日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

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煙草嫌いに嬉しい話と残念な話

2005-04-06 20:23:56 | Weblog
久しぶりに神戸大丸に立ち寄った。と、目に入ったのが、「受動喫煙の防止に向け、4月1日より店内の喫茶・レストランを全席終日禁煙」とするとの知らせである。煙草嫌いには有難い処置で、さっそく9階ののレストランで昼食を摂ったが、この『お知らせ』はエイプリルフールではなかったようだ。私が気がつかないだけで、他の百貨店もこのような動きが出てきているとすれば嬉しい限りである。

それに引き替え、最近京都のとある天ぷらのお店では残念な思いをした。四条通を歩いていてたまたま目に止まった店であるが、かき揚げ丼と品書きに出ている。東京に出ると必ず一度は口にする好物なので、それを京都で味わえるとは有難いとばかり飛び込んだ。お昼時で満席であったが、ほとんど待つことなく下手すると相客と腕が触れあうぐらい詰まったカウンター席に案内された。

カウンターの中には店の主人であろうか、二つの天ぷら鍋を前にして手際よくリズミカルに材料を揚げていた。一つの鍋は大きな火で、もう一つの鍋は小さな火で熱せられている。高温で揚げられたかき揚げをそのままほとんど油切りをすることなく、半分ぐらいをたれにひたしてさっとご飯の上に置く。丼鉢の縁をはみ出さんばかりの大きさである。そのままさーっと私の前に運ばれた。うーん、美味しい!香ばしくて衣はシャリシャリしていて蝦はプリプリさつまいもはホッコリ。削ってもけずってもかき揚げが小さくならない。あー、幸せ!なのであった。ところが、である。

私はカウンターの一番奥の席であったが、ちょうど主人の前あたりの席でやおら若い女性が煙草に火をつけた。主人が注意するかと見ていたが何も云わない。女性は悠然と煙を吐いている。目の前を見て驚いた。ちゃんと灰皿が置かれているのである。煙草は食後に吸うもの、いや、その女性は終わったのかも知れない。しかし考えてみるまでもなく肩と肩が隣り合ったカウンター席である。自分は終わったにせよお隣さんはまだ食事の最中であるかも知れない。煙草嫌いかも知れない。

ジョン・フォード監督の『駅馬車』のあるシーンを思い出した。アリゾナからニュー・メキシコに向かう駅馬車に無法者のリンゴー・キッドに金を持ち逃げする銀行家、賭博師に売春婦などが乗り合わせている。確か銀行家だったと思うが葉巻に火をつけようとして無法者に注意される。レディー(実は売春婦のこと)の前だぞ、煙草を吸っていいかどうか聞くものだ、と。今や日本ではこのマナーに関してはこの無法者やレディーにも及ばない若い女性が、詰め合った席の隣人に(多分)断ることもなしに煙草を吸うご時世になってしまっているのである。

しかし私はこの店の主人の姿勢も問題にしたい。誇りを持って供するのであろう天丼を、全ての客が快く味わえるための配慮をしてこそ真の食の職人ではないのか。せいぜい天丼を味わうだけの時間である。その僅かな間だけ禁煙を客に求める見識があってしかるべきである。それは『健康増進法』の有無に拘わらず、である。また訪れたい店であるだけに惜しく思った。その店の名は『天周』という。
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