象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

『長いお別れ』とチャンドラーの狂気と美学と、その3〜あらすじ後半です。

2018年03月06日 12時34分33秒 | 読書

 さて、『長いお別れ』のあらすじの後半です。久しぶりです。

 レノックスの放蕩と妻の死と、それに続くレノックスの自殺?そして、マーロウと美女アイリーンの情欲に、彼女の夫ウェイドの死。この不可解な三人の死と、レノックスとアイリーンの関係とは?前半は大揺れに揺れます。そんな中、マーロウの本能が呼び覚ます。

 チャンドラーの作品は、一つ一つのフレーズが深い郷愁を誘い、酔わせてくれるんですよ。先へ進むのが勿体無いくらいに。それに、マーロウの台詞はお互いを深く陥れ、傷つけるんです。だから、濃密でズシンと心に響くんでしょうな。


 でも、 ウェイドを救えなかった事で、彼を守れなかった事で、マーロウは狂気に満ちた冷酷さと、持ち前の洞察力を如何なく発揮します。私もお酒進みます。もう、マーロウになりきってます。

 やがて、彼は、レノックスの妻と夫のウェイドを、アイリーンが殺害したという結論を下す。"俺はただ、ある男の無実を晴らしたいだけだ。アンタに望む事は、自分を静かに見つめる事だけさ"と。さらに、アイリーンの亡き元旦那こそが、レノックスである事も突き止めたのだ。

 マーロウは、一度は惚れ込んだ女を許さなかった。"俺をサツに突き出してもいいんだぜ、どうせ切られるのは首だけさ" "英雄ぶるのはよして、お人好しになる必要はないわ"

 そのお見事な推理と、アリバイを突きつけられたアイリーンは、何も言わず去り、罪を認める手紙を残し、彼女は自殺する。以下、手紙の内容です。

 "彼(レノックス)は、私が愛した男の虚しい残骸でした。時は全てを醜くするのですね。人生の悲劇は、美しき者が若くして死ぬ事ではなく、歳を重ねて醜くなる事です" 
 互いに、若い時の純朴な二人ではなかったんですね。全く酔わせる、憎い言葉ですね。


 その事を、3日後にマーロウは知るのだが。この時の心境をこう語ってます。
  枕元に真黒な一本の髪の毛があった。腹の底に、鉛の塊を飲み込んだ気分だった。でも、こんな時、フランスにはいい諺がある。"サヨナラを言うのは、僅かの間死ぬ事さ" 
 一つ一つのセリフに全身が酔いしれます。

 彼女はマーロウを、多少甘く見てたんですね。ハニートラップでイチコロよって、タカを括ってたんです。"ノモンハン事件"で簡単に引っかかった、日本の陸軍武官とは、モノが違い過ぎますな。


 実は、レノックスは、妻を殺害したアイリーンを庇う為、自ら罪を被り、メキシコへ逃げたんです。その為に、マーロウに近付き利用した。しかしアイリーンが、夫のウェイドまで殺害したのは誤算だった。
 彼女は、夫が自殺した事にすれば、全てが上手く行くと思ったのか。一人殺し、無罪放免になり、度胸が付いたのか。
 
 仕事には人一倍プライドの高い、マーロウは、ウェイドを救えなかった事を悔やんだ。レノックスもまた、アイリーンのウェイド殺害で、全てが狂った。アイリーンもまた、死ぬべくして死んだ。ここにて、主要三人の硬い絆は、プツンと音を立てて切れるのだ。


 しかし、罪を被った筈のレノックスは、メキシコで偽装自殺を試み、警察の操作を何とか逃れ、マフィアのメネンデス?に助けられ、何とか、ロスに命からがら逃げ込んだ。警察にバレぬ様、整形を施して、マーロウに会いに行く。

 事件は解決したと見えたが、マーロウは薄々とレノックスの尻尾を握ってる為、さらにメネンデスから暴行を受ける。最後にマーロウは、メキシコから来たある男の訪問を受ける。男は、レノックスが死んだホテルにいたと証言する。

 だが、マーロウはこの男こそが、整形して顔を変えたレノックスであると気づく。レノックスは最初に出会った時のように、共に酒を飲もうと誘うが。マーロウは拒否し、静かに別れの言葉を掛ける。


 "俺は今まで、一つの信念を持って生き抜いてきた。が、君が作り上げた信念と同じで、道徳や良心とは何の関係もないものだった。君は道徳に関する限り、敗北者だ。戦争の為にそうなったのか、生まれつきなのか"

 "ホントのサヨナラは、悲しくて寂しくて切ない響きを持ってるもんさ"

 "何故、結婚しないのかって? 2%の白人には素晴らしい事かもしれんが、残りの98%にとっては、単なる形式に過ぎんからさ"

 このブログは、勿論、ウィスキーを飲みながら書きました。駄文乱文、お許しを。
 
 最後に、チャンドラー流に締め括ります。"酒を飲む奴は、だらしないブログで問題を起こすものさ" でしょうな。

 タイトルを少し変えてます。その3、あらすじ後半としました(5/6)。 

『コラム』 ジャンルのランキング
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『コールガール〜私は大学教... | トップ | 無限級数の闇と謎。 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いろはにほへとです。 (おかめ)
2018-03-06 21:42:27
読者登録して、初めてコメント頂きました。びっくりです。書評や映画評論?面白く拝見しました。これからも楽しみにしています。
Re:いろはにほへとです。 (lemonwater2017)
2018-03-07 02:09:09
まだ、ブログを始めて日にちが浅いですが。
こちらこそ、宜しくです。

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事