全くの不透明ですね(笑)。でも、マイナー契約でのメジャー挑戦ですから、プレッシャーは殆どない筈です。ブログと同様、アクセスや人気なんて気にせず好き放題やれば、そこそこの数字は残せるかと。ルースも好き放題やった結果、あれだけの偉業を残したんです。

 勿論、ベーブルースとの比較になると、天と地ほどの差があるので、お互いが可愛そうです。でも、個人的には、LAAより、ルースを育てたBOSに行ってほしかった。東海岸のメデイアは発狂寸前だったでしょうに。
大谷は大丈夫そうですね (ootubohitman)
2018-04-03 04:56:38
真夜中ですが、こんばんわ。

メジャーも開幕し、大谷は思った以上に良かったですね。転んださんの予想通り、何も考えずにやれば通じるもんです。アスレチックスの貧打にも助けられた感はありますが、やはり100マイルを超える速球は何度見ても絵になります。

でも大谷のお陰でベーブルースが再び脚光を浴びる事は、ルースの熱狂的なファンにとっては嬉しい事ですね。
Re:大谷は大丈夫そうですね (lemonwater2017)
2018-04-03 06:10:22
やはり、大谷の速球は絵になりますね。
うん実に良かった。

でも、スライダーは浮きっぱなしで、それだけがね。後は殆ど完璧で。アメリカを変えた男がルースなら、大谷には質が低下したメジャーを変えてほしいですね。

好き放題やれば、結果は付いてきそうですな。

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