世界変動展望

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分子生物学会が加藤茂明事件の調査結果の公表を要求しても東大は公表せず!論文不正調査機関の設置等の提言

2013-06-12 22:03:59 | 社会

12日に日本分子生物学会が理事会声明等を公表した[1]。加藤茂明元東大分生研教授らのグループの研究不正について昨年11月8日、12月27日の2度東大に対して調査結果の公表を求めたが調査中で公表されなかったことが述べられた。

学会が公式に2度も調査結果の公表を要求しても東大が拒否したことは不適切な事態だ。学会が昨年11月に「加藤元教授の研究(不正)に関する全貌と調査結果の詳細に関する迅速な開示」「迅速に開示できない場合は、中間報告などの形での早急な経過報告」を求めても応じず、再度12月に「研究内容の真偽という科学的な問題については、関係者の処分の問題とは切り離して早期に調査結果の発表を行なうこと」を要求しても応じず、それから約半年経過しても何の調査結果も公表しない東大は学会の要望を無視していると見なされても仕方ない。二度も言われて実行しない。これは明らかな故意だ。

また調査開始は昨年1月でもう約1年半経過している。文科省のガイドライン等に定められている本調査期間は3ヶ月~半年程度だから遅すぎるといわれても仕方ない。加藤事件に限らず松原弘明(元京都府立医大)のデータ流用事件は約1年3ヶ月、青木直人(元三重大)の事件は約2年2ヶ月、服部良之(元独協医大)の事件は約1年、岡嶋研二・原田直明(元名市大)の事件、森直樹(琉球大)の長崎大における事件の調査も1年以上で時間がかかりすぎる。

研究者生命がかかった調査だから慎重にやるため遅くなるのはわかるが、文科省のガイドライン等に照らせば長すぎる調査期間といわざるを得ず、単にちんたら調査しているだけか、調査を長びかせて世間が事件を忘れてくれるのを待っているのか、理由は不明だが不適切な理由で調査を怠惰に行っていると言われても仕方ない。

この点は私だけでなくネットで調べた限り同様の意見の人たちが存在するし、月刊「集中」でも『当事者は「調査中」を建前に何年にもわたって逃げ隠れを続ける。[3]』と言及され、調査の遅さが批判されている。

毎日新聞で「任意調査に限界[4]」と言及されたように現在は「試験に関係していない研究者らが本業の合間を縫って任意調査[4]」を実行しているためこのような事態が生じているのだろう。この意味においても専門的な論文不正調査機関が必要だ。

分子生物学会は[1][2]で現行制度では被疑者の所属機関で不正を調査する制度であり、東大が唯一の調査機関だから迅速に調査結果を公表してほしいと要望しているが、[1][2]で述べたように東大の調査が遅すぎると抗議するなら自分達で調査すればいいと思う。確かに文科省のガイドラインによれば現行で調査義務のある機関は被疑者の現所属機関等である(文科省ガイドライン第2部4.1調査を行う機関)。しかし、この規定は調査義務のある機関を定めるものであって、不正に関する調査を所属機関以外の学協会等が任意に実施することを禁止する趣旨ではない。例えば藤井善隆(元東邦大)の事件も日本麻酔科学会が調査した。分子生物学会が東大の調査を遅すぎると思うなら任意に調査を開始すればよい。

一方、学会は次のことを発表した。

1.日本分子生物学会は、生命科学分野を包括する最大規模の学術団体として、健全な科学研究活動を進展させることを基本方針とし、研究論文の不正の問題に対して厳正に対処します。

2.不正の背景にあると考えられる現行の研究成果の評価システムや、それに基づく教員採用の方法について踏み込んだ検討を進め、改革を促します。

3.研究倫理については、日本学術会議「科学者の行動規範」(本年1月改訂)に基づく研究倫理教育が大学機関等で徹底されるよう、本会はその具体策について重点的に議論し、推進のための提言を行います。

4.研究機関における研究者倫理教育や、研究論文不正等の調査が速やかに進むような仕組み、さらには論文不正調査機関の設置について議論し、推進のための提言を行います。

[1]』

学会も不正の背景にある業績評価システムや人事の問題、第三者調査機関について提言するようになった。私だけでなくNatureやJST御園生委員会、毎日新聞などがORIの設置の必要性を提言してきた。私や他の者たちが業績評価の問題も提言した。日本学術会議や省庁、政治家は職責上こうした提言を受け入れて実行すべきであろう。これらの機関は学術の公正さを改善する責任があり、ORIの常設や実効的な規定や制度の実現、業績評価方法の見直しなど現状の調査制度の問題点は明らかだからだ。

政治家や省庁は一刻もはやく研究不正調査制度を改善する政策を実行せよ。

参考
[1]日本分子生物学会:"理事会報告"、"研究不正防止についての日本分子生物学会理事会声明" 写し 2013.6.12
[2]日本分子生物学会:"論文不正問題に関する早急な情報開示の要望書" 2012.11.8
[3]月刊集中:"京都府立医大論文撤回に見るノバルティスの「威光」" 2013.6.3
[4]毎日新聞 記事の写し 2013.5.25

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コメント (2)   この記事についてブログを書く
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2 コメント

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日本分子生物学会「ガチ議論企画」 (通りがかり)
2013-06-13 00:11:27
どうぞ議論に参加してください。

監査局や研究公正局の設立の必要性 ~科学者の心と言葉を取り戻す為に~
http://scienceinjapan.org/topics/20130410.html
回答 (世界変動展望 著者)
2013-06-13 21:36:19
情報ありがとうございました。

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