弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

姉の事故死を目撃した「妹」も慰謝料請求が認められるか?

2007年06月04日 | 法律情報
慰謝料請求については、民法上、次のような規定が設けられています。

民法710条
「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」

民法711条
「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」


民法710条は字義通り読めば、身体等が害された場合、あくまでも害された本人が慰謝料請求できることが規定されています。
一方、民法711条は、生命侵害の場合、被害者の父母・配偶者・子が慰謝料請求することができると規定されています。
そうすると、本件事例のように姉が死亡した場合、妹が慰謝料請求する民法上の直接的な根拠は無いことになります。

しかし、東京地裁は、妹の慰謝料請求を認める旨の判決を出したと報じられています。

関連するニュースへのアドレス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070603-00000113-yom-soci


民法は、刑法と異なり、必要に応じて類推解釈が認められています。
今回の判決理由を読んだ訳ではありませんが、おそらくは民法711条の類推解釈という手法が使われたのではないでしょうか。

結論的には妥当だと思われますが、ただ、今回の事例は「事故死を目撃していた」という点に重きが置かれているようですので、一般論化することはできない事例だと思います。

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