セピア色の映画手帳

古い映画を中心に

「グリーンブック」

2020-09-14 13:21:04 | 映画感想
 「グリーンブック」(「Green Book」、2018年、米)
   監督 ピーター・ファレリー
   脚本 ニック・ヴァレロンガ  ブライアン・ヘインズ・カリー
      ピーター・ファレリー
   撮影 ショーン・ポーター
   音楽 クリス・ハワーズ
   出演 ヴィゴ・モーテンセン
      マハーシャラ・アリ
      リンダ・カーデリーニ

 1962年、J・F・ケネディ政権下、公民権運動がピークに向かっていく頃、ジム・クロウ法による黒人差別が当然の権利として行われてるアメリカ南部へ著名な黒人ピアノ奏者ドン・シャーリーがツアーに旅立つ、その運転手兼ボディガードとしてイタリア系白人のトニー・リップを彼は雇った・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=eJ-4zk7WRu8

 この作品に「黒人差別に対する白人救世主」という既視感があるのは確かだけど、あの時代、特にアメリカ南部で戦争以外に「白人と黒人の連帯」など殆ど有り得ないので、タイプで文句は付けられないと僕は思う。(白人にしたってアメリカのヒエラルキーでは下層のイタリア系だし)
 それよりも韓国の「タクシー運転手〜約束は海を越えて」と同じく政治的アピールを凄く感じる、「タクシー運転手〜」が現政権への「おもねり」、「ご機嫌取り」なら、こちらはトランプに対する民主党の牙城ハリウッドの反感でしょう、アカデミー賞に選ばれたのも多分に政治的なものが含まれてる(昔から政治的スタンスというのがアカデミー賞の選考基準には有ったけど、最近は「酷い」というレベルまで来てしまってる)、権威ある賞を政治の道具にして欲しくないとミーハーな僕は甘く考えてしまいます。

 クレームばかり書きましたが映画は面白かったです(映画って、観た人が面白いと感じれば勝ちだよね)、「手錠のままの脱獄」('58 スタンリー・クレイマー監督)から有るような白人と黒人の友情発芽物語だけど、定番だからこその安定と楽しさがしっかりとある。
 ドンがアラバマでの騒動の後、「オレンジ・バード」で解放されたように楽しんでピアノを弾くシーン、トニーの重戦車のような頼もしさと愛妻への手紙で苦闘する優しさ、刺身のツマみたいな扱いだったけどトニーの奥さんの親しみやすい可愛さとラストの台詞の良さ。
 差別問題を扱いながらエンタティメントとの調和が取れていて、とても見やすい作品でした。

※出演者たちを平等に人種へ割り振る、反レイシズムという正義が彼らの大切な「表現の自由」という正義を束縛していく。イデオロギーが作品を制約したソビエトの映画は一部の例外を除きロクなものがなかった、市場がバカでかいから衰退はしないかもしれないが教条主義、啓蒙主義がまぶされた面白くもない作品が増えるのだろう、そして、それを仲間内で褒め称え陶酔してる嫌な世界が見える。(「ポギーとベス」、どうすんのかね)

 R2.9.13
 DVD
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2 コメント

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Unknown (moondreams)
2020-10-11 17:43:19
こんにちは はじめまして。1962年から何年たっても・・・今年も”Black Lives Matter"スローガンのデモが起きてる。差別は世界中で口を開く人間がいる限りなくならないのでしょう。
でっ、この映画 面白かったね。イタリア系白人運転手兼ボディガードがハンバーガー(でかくて美味そうだった)をぱくつき、著名な黒人ピアノ奏者は一流レストランで食事するなどシーンが愉快でした。
鉦鼓亭さんが紹介された「手錠のままの脱獄」のほか「夜の大捜査線」「ドライビング Miss デイジー」などユーモラスになくならない差別を映した映画も心に残ります。
Unknown (鉦鼓亭)
2020-10-11 21:17:46
 moondreamsさん、はじめまして、コメントありがとうございます!

 人間に欲望がある限り、不満のハケ口を差異のせいにして自分を納得させるのが尤も楽なので、人類が存在する限り差別はなくならないのではないでしようか。

ガサツな白人、紳士な黒人という「ポセイドン・アドベンチャー」のような逆さまの世界観からくる可笑しさを上手く料理した作品だと思いました。

最近では「ドリーム」が差別を扱いながら見易くエンタテイメントしてたと記憶しています。

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