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松山ケンイチ「(陽人は)最初“破滅していく人”だなと思いましたね」2009-06-12

2011-07-31 | 松山ケンイチ

松フリさまんち情報掲示板にて、Seiさまがとても味わい深いインタビューを
教えてくださいました。連日、心が揺り動かされるような素晴らしい記事が
出ているので、じっくり取り上げていこうと思います。
Seiさま、素敵な記事を教えてくださって、ありがとうございます。
(2009-06-12付再掲載です)

松山ケンイチ
「(陽人は)最初
“破滅していく人”だなと思いましたね」
       2009-06-12
記事詳細はここから


――最初に台本を最初に読んだ時にどのような感想を抱きましたか?



松山ケンイチ:(以下、松山)変わった話だなあと思って。どのジャンルにも
属さないというか、ジャンル分けできないなあと思いました。一回読んだだけでは
理解できないですし。そこで、監督の前作である「ジャーマン+雨」を見たんです
が、それもジャンルとか枠にはまっていない感じがして。印象的だったのは人の
持つエネルギーとか生命力みたいのがすごく出てるなと思って。


――松山さんが演じた陽人というキャラクターについて、脚本を読んだ時にどう
思ったか、演じていくうちに変化はあったか教えてください。



松山:最初に脚本を読んだ時は、“破滅していく人”だなと思いましたね。
僕の中で農薬っていうのがアルコールだったりドラッグだったりそういう類の
ものとして捉えてた部分があって。どんどん自分の身を滅ぼしていくキャラクター
だなと。でも演じていくうちに、まっすぐで、素直で、こういう人が奇跡を
おこせるんだって思ったんですね。陽人のキャラクター作りで監督に言われたの
は、共演の幼稚園児達の動きをよく見て欲しいっていう事と、陽人と同じにおいが
するから、ドニー・ラヴァンという俳優さんのお芝居も見てくださいって。
陽人っていうのはいつも違うことを試したがってる人だから、僕も映画の中で
同じ芝居をしてませんし、僕自身も色々な事を試してたりしてましたね。
すごく楽しかったです。


――横浜監督とお仕事をした感想を教えてください。



松山:監督は、考えててることを表現する力がすごいです。後、生命力を感じさせ
る演出が素晴らしいなと思いました。同じ青森出身ということがあって、最初から
親近感と安心感があったので、現場でもスムーズに芝居ができました。


――現場で監督に自分の意見を言うこともありましたか?



松山:その時々にやりますけど、基本は監督に何も言わないで勝手にやりますね。
とりあえずやってみないと何もわからないから、まずやりますね。監督はそれを
見て、「次は後ろ向きに走ってください」とか「壁にはりついてください」とか、
そういう動きの演出をしてくれて。そこは監督の考える“陽人像”ですし、
そこについていきましたね。


――観る人によって意見や解釈が異なるラストシーンだと思います。松山さんは
ご覧になってどのような感想を抱きましたか?



松山:この映画の中で陽人って色々な形に変化していきますよね。でもどんな形で
あれ、精神みたいのは残り続けるって僕は感じたんですね。この映画を観てくださ
る人には、ラストシーンというよりは、陽人の生き方というか前向きな姿勢を一番
見てもらいたいですね。すごくストレートだし、今まで感じたことの無い感情を
陽人に感じるような気がするし。僕はあそこまで強い気持ちっていうのは普段の
生活の中で持てないし、どうしても人目を気にしてしまってるところもあるので。


――撮影時に一番印象的だったシーンと、完成した作品をみて一番気に入っているシーンはどこですか?



松山:作品に出てくる幼稚園児達はみんな青森の子達で、芝居経験もゼロなんです
けど、一緒にやってみて思ったのは、すごく自然でお芝居してる感じじゃなかった
んですよね。そこには僕とは違う生活観があって。子供達にひっぱられるように
お芝居させてもらってました。一番気に入っているシーンは、町子先生と森の中を
散歩している所で、青森にもこんなにキレイな所があったんだってちょっと感動
したし、誇らしくなりました。


――この映画に関して、町子先生の魅力もとても大きかったと思います。
麻生久美子さんの印象を教えてください。



松山:陽人のめちゃめちゃなキャラクターを受け止められる女優さんってなかなか
いないと思いますね。町子先生は麻生さんじゃなかったら有り得なかったって
思ってるし。麻生さんって自然さも持っていらっしゃるんですけど、器の大きさも
感じますし、器が大きいっていうことはどの役も入れることができるから、色々な
監督に愛されるんだなって思うし。そういう役者さんって同じ役者からも愛され
て、必要とされていて、僕もぜひまた一緒にやらせていただきたいと思ってます。
またお会いできるのがとても楽しみですね。



――渡辺美佐子さん、原田芳雄さんというベテランの俳優さん達と共演しての
感想や、学んだ事を教えてください。



松山:まず驚いたのは、方言がめちゃくちゃうまいってことですね。すごく難しい
方言だと僕は思うんですけど、ちゃんと癖を読んでいて素晴らしいなって思いまし
た。僕からはもう何も言えないですね。何言っても軽いような気もするし本当に
偉大な役者さん達だと思ってるんで、一緒にやらせてもらえただけで光栄ですね。



――全く新しいタイプの作品で「ラブストーリー」という言葉からストーリーを
イメージして、劇場に足を運んだお客さんは度肝を抜かれると思いました。



松山:そうですね。僕は、同じような物をお客さんはみたくないと思うし、
僕もやりたくないし、どんどん新しいことに挑戦していかないといけないと
思ってますね。


――今回の横浜監督や「人のセックスを笑うな」の井口監督など、最近30代の
女性監督が活躍していますが、女性監督ならではの演出や新たな自分を発見できた
ことはありますか?



松山:特に女性だからっていうのは無いですね。どの監督もそれぞれ色が違います
し、個性があるとは思います。井口監督から学んだことは、今言った園児達の生活
観と似ている部分でもあるんですけど、台本に縛られすぎないことですね。
横浜監督には、「考えないこと」を教わりました。一つ一つの動きにとくに
理由をつける必要は無くて。横浜監督は本当に独特だから監督の世界でしか
通用しないのかもしれなくて、僕もまだちょっと分からない部分もあるんで
もう一度監督とやってみたいですね。


――個性的を演じることが多いですが、作品を選ぶときにポイントとしてることは
ありますか?



松山:僕、台本を選ぶってことはほとんど無いんですよね。同じ時期に仕事の
依頼がたくさんあるわけでも無いですし、来た仕事はちゃんとやり遂げたいと
思ってますし。選ぶってことをしないおかげで、こうして様々なキャラクターに
挑戦できて、僕はとても幸せなんです。


――役者をしていて、一番大変だと感じる時はどんな瞬間ですか?



松山:一番大変なことは、面白いことが次々と出てくるので休む暇が
なくなっちゃうんですよね。自分自身に戻る時間を自分で作れなくなっちゃうって
いうか。お芝居をすることが本当に楽しくて、常にそのことばかり考えて
しまって、プライベートな時間を大事にできなくなって。そういうところが
一番大変だと思うし、依存っていうか…。芝居に病み付きになってしまいますね。
           (livedoorニュースより抜粋、引用)



このインタビュー、松山さんの言葉を引き出した方、うまいですね。
よそでは読めないインタビューという気がします。

まず陽人を破滅型と見ていたということですが、そこから全くの≪自由人≫と
松山さんが感じるようになるまで、陽人というひとと真剣に向き合った
ことでしょうね。
破滅型から自由人に印象が変わったその瞬間、何をきっかけとしたのか、
聞いてみたいものです。

>この映画の中で陽人って色々な形に変化していきますよね。
>でもどんな形であれ、精神みたいのは残り続けるって僕は感じたんですね。
>この映画を観てくださる人には、ラストシーンというよりは、
>陽人の生き方というか前向きな姿勢を一番見てもらいたいですね。
>すごくストレートだし、今まで感じたことの無い感情を
>陽人に感じるような気がするし。

この発言については映画を観て、それぞれが考えてほしいなと思います。
衝撃のラストシーンに関わってくるのだけど、映画を観た後に、
この松山さんの言葉を思い出してほしいのです。

一番気に入っているシーンは町子先生と森の中を歩いていくところですか。
青森にもこんなに綺麗なところがあったんだ・・って、松山さんが
言われていることにびっくりしました。
自然がたくさんでいたるところが美しく見えるし、森の中というのも、
ずっと知り尽くしていらっしゃったのかと想っていました。
でも、本当にひかりが降り注いで美しい一枚の絵が、つぎつぎに
出てくる感じでした。

常に新しいことを、と考え、台本を選ばず、来た役を考えるあまり、
私生活の時間がなくなってしまうという松山さん。
≪ウルミラ≫に限らず、今、松山さんが考えていらっしゃることを
すこし聞かせてもらえる、味わい深いインタビューでしたね。

素敵記事ここにも




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5 コメント

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Unknown (SS)
2009-06-12 16:57:03
樹さん、こんにちは~。
昨日はありがとうございました。

いやー、たくさん語れてほんと良かった。
そして、そのあとこのインタビューを読むとすごく味わい深いですね。
樹さんが引き出してらっしゃる部分、すごくうなづきました。ラストは衝撃だけど、そこだけじゃないんですよね。それに至る過程っていうのが全てを表しているわけで、衝撃は、そのしるしみたいなものだと思います。みんなが、ストンと、あー、そういうことだったのか、って分かる感じというか。人それぞれ「そういうことだったのか」は違ってくると思うんですけど、でもその違いを全部受け止めた上でストンと分からせる説得力があのシーンにはある気がします。

あー、またすぐ陽人に会いたくなっちゃうな。

SSさんへ ()
2009-06-12 22:53:29
こんばんは~。

ゆうべはどうもありがとうございました。
途中から、深すぎる会話、私の脳みそでは捕まえられなくなりましたよ(笑)
川合隼雄、ああ、昔話と絡める人だ、優しいおじいちゃんって感じなのに、
人間を読み解くちからを易しいことばで語るひとだ・・なんてことが、
ぐうるぐるしてました、
評論読まねばデス、ありがとうございます。

昨日、思ったんですけど、
ウルミラはほんと、ふたりだけのラブストーリーでなければ、
たったひとつのプロセスで読み解く物語でもないのだなあと。
ひょっとしたら、
横浜監督も、松山さんも、その道をそれぞれたどっているだけかも
しれないなあと思いました。
そう思うと、≪ウルミラ≫がもっと広大な地平をもつ話に
思えました。
Unknown (なな)
2009-06-13 01:29:57
樹さん、こんばんは。
Seiさま、ありがとうございます。

キャベツ畑に埋まってどうでしたか?みたいな質問も楽しいけれど、
こういう、松山さんの思いをきゅーっと引っ張り出してくださるインタビューも、とてもうれしいです。
最初は陽人を「破滅の人」と思ってた松山さんが、
そうではなく「自由な人」なんだと、
そう確信されて演じてくださったから、
私たちはあの愛すべき陽人に出会えたんですね☆
陽人は、自分の憂さ晴らしや、恍惚感を得るために
農薬を選んだのではないですものね><

自由な人っていうと、勝手気ままみたいな印象もついてまわるけれど、
陽人は、決してそういうんじゃなくて、
いや、そう見える言動ばかりするけど、
でも心の中身のとこはそうじゃなくて・・・
考えられないくらいやさしい心を持ってて、
><えーん、うまく言えない・・・
陽人は・・・、陽人は、
私にとっては、「愛のひと」ですっ><、
(ああ、叫ぶお部屋が違う、すみません)

大ベテランの俳優さんへの感想を聞かれて、
あえて深く言及せず、おべんちゃらも言わず、
光栄です。とだけおっしゃってる松山さんが、
とても松山さんらしいと思いました。
その松山さんに、
>横浜監督は本当に独特だから・・・
とか、
>僕もまだちょっと分からない部分もあるんで・・・
って言われてる横浜監督って(笑)。
原田芳雄さんの演技にNGを出して、
ご本人に「度胸があるな」と言われたんですよね、監督。(たしかパンフに・・・)
やっぱり横浜監督は、すごい!

どんどんズレたこと書いてすみません。
もう一度、陽人に会いたいから、そのときは
このインタビューや、昨夜のウルミラナイトでの皆さんの深ーい深ーい考察を、
頭に入れて(私のオミソに入るかな・泣)、
またあの不思議な世界に行けたらいいな♪と思います。
ななさんへ ()
2009-06-13 09:57:20
おはようございます、ななさん。

あのスピードのなかで、
右往左往して、自分の想いを両手で抱えて、
やっと下ろせるところがあったと
そんな、ななさんの姿が目に浮かぶようで、
涙、出ました。
とっても素敵な感想をありがとうございます。

≪ウルミラ≫くらい、ストーリーがただの公式ガイドで、
そんなふうに遊んでもいいテーマパークのように思えた映画はありません。
テーマパークより、ずっと長い事ファンタジーに浸って、
でもファンタジーだけじゃなくて、リアルなちからをもくれる場所ですよね。

繰り返しあの≪ウルミラ≫世界にはいっていることで、
生命力と愛が育つ気がします。
横浜監督はバンドもやっていらして、本当は音楽をやりたかったみたいで、
「うおっしゃあ、世の中、壊してやるぜ!」的なエネルギーに満ちていますよね、
でもたたずまいは静か←こういうひとほどおっかねえ(笑)

松山さんはいろんな映画で大ベテランと言われる方々と
共演されていますよね。
謙虚に、でも、隅々まで栄養にしていると思いますわ(笑)
原田芳雄さんが≪役者としてなかなか出会えないハマリ役≫と
松山さんの陽人役を言われていましたが、
原田さんが知らないだけですね、
松山さんにとって役はいつもはまり役です笑

ななさんはななさんにしか書けない感想をしっかりとお持ちです。
私もついてゆけない深遠な談義があるけど、
感動は優劣がないじゃないですか、
自分の陽人・・でいいですよ。
また、いっしょに、今度はゆっくりと語りましょうね。


Unknown ()
2009-06-13 09:58:40
すみません、訂正です

そんなふうに遊んでもいい→どんなふうに遊んでもいい

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