論語 (岩波文庫) | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
在陳絶糧、従者病莫能興、子路慍見曰、君子亦有窮乎、子曰、君子固窮、小人窮斯濫矣
陳に在りて糧を絶つ。従者病みて能く興(た)つこと莫(な)し。子路慍(いか)って見(まみ)えて曰く、君子も亦(また)窮すること有るか。子曰く、君子固(もと)より窮す。小人窮すれば斯(ここ)に濫(みだ)る。
陳という国で食糧がなくなってしまった。弟子はみな病気のようになり、立ち上がることもできない。子路が怒って、先生に面と向かってこう言った。「君子でも食に窮するなんてことがあるんでしょうか」。先生はおっしゃった。「君子だってもちろん窮することはある。小人は窮すると混乱してしまうものだ」。
論語の衛霊公篇にある一節。なんだかユーモラスで笑ってしまいました。いや、孔子ご一行様にとっては相当なピンチなんでしょうが・・・
――腹ペコで孔子も弟子たちもフラフラ。そんなとき弟子の中でも一本気で知られる子路が、先生である孔子にプリプリ怒りながら詰め寄る。「先生は君子でしょう?君子が食べ物に困るなんてことがあっていいんスか!?」これには孔子も苦笑い。「そりゃ君子だって困ることはあるさ・・・でもそんなときでも落ち着いているのが真の君子だよ。小人は心乱れてあれこれ騒ぐものだがね」――
「先生は君子なんだからなんとかして下さいよ!」と、君子をスーパーマンか何かと勘違いしてるような子路のトンチンカンぶりが目に浮かぶようです。孔子も、子路のこんなところがかわいかったのかも知れませんね。子路は孔子に最も愛された弟子だったと言われています。
ある方の書に「君子固窮」とあるのを見て出典を調べました。その方の座右の銘なのでしょうね。
私も困ったときこそ落ち着いていたいと思いました。