ランプ亭のちいさな本

森の奥、ランプの灯りともる小さな喫茶店。のつもりでおくつろぎ下さい。

語りと沈黙

2021年01月06日 | 今日の贈り物 -日記-
 仕事が始まりました。少しずつ仕事モードになっていきたいと
思います。お休みの今日は、少し出かけていました。

 写真は、お花屋さんで選んだお花です。最初に手に取ったのは
ワインレッドの珍しい枝ものでした。名前を忘れてしまったので
すが、美しい姿だなと思いました。それにブランデー色のバラと
白いニゲラを合わせ、物足りなくてルージュのような色のバラを
合わせてみました。不思議な取り合わせですが、今日の直感に
従う楽しさがお花選びにはあります。なぜか冒険してみたくなる
のが面白いです。


 今日は、カフェで3時間くらいかけて一冊の本を夢中で読んで
いました。宮坂道夫さんの『対話と承認のケア ナラティヴが
生み出す世界』という本です。帯に「人の物語に触れること。
なぜ、それはケアなのか。」とあります。その一文に触れて、
読みたくなりました。

 ナラティヴ、語りは、空気のようにあまり意識されていない、
という著者の言葉に心の中でうなずきました。あまり意識されて
いないけれど、沈黙と同じように私にとって大切な言葉だった
からです。(「語り」と「沈黙」、逆のようですが相互に補完
しあう大切な存在だと思っています。私は、ピカートの『沈黙の
世界』という沈黙のすばらしさについて書かれた本がお守りの
ように大事だと感じています)

 この本を読んでの感想が、すらすらとは出てこないのですが、
話を聴く側にも「いずれは死ぬ」という時間の有限性があると
感じる時、人は話をしてみたくなる、というような文章が心に残り
ました。そこにあるのは、「弱さ」だというのです。聴いてくれる
人の弱さに触れる時、人は(通じ合うかもしれない)と思うのかも
しれません。完全な球体には沁み込む隙がありませんが、傷ついた
やわらかい心には、相手の心の揺れ、色、温度などが、沁み込む
余地があるのかな、と想像を広げました。ピア、というのは
そういう通じ合う可能性をたくさん秘めた存在なのだろうなと
思いました。

 明日も、私は患者さんに出会うわけですが、沁み込む隙である
自分の弱さは大事に傍らで感じていたいと思います。
 語りと沈黙、どちらも深めていきたいテーマです。深く関心の
ある領域の本を読めて、とても嬉しかったです。
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新しい年の始まり

2021年01月01日 | 今日の贈り物 -日記-
 新しい年の始まり、読んで下さっている皆様の幸いを祈って
おります。今年もどうぞよろしくお願いします^^

 今年は実家に帰ることを断念し、自宅で過ごす年末年始です。
リモート年越しそばやリモートお正月を体験しました。年賀状を
見たり、断捨離をしたり、好きな音楽を聴いたりと、のびのび
冬休みを味わっています。

 ふと、子供の頃の夢、山奥のクッキー屋さん、を思い出しました。
街中で営むのと、山奥で営むのとでは、客層が違うことを思っての
場所の指定だと思います。あるのが当たり前、という世界から逃げ
出して、あってくれて嬉しい、と思ってもらえることもあったかも
しれません。そして、ぬくもりは寒さの中でよく感じられるように、
暗い山の奥の思いがけないクッキーに、みんなが喜んでくれると
思ったのだと思います。今の仕事からクッキー屋になることは叶い
ませんが、その中心にある思想は、今の仕事に脈々と流れていると
いいなと思います。患者さんを暗がりから光の中へ引き出すのでは
なく、その暗がりの傍らへ出かけて小さな明かりを置き、ひととき
ともに過ごす、そんな働きを今年もできたらと思います。


 写真は、公園のベンチに座っていたスノーマンです^^
誰かが作った力作と思われます。


 
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こつこつ

2020年12月24日 | 今日の贈り物 -日記-
 今年も一年、読んで下さったおひとりおひとりに感謝いたします。
来年が、おひとりおひとりにとって心温まる日々となりますように。


 先日書きました新しい仕事は、決意して引き受けることにしました。
授業で教えるというお仕事です。
 今時点で気分的にも体調的にもよいということと、先日受けた資格
試験に向けて自分が思いのほかこつこつ準備をするのが苦でないこと
がわかったことが決め手になりました。

 新しい仕事は来年の夏にあります。それまで少しずつ準備をして、
学生さんたちのお役に立てればいいなと思います。

 写真は試験を受けた後の淡い夕空です。試験前の外気温ー10.9度
とかなり低く、雪の降りしきる中での試験でした。受かっていると
いいなと思います。

 それでは、また来年どうぞよろしくお願いします^^
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今日一日に

2020年12月09日 | 今日の贈り物 -日記-
 新しい仕事が目の前にあって、引き受けるかどうか、迷っている
ところです。

 診療の傍ら準備を行うことになるので、体力、気力、能力、いろいろ
自信がないのですが、頼まれたことが素直に嬉しくて、心は引き受け
たがっています。

 答えはもう自分の中で決まっているような気がするので、あとは
覚悟を決めるだけかもしれません。

 来年は変化の多い一年になりそうです。私は、職場に入る前に
(今日一日を乗り切る、今日一日)と心の中で唱えます。今日しか
ない今日に集中する自分なりの儀式です。ちょっと、リングに上がる
ボクサーのような感じもあるかもしれません。あるいは、お茶席に
入る時の茶人のようでもあるかもしれません。
 来年も、変化が多くても一日一日、同じように今日一日の集中を
繰り返していきたいと思います^^

 写真は往診の帰りのスイーツ、ショコラモンブランです。
和みました^^
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彩りの季節

2020年11月02日 | 今日の贈り物 -日記-
 散歩をすると、あちこちに紅葉や黄葉をした木々があり、
ぱっと心に明かりの灯る心地がします。光を浴びるとなおのこと
美しく輝きます。

 医師として、私は日々の診療でその真髄では何をしているのか、
いつも問い続けていますが、先日同僚が言った「関心を持つ」
という言葉は大きなヒントになった気がします。

 マザーテレサが「愛の反対は憎しみではなく無関心」と言った
ように、関心を持つという愛ある行為をなそうと、時間の制約や
体力・気力・想像力の限界を持ちながらも一診療入魂で、
頑張っているのかな、と思いました。

 関心を持つことのイメージとして、太陽の光が浮かびます。
照らされて、温められて、ゆるむイメージです。私にそんな
力があるということではなく、存在には等しくそのような力が
あるのではないかと思います。そこにいることの価値。最近、
そこに私のいる意味を感じています。自分の至らなさを自覚
しながらよりよくなろうとするベクトルを保ち、相手に関心を
注ぎ続ける、そんな自分でいられたらと願います。
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ナイチンゲール

2020年11月02日 | 今日の贈り物 -日記-
 静かな喫茶店で、ナイチンゲールの『看護覚え書』に関する本を
読んでいました。看護師が何をすべきで、何をすべきでないか、
細やかに書かれた本の図説本です。

 換気、清潔、など現代の看護の基本を説いたことが改めて伝わって
きました。今のコロナ対策と同じことが19世紀にナイチンゲールに
よって書かれていて、混沌の中から当たり前を見つけていく見る目の
確かさに驚かされました。

 ナイチンゲールが野戦病院で勤めていた頃、病院の環境はいいとは
言えず、入院しても衛生状態の悪さから亡くなる人も多かったようです。
その環境を変えるべく、まず掃除を徹底し、換気を行い、日光を浴びる
よう勧めるナイチンゲールの姿が目に浮かぶようでした。

 看護師とは人の持つ生命力に力を貸す専門職と位置づけたナイチンゲール。
医師は庭師である、と例えた私の好きな医師のことも思い出しました。
木を作るのは医師ではなく、医師にできることは整えたり、力を貸すこと
だけだ、という点が、ナイチンゲールの姿勢と通じます。

 窓辺の席で、日が暮れる早さを感じながら、ナイチンゲールへの敬意を
胸に本を閉じました。
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キャラメルラテ

2020年10月19日 | 今日の贈り物 -日記-
 往診の後のキャラメルラテです^^
コーヒーのほろ苦さがきいていておいしかったです。

 秋は、センチメンタルになる季節だなぁと、夕焼け雲を
見ながら思いました。これからやってくるモノトーンの
季節の使者として、雪のように白いわたをつけた小さな虫、
雪虫が飛んでいます。

 往診も、いろいろ考えさせられました。願いはただ一つ、
患者さんの幸せなのですが、それを叶えるためのスタッフの
犠牲が大きい場合、悩ましいなと感じます。人間が人間の
力になろうとすることの限界にぶつかっているような気がします。
それでも、いずれその患者さんと桜の季節に一緒にお花見して
「きれいですね」と笑いあえることを願いながら、地域での
暮らしを守ろうとするんじゃないかと思います。

 精神科医療はスパッときれいに割り切れないのが、大変さであり、
私が生息できる理由でもあるなと感じます。人の心が、容易に
数値化できず思いもかけない動きをするものだから、各パラメーターの
数字を覚えたり、動きのマニュアルを理解したりが苦手な私も、診療
らしい働きができるんじゃないかと思います。精神の謎、未知の部分に
助けられています。わからないことをわからないまま答えを出さないで
いる、私のあいまいさも功を奏しているかもしれません。(「先生の
方針を教えて下さい」と言われるのが怖い、意見を持っていない医者です)

 と、徒然に思いつつ、自分を助けて生きていくだけで大変だな、と
改めて感じます。今年も冬眠してしまわないよう、頑張りすぎず
やっていきます。

 

 
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祈り

2020年10月12日 | 今日の贈り物 -日記-
 誕生日を迎え、今年もろうそくを灯してお祈りです。

 私にできることは、いつも小さなことばかりですが、
ここにいることが誰かの小さな明かりになっているなら、
と願います。

 私の中にも、これまで出会ってきたたくさんの人の
明かりが灯っています。その一つ一つの明かりに感謝
しています。

 暗がりのろうそくの炎は、ゆらめきながらもとても
力強く、はっとするほどでした。

 新たな一年も、ゆっくり深めていきます。
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実りの秋

2020年10月09日 | 今日の贈り物 -日記-
 お花の教室でした。今回は豊穣の秋を感じさせるブーケを
作りました。いろいろな種類の実を、鳥の巣のようなホルダーに
挿していきます。

 できあがりのにぎやかな色合いに、楽しくて心が躍りました。
りんどうの青紫が美しい差し色になっています。

 
 北海道に来て6年半が経ちました。患者さんと喜び、悲しみ、
不安、怒りなど、多彩な感情を分かち合いながら、ここまで
きたなと感じます。相変わらず荒削りで不器用なままですが、
ぬくもりや祈りが患者さんに届く時間であったならと願います。
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コスモス

2020年09月11日 | 今日の贈り物 -日記-
 街路樹の足元にコスモスが揺れています。

 精神科医の仕事は、患者さんとの関係性を紡いでいく
こと、と思ってきました。その関係性を軸に患者さんが
安心して思いを語れるよう、工夫を重ねてきた日々だった
と思います。

 精神科医と患者さんが関係性を築くことを、治療同盟を
結ぶ、と言ったりしますが、ある時それがガラッと崩れて
しまうことがあるんだな、と最近患者さんから学びました。

 今、毎週観ている『ディア・ペイシェント』という医療
ドラマがあるのですが、その中の女性医師が訴訟を抱えて
おり、自分の死と引き換えに慰謝料を払おうと、亡くなる
場面がありました。誠実で、患者さん思いなその医師の
死がつらく悲しくて、訴訟を機に亡くなるなんて残念すぎる、
と思っていました。

 でも、訴訟までいかなくても、医師は、患者さんに
「治療が間違っている!」と責められる時、これまでその
方との間に築いてきた同盟関係が崩れ、かなりぐらぐらと
心が揺れるものなのかもしれないなと感じ、今はドラマで
亡くなったその医師の苦悩が少し理解できるような気が
しています。患者さんを苦しめるつもりで行ったわけでは
ない治療が、患者さんを苦しめている時、誠実であろうと
するほど、自分の思いと現実の違いに苦しむのだろうなと
思います。

 関係性は悩ましいものでもあるけれど、ほっと心を助けて
くれるのもまた、関係性だったりします。未熟な自分なりに、
精一杯それぞれの診察の時間心を尽くすしかないな、と感じ
ています。
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