上嶋浩順(Hironobu Ueshima、遅れなしなら1979年頃生、経歴1、経歴2、麻酔科学)昭和大学病院講師(2018年頃)、大嶽浩司(Hiroshi Otake、1972年頃生、経歴、麻酔科学)昭和大学病院教授(2018年頃)の2論文が撤回された。どちらの論文でも上嶋浩順が筆頭・責任著者。論文としているが症例報告。
上嶋浩順は2020年6月11日の麻酔科学教室の記録ではメンバーに記載されていたのに、12日の記録では削除。大嶽浩司は2018年の記録では麻酔科学教室教授だったようだが現在は削除。カルー株式会社顧問として確認できるが、これは主たる勤務先ではないだろう。主たる現所属は不明。大嶽浩司は2019年6月頃まで昭和大学病院副院長だったようだが、現在は副院長、麻酔科学教授でない。また2019年6月12日頃にT-ICU取締役に就任したと報じられたのに、現在は同社の取締役に名前がない。
上嶋浩順、大嶽浩司ともに主たる現所属不明。捏造で解雇又は辞任したのかもしれないが詳細不明。
撤回論文
JA Clinical Reports 2016 2:34、
撤回公告、
JA Clinical Reports 2018 4:21
撤回公告、
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The Editor-in-Chief has retracted this article [1]. Following an investigation, the Editor-in-Chief has been informed by the authors that the relevant patient files are missing; consequently, the Editor-in-Chief has concluded that the case report and its findings are unreliable as the information cannot be verified.
All authors agree to this retraction.
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(撤回理由、撤回公告より)
調査の結果、研究に関連した患者情報が見当たらず、情報を確認できないので発見が信頼できない事が撤回理由。昭和大か日本麻酔科学会が研究不正を調査して基礎情報がなかった事が判明したので、捏造と言われても仕方ない状況なのだろう。
Google scholarによると上嶋浩順は約170報の発表文献があるようだ。まさかとは思うが、また大量捏造事件にならないとよい。リトラクションウォッチもこれに言及し、"so we’ll be closely watching for developments in this case."、"It might be working on another major case. "と述べ注目しているようだ。
たぶん昭和大学か日本麻酔科学会で上嶋浩順らの論文捏造を調査中で、その過程で出たのが今回の2論文の撤回なのだろう。大量捏造事件というと藤井善隆の世界記録捏造が有名。172報の論文が捏造、37報が捏造を否定できず、これは世界記録。
他にも共同研究者だった齋藤祐司(写し)の大量捏造、撤回もあった。藤井善隆や斎藤祐司は日本麻酔科学会を永久追放。齋藤祐司(写し)の撤回論文数は53報で世界6位。2位はドイツの麻酔科医ヨアヒム・ボルドで103報。1位の藤井善隆(写し)は183報なのでボルドと比較してもかなり多い。STAP細胞事件のチャールズ・バカンティ氏も麻酔科医。麻酔科医に捏造などの不正が多い理由は不明。
日本の場合は見立病院・弘前大学等事件の佐藤能啓と岩本潤がそれぞれ3位、4位で撤回論文数95報、73報。二人は医師。他に加藤茂明が40報で11位、森直樹が31報で17位で、日本人の高ランクインが目立つ。特に日本人医師の捏造や撤回が多い。研究不正大国といわれちゃってるだけある。
これでまた上嶋浩順らの事件が大量捏造、撤回事件になってしまったらまた信用を著しく失うのだろう。調査結果を見てみないとわからないが、また大量捏造、撤回事件にならないとよい。
上嶋浩順が筆頭・責任著者なのに教授の大嶽浩司まで離職というのは・・・。上司部下の悪質な不正というと岡川梓・伴金美事件(国立環境研・阪大)など他にもあり、大量訂正などで不正かつ悪質な隠蔽を行った事件もある。医学系、経済系などの不正は社会に甚大な損害を与える危険があり非常に悪質である。
私は前から第三者調査機関や拘束力のある規則の制定などを実現すべきだと主張している。迅速にやった方がよい。
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(2020年6月20日追記)
撤回論文(写し、本文献は症例報告)、
Hironobu Ueshima(責任著者), Hiroshi Otake、
Medicine: October 2018 - Volume 97 - Issue 40 - p e12746
撤回公告で"self-reported misconduct"と公表されたので、捏造、改ざんがあった。残念ながら本件は捏造、撤回論文がもっと他にもあるだろう。
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(2020年6月27日追記)
リトラクションウォッチによると撤回6報目。昭和大学が不正を調査中で近日結果公表。
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(2020年7月4日追記)
毎日新聞(本ブログの情報提供後に報道)、
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(2020年7月10日追記)
日本麻酔科学会が調査特別委員会設置を公表(2020年7月6日)。
大嶽浩司が日本麻酔科学会常務理事を辞任、一身上の都合が理由。
毎日新聞、
「臨床麻酔」2020年5月号にも、同雑誌投稿論文の取下げ(2論文)のお知らせがでてました。まだまだありそうですね。
麻酔科学会HP上、理事が継続されており、学会員として恥ずかしいです。もっと公になるべき事件だと感じています。