セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「遠すぎた橋」

2024-11-07 19:07:07 | 映画日記/映画雑記
 「遠すぎた橋」(「A Bridge Too Far」、1977年、英・米)
   監督 リチャード・アッテンボロー
   原作 コーネリアス・ライアン
   脚本 ウィリアム・ゴールドマン
   撮影 ジェフリー・アンスワース
   音楽 ジョン・アディソン
   出演 ダーク・ボガート エドワード・フォックス
      ショーン・コネリー ジーン・ハックマン
      ライアン・オニール ロバート・レッドフォード
      マクシミアン・シェル ハーディー・クリューガー
      ローレーンス・オリヴィエ リヴ・ウルマン

 ノルマンディーに上陸しパリを奪還した連合軍は補給不足の為、ベルギーで反攻が止まってしまった、北方のモントゴメリー元帥率いる英・米主力の連合軍と南方で迂回作戦を進行中のパットン中将率いる米第三軍、弾薬,燃料は片方分しかない状況で政治的決断も加わりモントゴメリー元帥の立案したマーケット・ガーデン作戦を実行することになった。しかし、日本のミッドウェイ作戦に似て次々と手違いが起きていく・・・。

 ’77年初夏の試写会で観て以来、久しぶりに通しで観てみた(部分的には何回か見ている)、感想は当時と変わらず。

 「ポセイドン・アドベンチャー」に始まる’70年代オールスターキャスト・スペクタル映画の終焉作。
 これに依ってオールスターによるスペクタル大作を作る資金力・(スター)動員力、そして気力を映画会社から無くさせた失敗作だと思っている。
 原因は二つ、
・「トラ・トラ・トラ!」と同じく負け戦に喝采する(欧米の)観客はいない。
・これが最大の原因と思うが小さな地図と台詞だけでは広大な作戦の概要、進捗状況が不明で(外国人に白鬚橋、言問橋、両国橋、永代橋と言っても?でしかない)、状況が解らなければドンバチだけで冗長に感じてしまうのは当然の帰結である。

 黒澤映画が判り易いのは簡略な地図や冒頭の台詞で説明してくれるから(映画は映像で理解させるべきと言うが説明台詞3分と映像説明6分なら台詞による簡略化が間違いとは思わない)、この作品も大きな地図で目的地を示し、それぞれの連合軍の進行を矢印で明確にし、更に状況をナレーションで伝えれば判りやすく緊迫度も増したと思う、娯楽作なのにパッと理解できないのは致命傷だろう。

 個々の役者陣は頑張っているがライアン・オニールはミスキャスト、准将・師団長の重みが無い、精々、少尉、中尉辺りの重みしかない(同じ師団長のショーン・コネリーとは比較にならず部下のロバート・レッドフォードの方が上官に見える)。

  鬼門かな トラ!にタイガー 負け戦

※当時、映画雀の間では「史上最大の作戦」で1カットのイギリス一兵卒だったS・コネリーが少将に出世したと話題に(笑)。

R6.11.7
DVD

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2 コメント

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もうぜんぜん覚えてませんが (宵乃)
2024-11-08 11:15:53
自分の感想を読み返しても「顔が見分けられなかった」「戦闘シーンは無心でみてた」という感じで、作戦の説明以前の問題でした(たぶんそれも理解してなかっただろうけど 汗)

>「史上最大の作戦」で1カットのイギリス一兵卒だったS・コネリーが少将に出世したと話題に(笑)。

こういうちょっとしたエピソードが楽しいですね。
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いらっしゃいませ! (寂庭)
2024-11-08 13:50:08
宵乃さん,お久しぶりです。
コメント有り難う御座います!

解りにくいというのは僕ばかりじゃなく当時の多くの観客,評論家も言っていました。
スター顔見せのサービスはしても一番肝心なサービスを忘れてたと思います。

「地上最大の作戦」と007の一作目って公開年が一緒で大スターになる直前、だから007後に見ると結構可笑しかったんです。
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