舞栗倉庫

過去ログ

東池袋大勝軒系列的大勝軒

2006-08-01 19:22:14 | Food
僕は子供の頃から好きなものが見つかるともうそればかりにしか目がいかず、飽きるとまったく手を出さなくなる性格だ。

小学生低学年でクレヨン12色セットを買ってもらった。クラスの中でも裕福な家の子として皆の認識が一致している近藤君は36色セットを持っていた。僕の12色セットは一列なのに対して近藤君のは2段になっていた。おまけに金と銀が入っていた。いつか金か銀を使わせてもらおうと虎視眈々と隙を狙っていたが、敵もガードが固いし僕は近藤君に嫌われていたのでチャンスはない。結局諦めざるを得なかった。
子供心に世の不平等を嘆いた。

当時のマイブームは青。お絵描きの時間になると青のクレヨンだけは必ず使っていた。自ずと青のクレヨンばかり短くなって、出来上がった作品は青がメインのものとなった。「青の時代」の作品を描き残したピカソの再来かと自分で疑ってみたが、作品の完成度の評価を待つまでもなくそれはあり得ないことが確認できた。自分で言うのもはばかれるが「ヘタ」の一言で片付く腕前だったのだ。

第一その頃ピカソはまだ生きていた。

青のクレヨンがなくなる頃、僕の「絵の時代」も終焉を迎えていた。
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昨春だったか近所のラーメン屋に10年ぶりに入った。純粋に美味いと思った。10年前は美味いとは思わなかったということは、店のオヤジが味の研究と努力を重ねた結果、僕の舌が満足する域にまでラーメンの完成度が上がったと考えるのが正しいのか、僕の味覚が年齢とともに鈍くなって来て、このチープなラーメンでも美味いと感じるようになったと考えるのが正しいのか、どちらだ?

敢えて言及しない方が自分のためであるように感じるので考えるのはやめておこう。

しかし美味いと思ってしまったことは割けて通ることの出来ない事実であり、僕のぶ厚い胸で現実を受け止めてやらねばならない。
それからしばらく狂った猿のように通いつめた。

毎日11時、株式市場の前場が閉まるとラーメン屋へ直行。
こんちは、と店に入り新聞を読んで待っていると、何も言わずともいつものラーメンが脂少なめで出て来るようになった。店のオヤジも狂った猿のように条件反射するようになった。
狂った猿が作ったラーメンを狂った猿が食らう。日々狂気の沙汰が繰り返されるのであった。

食べ終わり、買い物をして帰宅するともう翌日のラーメンのことが気になる。ホントに狂ってしまったのかと一瞬我ながら怖くなったが、もともとまっとうな人間だと人様から思われたことはないし、自分でも思ったこともないのが自慢の一つだ。心配には及ばない。

今日は一味唐辛子を入れたので明日はラー油にしてみよう。今日は脂が幾分多かったようだ。オヤジの怠慢だ。明日は注意してやらねばなるまい。ヤツもプロなのだからな。隣で食べていたオニイちゃん、足は組むし肘もついていた。みっともないから注意してやろうかとも思ったが「人間、みな他人」という座右の銘に従いやめておいた。だってTATOOしてて怖いも~ん。

そんな狂った日々を送っていたある日「わたし、ラーメン嫌いになりそう」と言うカミサンの一言で我にかえった。
以来そのラーメン屋には行っていない。
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昨夜突如として「大勝軒」が頭に降りて来た。神のお告げか?夕飯を食べたあとなのに気になってしょうがない。本家の東池袋大勝軒で食べたことがただの一度もないのに気になってしょうがないのだ。気になって気になって、夜もぐっすり寝ることが出来た。

(昨夜はカツオの刺身を食べた。今年はカツオの当たり年。当たりすぎなのは良いとして、ガソリン代が高くカツオの漁師は商売にならないほどだ、と新聞にあったがまだ店頭価格には反映されてないみたいだなぁ)

池袋で勤めていた頃も、昼休みは1時間しかないのでに2時間も本家で並んでしまったらそれだけでタイホされちゃうわけで、もちろん本家には行ったことはなく、系列的では「ごとう」と「七福神」に何度か行っただけ。今ではいろいろな場所に雨後のタケノコ族のように「大勝軒」が出て来ているけれど、当時はそんなになかった。本家のタイムリミットが影響しているんだろうか。
何年か前の開店当初に入った「小金井大勝軒」では、ごとうや七福神との味の違いに「これが大勝軒かい?」と憤慨したものだが、今でも店が健在ということは食べる人達の味覚の差はあるだろうけど基本は外れていないに違いない。こいつは確めるかと今日行ってみた。

11時5分。お客さんは2割の入りか。あとから入っては来るが11時30分に退店する際も4割程度のお客さん。
「中華」を発注。待つこと10分。カツオの香りは充分にある。イケるのか?スープを一口。期待していたよりは淡白な印象もあるが前回よりも数段イケてる。
大好きな一味唐辛子を振る。い~んじゃない?ラー油でもなく、豆板醤でもなく、一味です、やはり。
麺をすする。い~んじゃない?本家の麺は柔らかすぎるって書き込みが多いけど、茹で時間6分であげる七福神程度の固さ。出て来た時間からして茹で時間も同じくらいなのかなぁ。
ニンニクを入れる・・・ダメダメじゃん。入れちゃぁいけなかったのね。僕が悪うございました。
チャーシュウを噛む。差し歯が取れちゃうかと思ったよ、というのは言い過ぎにしても・・・僕にはCOOLじゃないなぁ。

ボリュームあるからガッチリ食べたい人には・・・ん?がっちり?
夢路いとし・喜味こいし師匠がMCをやっていた「がっちり買いまショウ」っていう日曜日の番組、思い出した。「ななまんいぇん・ごまんいぇん・さんまんいぇん、うんめ~のわかれみちっ」ってカメラ目線でわざと口を大きく開けてた・・・素朴な時代だったんだなぁ、家族皆で見てたけど今放映しても視聴率取れるのかなぁ?無理だな。最高の賞品金額が7万じゃ。

「次の挑戦者は結婚を控えていらっしゃるお嬢さんとそのお父さんです。今日は嫁入り道具を手に入れます。」「・・・今ご自分の計算ではいくらになってますか?・・・あと30秒です・・・足りない3,000円分はカレーのルゥで・・・」調整でカゴに鷲掴みで入れてたオリエンタルカレー、懐かしいなぁ。
「あ~ぁ、最後にオリエンタルカレーを取らなければよかったんですねぇ、残念でしたぁ!」

何の話だっけ?
そうだ小金井大勝軒だった。
感想は・・・狂った猿になりそうで怖い。