八ヶ岳の設計事務所 アトリエリーフの『たてものブログ』

八ヶ岳での家づくりや暮らしの話題を中心に、あれこれ綴っています。

小淵沢駅

2017-07-21 | たてもの

息子をJR小淵沢駅まで送る用があったので、7月3日に開業したばかりの新駅舎を見学してきました。

新聞記事によれば、「八ヶ岳の玄関口」である駅舎の外観は、山岳風景と清流をイメージしたデザインとのこと(デザイン監修は建築家の北川原温さん)。 また、眺望が自慢の駅舎で、JR東日本が進める環境に配慮した「エコステ」モデル駅(太陽光発電・太陽熱給湯を採用)は、県内初だそうです。

(↓)外観はこんな感じ。 “山岳風景と清流” のイメージというより、タンカーのような大きな “鉄の箱” が宙に浮いているよう・・・?

大きく変わったのは、駅前ロータリー(現在、まだ工事中)などの交通動線と、エレベーターの設置やトイレの刷新による駅のバリアフリー化。 これで使い勝手は格段に向上し、ようやく特急の停車する主要駅にふさわしい駅舎になったと思います。 以前の 『いなかの駅舎』 の風情もなかなか捨て難いですが(笑)。

中身としては改札機能のほか、観光案内所や交流スペースや新ブランドの店舗といった個室が分散配置されていますが、個人的には改札も含め、一つの大きな空間の中にいくつかの施設やコーナーが点在するような、もっと明るくオープンな空間と明解で大らかな構成の方が、多くの観光客が行き交う “八ヶ岳の玄関口” にはふさわしい気がします。

(↑)また、窓に関しては “眺望が自慢の駅舎” であれば、こんな凝った構造(これは外観デザインを優先させたからでしょうが)ではなく、一枚板のガラス(なぜか待合室の窓(↓)はそうなっている)で、しかも横長のプロポーションの方が、雄大な山の景色を楽しむのに適していると思います。

 待合室の窓

他にも気になったのは、屋上に展望スペースがあるのですが、そこへはエレベータで行くことが出来ず、バリアフリーを謳っているのにどうなの??という点や、2階の窓や屋上からの眺めを売りにしているものの、絶景と言うにはちょっと・・・という点。 もちろん、景観の良し悪しは駅のせいではありませんが・・・。

 2階から八ヶ岳を望む

屋上から、(上)富士山 ・ (下)南アルプスを望む

それから、一般車の駐車スペースが十数台ですが、足りるのかな・・・? とまぁいろいろ書きましたが、新駅舎の誕生は周辺地域にとって大きな出来事です。 今後この駅が利用者にどう評価され、地域にどのような効果を生むのか・・・ 要注目です。

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すみだ北斎美術館

2017-04-25 | たてもの

フィルムカメラを受け取り、写真展を渡り歩き、大型カメラ店で新しいカメラを物色し・・・ と、東京ではカメラのことばかり・・・だった訳ではなく、新しい建築も見学して来ました。昨年両国に誕生した 「すみだ北斎美術館」 です。 設計は、パリのルーヴル・ランスや金沢21世紀美術館などを手掛けた妹島和世さんです。

最大の特徴はこのシルバーメタリックの外観で、アルミパネルが空の色や周囲の風景などを“微妙に”映し込み、時間や天候や見る角度によって建物の表情が変わります。 何とも繊細で美しく、不思議な存在感を放っています(でも威圧的ではありません)。 

ところで、このアルミの外壁には「窓」と呼べるものが無く、要所にくさび型のスリットが設けられていて、そこが入口や窓の役割を果たしています。また、建物には表や裏といった概念も無く、入口へは三方向からアクセスできます。 大型のアルミパネルの施工精度は非常に高く、室内の螺旋階段(↓)なども含め、ゼネコンの高い技術力が窺がえます。

このように、小規模ながらも挑戦的で見ごたえのある建物でした。 個人的には東京オリンピックの新国立競技場コンペも仕切り直すぐらいなら、この設計者の案(第3位の案)を採用した方が、よほど新鮮で景観にも馴染むものになったのでは・・・と思います。

ところで・・・ ここまでは良い点を書きましたが、実際はそればかりではありません。

(↓)3方向から自由にアクセスできるはずの入口は、こんな無粋なポールと張り紙で誘導され、ガラスの壁沿いには、透明感を台無しにする(まぁ、衝突防止の為ですが)パイロンが所狭しと並んでいます。

(↓)また、外観はスッキリしているのに、内側は結構ごちゃごちゃしていたり・・・

(↓)ホールからスカイツリーや街並みを眺められる窓が、“金網”で覆われていたり・・・(外観上、「窓」の存在感を消したいからでしょうか・・・?)

常設展示室においては、北斎の有名な富嶽三十六景などがレプリカだったり、暗い展示室の床や天井に装飾的なLEDライトが散りばめられていたりと、何とも“本物感”が希薄な中身となっています。 その他、団体の観光客が来た途端、捌けなくなってしまう動線計画なども問題ありでしょう。

これでは、何度も訪れたくなる場所にはならないなぁ・・・というのが正直な感想で、魅力ある建物だけに残念です。 なんとか改善できないものでしょうか・・・。

ところで余談ですが、隣の公園にある太いロープでできたこの遊具、何となく北斎の描く富士山のように見えませんか?・・・ これ、なかなかの存在感です。

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街角の名店(珈琲専門店 ダン)

2016-07-20 | たてもの

最近、甲府に出掛けると、よく立ち寄る喫茶店があります。

甲府市役所の斜め向かいにある 『珈琲専門店 ダン』 です。

店は交差点の角にあり、近くには甲府市役所や山梨県庁や岡島百貨店などがある好立地。

40年以上続く名店で、甲府中心街のかつての賑わいや最近の変遷を、静かに見守ってきたことでしょう。

(↑)室内はこんな感じ。 大きめの窓があり、カウンターとその後ろの席は通りを眺められるオープンな雰囲気で、店の奥(写真手前)には囲われた感じの落ち着けるテーブル席もあります。

そして、カウンターの向こうでは、大ベテランのマスターが静かに珈琲を淹れています。

飲み物や軽食の種類は結構豊富で、様々な客層や利用時間帯に対応。 目下のお気に入りは、ベーコン・スクランブルエッグ等が入った「ダグウッドサンド」と、マイルドな苦み系の「ロイヤルブレンド」の組み合わせ。 サンドイッチは結構ボリュームがあり、コーヒーはさすがの美味しさです。

あちこちで目にするスタバやコンビニコーヒーなども、お手軽・便利でいいけれど、やはり珈琲好きとしては、名店の “そこにしかない味と雰囲気” を時々は楽しみたいものです。

周辺のテナントの空きとご高齢のマスターが少々気掛かりですが、これからもできるだけ長く存続することを願っています。

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姫路城

2016-04-04 | たてもの

前回に続き、昨年末に帰省した兵庫県での話題をもうひとつ。

“平成の大修理” を終えた姫路城を大みそかに見て来ました。 久しぶりの姫路駅前は、城の改修に合わせて再開発が進んでいて、こんな展望施設が出来ていました(↓)。 『キャッスルビュー』 という名称で、姫路城の門をイメージしているそうです。

駅に着いた観光客は、まずここから真っ直ぐに伸びる大通りとその先の姫路城を眺める という演出で、きっとテンションが上がることでしょう。

ちなみに周辺のビルとは空中の連絡デッキでつながっています。 また、駅前広場と大通りの一定区間は一般車両が進入禁止となり、車線縮小と歩道拡幅が行われるそうです。

甲府駅前も整備計画が持ち上がっていますが、交通整理的な要素が主で、こういった 「街の軸線」 や 「求心力になるもの」 に乏しいのは残念なところ。

改修したての姫路城の外観はまさに 『白鷺城』 の名にふさわしく、これは一見の価値あり!

でも、城の室内は暗く・重々しく・寒くて快適とは言い難く、窓には太い縦格子が付いているので、何だか牢屋のようでもあり(城郭ファンの方、すみません)・・・ “堅い守り” はすなわち “閉鎖的” ということか・・・。

肝心の見学はと言えば入城はしたものの、天守閣へ続く道は長蛇の列で2時間待ち(!)。 根性のない私と息子はあっさり断念。

結局、大天守の外観や西の丸の室内など、並ばずに見られるものだけを見学して退散しましたが、本音を言うと城そのものよりもむしろ、何気ない造形(↑)に惹かれるものがありました。

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ソーラーの行方(権現ダム・逆池)

2016-03-18 | たてもの

突然ですが問題です。 

これはメガソーラーの写真ですが、ソーラーパネルはどこに(何の上に)設置されているのでしょうか?

正解は、ダムの水をせき止めるための堤体(ていたい)の斜面に設置したもの。 兵庫県加古川市の権現(ごんげん)第1ダムにあります。(運営は兵庫県の企業庁。)

6900枚の太陽光パネルを設置して、一般家庭約530世帯分の電力を発電。 全量を売電して買い取り期間20年間で3億円以上の利益を生み出し、今後の水道施設の更新や改善などに活かすそうです。 

では続いてもう1問。 (↓)このメガソーラーのパネルは、どこに設置されているのでしょうか?

正解は、農業用水の溜め池にパネルを浮かべたもの。 兵庫県加西市の逆池(さかさまいけ)にあります。(運営は京セラTCLソーラー。) 水上に設置したメガソーラーとしては世界最大規模で、9000枚あまりの太陽光パネルは、一般家庭約820世帯分の電力を発電。

水上設置型の利点は、池の水によるパネルの冷却効果で発電ロスを低減できることと、パネルが水面を覆うことで貯水の蒸発量は減少し、藻などの異常発生も抑制できることだそうです。

最近あちこちで問題が起きている太陽光発電ですが、事業者も行政も、場当たり的で長期的ビジョンの無い稚拙な対応が多すぎます。 エネルギーや環境の問題なのに・・・。

この2つの事例はいずれも 「ダム」 や 「溜め池」 という、もともと人工的に造られたものの上に設置されていて、自然環境や生活圏への影響は最小限に留められています。 また、どちらも大規模で発電効率や経済効果が高く、長期的な視点で運営されている点でも存在意義は大きいでしょう。

これ、メガソーラーの “あるべき姿” のひとつではないでしょうか。

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