日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

前田恒彦検事はやっぱりFD遊びをしただけではないのか

2010-09-26 01:15:02 | Weblog
郵政不正事件で大阪地検特捜部が証拠品として押収したフロッピーディスク(FD)の改ざん問題で、最初にこのことを報じた朝日新聞を始めマスメディアが大騒ぎをしている。この件が報じられた直後、私は早々と「検事、押収資料改ざんか」の朝日新聞記事はなんだか素直にとれないと私なりの推理を推し進めて次のように述べた。

捜査担当検事から公判担当検事へすでに公判の維持に必要な資料はすべて渡っており、その中に含まれていると思われる「捜査報告書」にはFDに手が加えられる前の「04年6月1日午前1時20分06秒」というタイムスタンプが明記されている。この特捜部の捜査担当検事がこの事実を知らないことはあり得ないと私は思う。仮にその点が曖昧であるとしても、村木さんが起訴され、上村被告側に返却されることが決まっているFDにわざわざ手を加えて、上述の日時を「04年6月8日午後9時10分56秒」とする必要性、必然性が私の常識的な考えでは理解出来ないのである。だから既にご用済みと判断したFDで主任検事が「遊んでいた」と言っているのが、まことに馬鹿馬鹿しい行為ではあるにせよ、状況説明としてはこちらのほうが素直に理解出来るのである

その後の成り行きを見守っているうちに、実は重要な事実を私自身、最初から見落としていることに気がついた。9月21日の朝日朝刊「社会27面」に「偽の証明書発行事件を巡るフロッピーディスク(FD)のデータ改ざん疑惑の流れ(朝日新聞の取材に基づく」として図解が載せられており、FDデータが改ざんされた疑いのあるファイルの「プロパティ」から日付と属性の記録が記載されている。その部分を下に再掲する。左側がその記録である。


改ざんしたとされるFDで確かに「更新日時」は2004年6月8日になっている。しかし「作成日時」は2004年6月1日のままである。一方、手を加えられていないとされるFDからのデータでは「更新日時」、「作成日時」とも2004年6月1日である。

ここで「作成日時」と「更新日時」の違いをはっきりさせておく必要がある。「作成日時」とはある文書を作成してそれを「名前を付けて保存」すると、その時点の日時が記録される。そして作業を終了したとすると、「更新日時」と「アクセス日時」も「作成日時」と同一の日時になる。

後日改めてこの文書を開き、訂正したり書き込みをして「上書き保存」をすると、「作成日時」は最初のままで変わらずに、「更新日時」と「アクセス日時」が「上書き保存」した時の日時に変わる。すなわち最初の文章をもとに手を加えると、ふたたび「名前を付けて保存」しない限り、この文書が最初に作られて保存されたときの日時が「作成日時」として絶えずついて回る。文書を開いて閉じただけでも「アクセス日時」は(1日単位であるが)変化して、たとえ中身を変えなくてもアクセスしたことが分かる。従って前田検事が証拠改ざんをもくろんで日時を変更するのであれば、「更新日時」だけでなくて「作成日時」を同時に変更する方が話が簡単である。なぜなら「作成日時」を2004年6月1日にしたまま「更新日時」だけが2004年6月8日になっていると、たとえ未完成であってもこの証明書の元となるものが6月1日に作られていたことが明白なので、日付の辻褄合わせが難儀になるからである。ところが前田検事は「更新日時」を変更しただけで、かんじんの「作成日時」はそのままである。だから前田検事に証拠改ざんの強い意志がなかったものと私は判断する。

ところで朝日新聞が《検察関係者によると、前田検事が改ざんに使ったとみられる専用ソフトは「ファイルバイザー」。(2010年9月25日16時53分)》と伝えたが、これがFileVisorというソフトと同一のものであれば、これは高機能ファイル管理ツールとして流通しているもので、決してデータ改ざんのための専用ソフトではない。確かにファイルの日時を変更することができる。私もこれで次のテスト用ファイルの「作成日時」を変えてみた。


元来は「作成日時」、「更新日時」、「アクセス日時」ともすべてが2010月9月25日、22:24:59であったのに「作成日時」を2010年8月24日、22:25:01に変更したために、その作業時間分が「アクセス日時」の2010月9月25日、22:25:41に反映している。日時書き換えなど瞬時に終わってしまう。

いわゆる改ざんFDの日時スタンプは朝日新聞のおかげで誰でも目にすることができる。となるとここで私が述べたような「不自然さ」に気付いている人が法曹関係者の中に当然いることだろう。前田検事が証拠改ざんを真剣に考えるのなら、どうせ「更新日時」を変えた以上、「作成日時」もそれに合わせて変えるのが理解しやすい行動だと思うであろう。「作成日時」を2004年6月1日のまま残していることはどう考えても不自然でる。私は前に前田検事の「遊んでいた」との説明を素直に理解出来ると述べたが、その思いは今回の検証でますます強まった。そう考えるとこれまで断片的に報道されているいろんな矛盾が一挙に解決するように思う。

ところで裁判の証拠に使われなかったFDに一体どのような価値があるのかと気になって証拠品事務規程(法務省訓令)を調べてみた。その第一条は次の通りである。

この規程は,刑事事件について押収された物及びその換価代金(以下「証拠品」という。)の受入れから処分に至るまでの事務について規定し,これを取り扱う職員の職務とその責任を明確にし,もって証拠品に関する事務の適正な運用を図ることを目的とする。

これによると少なくとも刑事事件で押収された物を「証拠品」と呼ぶらしい。そのすべてが裁判で「証拠」として用いられるわけではないので、だからFDは「証拠品」であっても裁判上の「証拠」とは異なると判断してよさそうである。そして第二条は(証拠価値の保全)について次のように述べている。

証拠品を取り扱う者は,証拠品が刑事裁判の重要な証明資料であることにかんがみ,常におう盛な責任感をもって,紛失し,滅失し,き損し,又は変質する等しないように注意し,その証拠価値の保全に努めなければならない。

これでみると前田検事は明らかにその定めに違反しているから、その責めを追うのは当然のことである。しかしことはそこ止まりで、「証拠品」の保全に瑕疵があったその責任が問われるだけである。裁判の帰趨を決するような「証拠改ざん」とか「証拠隠滅」とは明らかに異なっている。その意味で「検事、押収資料改ざんか」の朝日新聞記事はなんだか素直にとれないでも疑問を述べたが、報道姿勢に朝日新聞の勇み足があったように私は思う。

ついでに質したい。改ざんされたとされるFDの「アクセス日時」は元来どうなっていたのだろう。2010年8月27日であった筈がないからである。生のデータを示したにしては説明が不十分である。


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