世界変動展望

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日野氏ら、井上事件に対する三島良直次期学長の説明を東工大に要求!

2012-09-19 00:57:00 | 社会

日野秀逸(東北大名誉教授)らが、東工大に対し三島良直次期学長・現副学長の井上事件に対する説明を求めた[1]。三島良直氏は日野氏らが井上の不正を金属学会に告発したとき会長で、彼の責任のもとで告発を不受理にした。日野氏らは「黒を白にするような不正の隠蔽ととられても仕方のない行為をした。明確な説明を果す必要がある」と主張している。

この申し入れ書の狙いは3つある。一つは不正行為の隠蔽をはかった三島氏に次期学長を辞退させることで、事実上井上の不正を認めさせることだ。申し入れは井上の不正が公式に認定されたときに、隠蔽をはかった東工大がより大きなダメージを受けるようにする効果がある。一言でいうと、これは脅しだ。

不正を認めず、井上と心中しますか?嫌なら三島氏に学長就任を辞退させて、事実上不正を認めなさいよ。

露骨にいえばこういうこと。当然のことながら、申し入れを受けて次期学長を辞退することは、井上事件が不正でないこと及び三島氏の行為が不正の隠蔽でないことの合理的な説明ができないことを意味する。事実上井上の不正とその隠蔽を認めることになる。周知のとおり、不正経理で次期学長が立て続けに辞退した東工大にとって、不正行為者を学長にすることには執行部からの強い反発が予想される。井上の不正が確実視される現状では、日野氏らの圧力に屈する可能性はそれなりにあるだろう。

ただ、この狙いは三島氏が井上事件を不正でないと扱ったことを考えると、成功する可能性は低い。それは日野氏らもわかっているだろう。だから主な狙いは次の2つ。

一つは、東工大が申し入れを無視したときに、井上事件や三島氏の行動に有効な説明ができないことをアピールし、より井上事件の不正や三島氏の隠蔽を世間に印象付けることだ。

もう一つの狙いは三島氏や東工大の隠蔽に対する弁明を困難にすることだ。将来井上の不正が認定されたときに三島氏又は東工大は必ず次のような言い訳をするだろう。

三島氏が告発を受理しなかったのは東北大が不正でないと調査結果を出したからだ。三島氏の行為は結果的に不正を隠すことになったが、決して悪意があるものではなく、やむを得ないものだった。学長の選考も問題ない。

こういう不条理な言い訳をしたときに日野氏らの申し入れは効果が出る。

不正の隠蔽であることはきちんと通知した。きちんと改善も促した。どうしてそれをしなかった?注意されてても改善しなかったんだから、そんな言い訳は通じないよ。

そういう反論が必ずある。将来予想される不条理な弁明を困難にするために日野氏らは申し入れで先手を打ったわけだ。

このように東工大が申し入れに応じても応じなくても利点があるように図られている。日野氏らもこういう手を打ってきた。三島氏をターゲットにすることで東工大まで巻き込んでの不正追及になった。確かに有効な点はあるが、東工大が敵にまわるというデメリットもある。東工大は今頃こう思っているだろう。

こんな面倒なことをいってきやがって。申し入れで非常に迷惑している。嫌がらせだな!

こう思うだろうから余計に日野氏らの申し入れを拒否するだろう。今後東工大は日野氏らの敵にまわるだろう。日野氏らの申し入れは正当だと思うものの、研究機関なんてどこも似たような体質で、自分たちにとって都合の悪いことは認めようとせず、不条理で勝手な運営をするものなのだ。だから正直いって、不正行為者を次期学長にしたくないという考えはあるものの、日野氏らの申し入れを拒否する可能性がかなり高いと思う。こういう研究機関の腐った体質を改善しない限り、日本の学術界に健全な発展はない。井上事件や藤井善隆事件のような事件は今後も永久に続くことになるだろう。

[1]を見ると9月上旬までの回答を要求しているから、おそらくそれまでに回答がなかったので日野氏らはウェブ上で申し入れ書を公開したのだろう。東工大側は予想通り申し入れを無視する方向のようだ。井上の不正が公式に認定されても上のような不条理な言い訳をするつもりかもしれないが、そうは問屋が卸さない。東北大と同罪の三島氏も大きな責任をとらされることになる。

昨年から不祥事で2度も次期学長が辞退した異常事態の東工大にとって、今回の対応は自分たちの学長すらまともに選べないという大変な醜態をさらすだけでなく、東北大学や筑波大学と同じように不正行為には目を背けるという組織ぐるみの腐った体質を世間に認知させるだろう。三島氏の隠蔽が明白な現在において、学長に選ばないのは当然のこと。上の責任転嫁の言い訳は全く通じない。日野氏らにはこの問題についても徹底的に追究し、研究機関の腐った体質の改善をはかってほしい。

井上事件は第三者調査機関に調査させ、一刻もはやく井上のクビを切ることで決着させればよいと思う。いつまでも不正の握りつぶしをしていると、関係する人たちがみんな損失を被る。とっとと井上のクビを切ることが最善の策だ。国はなぜそうしないのか?みんなで不正を握りつぶしてまで井上を庇って何の益がある?そもそもこういう問題は最初に不正行為者をばっさり切れば大事にならずに済む。せいぜいボヤ程度で済む。火事が起こってるのに見ぬふりをするから大火事になるのだ。

不正行為を隠蔽せず、きちんと改善する。こういう当たり前のことができない組織は致命傷を負うのが道理である。

参考
[1]日野秀逸、他:三島元金属学会長宛申し入れ書 2012.9.16



1 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-07-11 16:24:47
残念ながら東京工業大学及び三島良直現学長は深刻な隠蔽体質です。

東工大職員による学生への犯罪が申し立てられ、報告書がまとめられたのですが、三島氏の判断は犯罪行為は存在したが職員に問題はなく、職員への懲罰も行わないという不可解なものでした。
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