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研究室のボスによる部下への不正強要、パワハラなどについて

2013-08-12 02:17:30 | 社会

『別の背景もある。リーダー格の科学者がデータを改ざんしても、いさめたり、やめさせたりしにくい環境があることだ。
 上特任教授は「数年前のこと」と前置きした上で、「複数の研究室で、大学院生らの若い研究者が指導者から『こういう実験結果のデータがほしい』と求められ、数値を改ざんさせられるケースがあったと聞いた」と明かす。
 研究室では指導者の立場は絶対的。指導者の指示に従わなければ大学の中で孤立しかねず、将来や、場合によっては雇用の継続にさえ関わっ てくるという「体育会的」体質が強いようだ。こうした閉鎖的空間の中では、指導者がデータを改ざんしても口を挟みにくく、その結果、不正に携わってしまう こともある。
 山崎教授が相談を受けたケースでは、ある若手研究者が教授との共同研究を論文に発表する際、教授から「グラフのゆがみをならしてシンプルにするように」 と要求された。若手研究者が拒否したことで関係が悪化し、結局、この人は科学の世界から去ることになったという。

[1]』

最近重大な研究不正が続き、研究不正問題が注目を集めている。[1]で研究室内部で研究不正を止めにくい環境があることが紹介された。教授など研究室のリーダーの立場が絶対的で、業績のためにリーダーが不正を指示し、部下は研究室での孤立を恐れて不正に手を染めたり、他者の不正をとめることができないという内容だ。

私は[1]を見て以前に本ブログに情報提供してくれた人の話を思い出した。匿名での情報提供だったので、ここで出しても提供者に害はないと思うので紹介する。情報提供者は大学医学部に務めていた研究者で研究室のボスから業績向上のために捏造・改ざんをするように要求されたという。情報提供者はそれを断ったがパワハラにあい、ポストの任期更新もなく雇い止めになり研究界から去ることになってしまった。情報提供者の主張をもとに考えると、おそらく雇い止めになった表向きの理由は業績が足りないといったことだと思うが、本当の理由はボスに逆らったことで敵とみなされ追い出されてしまったということだろう。情報提供者はこうした扱いを不服とし裁判で争ったが、研究者としての復職は難しいと答えていた。

上昌広(東大医科学研究所特任教授)や山崎茂明(愛知淑徳大学教授)の[1]の言及をみると、上のような極めて不条理な扱いは研究界では珍しくないのかもしれない。

こうした環境では、トップの不正を告発しにくい。不正告発のための窓口を置いている大学、研究機関もあるが、告発者にとっては、捨て身の覚悟が必要なため、なかなか利用されない。[1]』

と言及されているが、こうした極めて不条理な扱いがある現状では告発するのはまさに捨て身といえる。文科省のガイドラインでは告発者を保護する規定があるが、あくまでガイドラインであって守られていないことも珍しくないし、井上明久事件などに代表されるように様々な告発の圧殺はよく行われている。

教授などの利益のために部下に捏造などの不正を強要し、断られるのは当然なのに、断ったら様々な嫌がらせをして、あげくの果てには研究界から排除されてしまう。みんな研究に情熱を燃やしている。それなのにこんな目にあったらどれほど無念なことか。こんな極めて不条理な扱いは絶対に許されてはならない。

私ができることは、こういうことがなくなるように問題点を世間に訴え改善を促したり、改善案を政府に提言することぐらいだ。どちらも長い間ずっと実行している。昇進や予算獲得、名誉獲得のために捏造、改ざん、盗用、二重投稿等して論文数やインパクトファクターを不正に向上させることは絶対に許してはならない。以前も提言したが、規定はきちんと拘束力のある実効的なものでなくてはならず、合理的な理由があって告発があった場合はこれを圧殺してはならない

以前からこういうことを繰り返し提言してきた。研究不正調査制度の問題点も指摘した。もし読者のみなさんがこのような不条理さを改善し、公正な研究環境を実現したいと思うなら、ぜひ現状の問題点や改善策を政府に提言してください。医学だけでなく学術分野は我々の生活や社会の発展に不可欠のものです。バルサルタン事件を見ればわかるように、学術の不公正さは我々にも大きな被害をもたらします。決して無関係の問題ではありません。現在は政府や日本学術会議が研究公正の制度改善を検討している時期です。読者の皆様がこうしたことに関心を持ち、改善のために尽力いただければ幸いです。

参考
[1]中日新聞 写し 2013.8.1

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1 コメント

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上司から求められたデーターを出すことの必要性 (匿名2)
2013-08-13 11:57:33
ご指摘のとおり、『こういう実験結果のデータがほしい』、『グラフのゆがみをならしてシンプルにするように』 などの上司からの指示は比較的よくある事象であり、下のものは違和感を感じてもそれを指摘することは極めて困難です。
某国立大学にて、まだ実験動物さえ出来上がっていない段階で指導教官が国際学会に結果を含めた抄録を提出し、それに沿った結果を出すよう求められ従わなかった当時の大学院生の幾人かは大学を去り、科学者としての将来を絶たれました。結局、発表は、別の実験の結果を使用することで無難に処理されました。実験動物は出来上がらないままでした。


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