世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

違憲判決の効力はどうなるの?

2008-04-19 02:12:37 | 社会
 17日に空自イラク派遣が違憲と判断された。一般に違憲判決とはどのような効力があるのだろうか。おそらく、多くの方が思っているのは違憲判決が出た法律や法執行は一般的に無効となり、撤廃されるという効果だろう。実は、これは違う。違憲判決があっても違憲判決で争われた訴訟内でのみ法律等が無効になるにすぎないのである。
 なぜなら、違憲判決は法律の撤廃という消極的立法という側面もあるので、立法権を国会に独占させた憲法の趣旨に反する。また、憲法では具体的な紛争を解決することを担う司法府に違憲審査権を与えているので、具体的紛争解決内でのみ違憲審査することになっているからである。
 しかし、違憲判決があった事件内しか効力がないとしても、国会や政府はその判決を尊重し、法律等を撤廃する立法を行ったり、執行を停止すべきであると期待されている。
 例えば、違憲判決で有名な尊属殺人罪(刑法200条)は昭和48年4月4日に最高裁で違憲とされたにも関らず、平成7年まで国会で削除立法されなかった。勿論、尊属殺人が起こったとしても検察官は尊属殺人を罪状として起訴は行ってこなかった。
 このように、違憲とされた法律や政策は将来的に無効とならず、あくまで国会や内閣の自主的な取り組みに委ねられているのである。空自イラク派遣も違憲とされながら、政府筋の発表を見る限り無視されて進みそうである。