いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】愛情物語

2010-05-27 | 邦画 あ行

【「愛情物語」角川春樹 1984】を観ました



おはなし
みんな、わたしをオトナシイ女の子だと思ってるでしょうけど、ダンスをさせたらスゴイんだから。by知世

原田知世の主演第二作かつ、角川春樹の監督第二作です。「時をかける少女の知世ちゃんが好きだ」程度のライトなファン(自分のこと)だと、あまりな展開に、ちょっとついていけない部分が。

赤いトウシューズのアップ。そして、ミュージカルが始まります。外人ダンサーに混じって、ヒロイン(村田香織)が踊りまくるミュージカルの名前はカーテンコール。なんていうか、あまりに微妙なデキに涙が出てきそうです。そうですねえ。しいて言えば、マイケルのPVとフラッシュダンスを足して、5で割ったくらい? しかし、そんなきらびやかな(トホホな)舞台を熱視線で観ていた仲道美帆(原田知世)は決心するのです。あたしも、あの舞台で踊るわ。

ということで、早速、オーデション情報をメモメモする美帆に、一緒に観ていたお母さん(倍賞美津子)が聞きます。「バレエどうすんの」「やめる」「せっかく今まで」「いいの。クラシックはおしまい」。

ところで、美帆は捨て子だそうですよ。ある日、赤いトゥーシューズと一緒に捨ててあった美帆をお母さんが拾い、大事に育ててきたみたいです。そして、なぜか美帆の誕生日にかならず届けられるお花。美帆は、その送り主を「あしながおじさん」と呼んで、もしかしたら本当のお父さんかも? と夢見ちゃっているのです。そして、今日、美帆の16歳の誕生日にも、やはりあしながおじさんからお花が届きました。そのお花を見て、美帆の小さな胸はズキンとうずきます。バレエをやめてしまって、あしながおじさんが「怒らないかなあ」。えーと、気を使うなら、今までバレエを習わせてくれたお母さんの方に使えよと思わないでもありません。

ということで(何が?)、どこかで、いきなり踊りだす美帆。もうフラッシュダンスばりの激しいダンスをバリバリ始めちゃいましたよ。画面分割を使ったりして、ノリノリのダンスシーンが3分間ほど続きます。もっとも、観ているコッチはぜんぜん、乗れないんですけど。と、いきなりダンスをやめて、自転車をこぎだす美帆。線路だってバリバリ走りますよ(よい子はまねしないように)。キキーッ。自転車を放り出すように家に駆け込んだ美帆は、慌てて赤いトウシューズを取り出しました。うんしょ、うんしょ。「履けた。とうとう履けた。あしながおじさんに会いにいけるんだわ」。何がなにやら、さっぱり。

帰ってきたお母さんに、美帆は息せき切って報告します。「履けたのよ。お母さん。ピッタリになったの。約束したわよね。このシューズが、あたしが捨てられた時に一緒に入ってたこのシューズが履けるようになったら、あしながおじさんを、お父さんかもしれない人を探しに行ってもいいって」。困惑するお母さん。「だけどねえ。世の中には知らなくても、ううん、知らないほうがいいこともあんのよ」「でもでも、ずっと小さいころからの約束だったわよね」。

お花屋さんをだまして、お花の贈り主を探り出す美帆。送り主は金沢の篠崎拓次という人らしいですよ。さらに、送り元のお花屋さんは長崎だそうです。ふむふむ。じゃあ、とりあえず金沢へゴーだわ。もっとも、「カーテンコール」のオーディションも受けたいから、時間は一週間くらいしかないけれど。ぬっ。黙って両手を差し出して、お母さんからお金をもらう美帆。なんていうか、基本的生活習慣ができてないような。

ここは、九谷焼を作っている窯元。職人の篠崎拓次(渡瀬恒彦)は、ろくろの上で回っていた粘土をぐしゃりと潰して言います。「この土じゃダメだ」。相方の職人(ジョニー大倉)に、文句を言いまくる拓次。「手触りっていうか、肌触りっていうか、違うんだよな」。えーと、土がダメなら仕方ないですよね。まあ、職人として、その言い草はないだろ、とか思わないでもありませんが。と、そこに「あのう。ごめんください」と美帆がやってきました。拓次に向かって、「あたし美帆です。仲道美帆です」と言い出す美帆。しかし、美帆なんて名前に覚えのない拓次はキョトンとしています。「じゃ、赤いトウシューズ。赤いトウシューズなら分かりますよね」「赤いトウシューズ?」「待っててください。すぐ持ってきますから」。ズドド。外に放り出してあったカバンを取りにいく美帆。しかし、ぎゃああ。なんとカバンの中があらされ、お金が抜き取られてましたよ。ほとんど30秒くらいの早業。なんていうか、金沢ってデンジャラスシティですか。

ともあれ、そんな美帆に死んだ妹の面影を見た拓次は、かわいそうに思って、お金を貸してあげることに。「これ貸してあげるから。返すのいつでもいいから。これで東京に帰んなさい」。でも、美帆はひとあじ違う女の子です。「どうもありがとうございます。でも、お返しするのちょっと遅くなってもいいですか。長崎に行ってみたいんです。お誕生日のお花。長崎のお花屋さんから手配されてきたんです、だから、長崎に行けば、きっと」。すばらしい。旅先で借りたお金で長崎旅行。ヘンな行動力ありすぎです。

ま、それはともあれ、自分探しというか、土探しのために、四国の砥部を皮切りに九州の伊万里に向かうことにした拓次。しかし、そこに美帆が勝手にくっ付いてきちゃいましたよ。「伊万里って、長崎の近くなんでしょ。一緒に連れて行ってください。ご迷惑はおかけしませんから」。いや、だからすでに迷惑をかけてるじゃん。ま、そんな常識を軽々と捨て去った美帆は、「チョト待ッテクダサイ、アイアイアイ」とかいうヘンな音楽をBGMに、電車のデッキでバリバリ踊り始めちゃうのです。ホント、ちょっと待て。ちょっと落ち着け。

さすがに、拓次も、美帆の不思議少女っぷりがヤバイと思ったんでしょう。途中で美帆を撒くことに。さささっ。しかし、拓次が翌日、フェリーで四国に渡ると、うわっ。桟橋で美帆が、まるで捨てられた子犬のような雰囲気で待ってましたよ。「6時半のに乗ったの」「うるうる(涙目で)」「ずっと、ここにいたの。一人で」「……こくっ」「バカだなあ」。思わず、肩を抱いて連れて行く拓次。でも、ちょっと待ってください。一歩間違えると、変態おじさん扱いになっちゃいますから、気をつけて。

砥部の窯元を巡った二人は、いよいよ九州に渡ることに。しかし、寝ている拓次の目を盗んで美帆は、船倉に向かいましたよ。美帆が階段を下りると、階段がピカピカ光ったりしつつ、レッツ・ミュージカルタイム。今度はアメリカの田舎が舞台でしょうか。どことなくジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョンが出た「グリース」っぽい感じです。

ぴゅー。上甲板で風に吹かれている美帆。そこに拓次がやってきました。「寒くないのか」「ううん、熱いくらい」。まあ、確かにあれだけ狂ったように踊りまくればねえ。「ちゃんと汗拭かないと、風邪ひいちゃうぞ」「大丈夫っ。大丈夫よ」。と、思ったら、いきなり風邪でダウンしてしまった美帆。「ごめんなさい。お仕事の邪魔しちゃって」。ずっきゅーん。知世ちゃんに「ごめんなさい」をされて、怒るわけありません。

カコーン、カコーン。採石場でハンマーを振るっている拓次。なんか、製作が東映だし、どうみても悪人の一個分隊くらいが、ゲヘヘと登場しそうな場所です。しかし、これはアイドル映画なので、出てきたのは、狂ったように踊りまくる知世ちゃん。……。あ、踊り終わったみたいです。そのまま、なんとなくじゃれ合う二人。なんていうか、イチャつくなよな、って思う今日この頃。

さらに、ピックアップトラックの荷台でリンゴを分け合って食べたり、つり橋の上から渓流を眺めたりする二人。ちなみにBGMは、♪When a man loves a woman♪、そう、「男が女を愛する時」だったりします。ごくり。ええと、まさか原田知世と渡瀬恒彦がくっ付くという禁断の展開なんでしょうか。

いえいえ、そうはなりません。というか、それじゃ犯罪ですもんね。その代わりに、紳士的な拓次は、伊万里行きを後回しにして、美帆を長崎に連れてきてあげたのです。しかし、肝心のお花屋さんに行くと、店主のタコ社長(太宰久雄)が衝撃の証言をしました。なんと、匿名の人物に花を贈るように頼まれたものの、送り主の名前がないのも何なので、本に載っていた拓次の住所氏名を適当に使ってしまったというのです。なんじゃソレ。「そんなことでひとの名前、勝手に使ったんですか」とあきれ果てる拓次ですが、まあ、拓次があしながおじさんという疑惑は、これで無くなりましたね。もっとも、それじゃ単に、16歳少女をあちこち連れまわす中年男といえなくもないんですが。

さて、ハートブレイクな美帆がトボトボと歩いていると、視界の端に何か気になるものが。こ、これは。なんと、近所の写真館のショーケースに飾られているのは、自分の小さな頃の写真じゃありませんか。キレイな女性(加賀まり子)と一緒に写っているのは、間違いなく3歳のころの自分です。「どうした」「あたし、あたしだわ」。早速、写真館に入り、店主にアレコレ聞いてみる美帆。すると、一緒に写っている女性は、近所の大きなお屋敷に住む大森様だそうですよ。そうなれば、善は急げ。レッツゴー。

どどーん。巨大な洋館がそびえています。いかにもホラーな感じです。「入ってみよう」。拓次がそう言うと、美帆は「ちょ、ちょっと待って。あたしひとりで行かせて」と言い出しました。「いや、だけど」「お願い。ひとりで会ってみたいの。あたしのあしながおじさんに。お父さんかもしれない人に」。なんていうか、ここに至って、拓次はお留守番ですか。むごいよなあ。

ともあれ、ホラーな女中に案内された美帆が、ソファーにちんまり座り、テーブルに赤いトウシューズを出して待っていると、うわっ出た。西洋人形のような服(それもピンク)を着たヘンな女の人(加賀まり子)が、「あたしのよ」と美帆のトウシューズを持っていっちゃいましたよ。「うふふ、きゃはは」。笑い声からして、イッテますね。唖然としていた美帆ですが、とりあえず、そのヘンなおばさんを追うことに。すると、アンティークな西洋人形やらオルゴールが充満した部屋で、ヘンなおばさんが、白鳥の湖のオデットのカッコをして、赤いトウシューズを履いてる真っ最中じゃないですか。げげっ。ビビっている美帆ですが、その細い肩に、いきなり手が。ひぃーーっ。それは、この屋敷の主人、大森泰三(室田日出男)でした。「なんのようですか」「あの、あたし、仲道美帆です」「それで」「美帆です。仲道美帆です」。どうも、美帆は自分の名前を言えば、全て解決!と思ってるみたいですね。ま、それはともあれ、写真館に飾ってあった写真をネタに追求すると、泰三はようやく真実を語りだしました。「妻は美帆ちゃんを貰ったころから、気がおかしくなってきたんだ」「貰ったって、何のこと」「美帆ちゃんは二度貰われたんだよ。一度目は私たちに、しかし……」。つまり、本当の両親は交通事故死。そして、加賀まり子の気が狂ったので、親友の倍賞美津子が引き取ったんだそうです。「分かりました。お花、今までありがとうございました。さようなら」。さささっ。まあ、なんてドライな子なのかしら。

待ちぼうけの拓次に抱きついて、ひとしきり泣いた美帆は、お家に帰ることに。なにしろ、オーディションが待ってますからね。野望に向かって、踊りまくらなくては。さあ、レッツダンス。

ということで、外人ばっかりのオーディション。というか、いちおう、ここはアメリカという設定なのかな。そこに拓次がやってきましたよ。「来てくれたの」と顔を輝かせる美帆に、拓次は言います。「うん。ひとり?」「ううん、母と一緒よ」。恥ずかしそうに挨拶をする拓次とお母さんはほっといて、さあ、オーディション開始よっ!

バリバリ踊る美帆。どうみても戦闘力の高そうな外人たちを蹴散らし、次のステップへ。そうして、ついにはオーディションに通ってしまいました。「お母さん、やったわよっ!」。しかし、お母さんは待っている間に、拓次とラブラブになって、二人で仲良く去っていってしまうのでした。はあ?

オープニングで展開されたブロードウェイ(多分)ミュージカル「カーテンコール」の幕が開きました。しかし舞台の中央で踊っているのは美帆。「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールスだって。はん、あたいのダンスの方が上だよ。マイケル? ダレだよ、それ。そんなイキオイで踊りまくっている美帆は、万雷の拍手に包まれるのです。


あ痛っ。痛たたっ。なんていうか、知世ちゃんの熱狂的なファン以外には、痛すぎる作品でした。まあ、知世ちゃんのダンスがうまいのは認めますけど、それも日本の、そしてアイドルにしては、という条件つき。この映画の前年に公開された「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールスを観てしまったあとで、これはないよなあ。ちなみに、僕は「フラッシュダンス」を公開時に観て感激。さっそくサントラを買い込んだ覚えがありますが、この映画については、当時、その存在すら知りませんでしたからね。

監督としての角川春樹は、実はかなり好きです。でも、これはちょっと。どちらかというと、「REX 恐竜物語」みたいに、ヤラカシタ系の作品じゃないでしょうか。まあ、仮に倍賞美津子が主演で踊りまくったりしたら、とてつもなく評価できたんですけどね。もしくは、倍賞美津子と加賀まり子の役が入れ替わっていて、倍賞美津子がエプロンドレスを着たり、バレリーナのカッコをするのも可。というか、そんな映画だったら、ちょっと悶え死にます。







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【映画】鬼検事

2010-05-20 | 邦画 あ行
【「鬼検事」関川秀雄 1963】を観ました



おはなし
殺された父(山村聡)の代わりに、息子(高倉健)が巨悪に立ち向かっちゃったりします。

健さんが真の意味での「健さん」になったのが「網走番外地」からだとすれば、その前のネオ健さん時代の作品です。なので、いまいちトホホ風味が漂うところが、また良しでした。

「いいか、よく聞け。近いうちに3年前のお礼参りにお伺いする。あんたのご主人に臭いメシを食わされたお礼だ。冗談かどうか、いずれお分かりになるだろうと思うがね。じゃあ、鬼検事によろしく」ガチャリ。謎の男(室田日出男)が受話器を置いた横では、別の男がせっせと時限爆弾を作っているようですよ。

鬼検事こと野上検事の家に、配送業者がお届け物を持ってきたようです。「せっかくですけど、うちでは一切贈り物は受け取らないことにしておりますのよ」と、奥さんの貞子(荒木道子)は断りますが、奥さんが電話に出ている隙に、そっとお届け物を置いて帰る配送業者さんです。チクタクチクタク。ドッカーン。ああ、やっぱり爆弾でした。

さて、そのとき、鬼検事の野上(山村聡)は、疑獄事件に関わっているとみられる石丸弁護士(三島雅夫)の事情聴取中。北斗銀行を通じて流れた極東造船の裏金ルート。政財界を揺るがす、この疑獄事件を解明するためには、弁護士の持っている秘密メモがぜひとも必要なのです。と、そこに電話が入りました。「はい。もしもし。そうです。……なにっ、奥さんがですか」。ビックリした事務官から、自宅爆破のメモを受け取る山村聡。しかし、そこは鬼検事なので、山村聡は、顔色ひとつ変えずに事情聴取を続けるのでした。

奥さんの荒木道子は、軽い怪我を負ったものの、無事なもよう。家族ぐるみで交際している、隣家の部長検事宅に避難しているみたいです。部長検事の息子で新聞記者の明男(今井健二)が心配半分、取材半分で、荒木道子に事情を聞いたところ、奥さんは脅迫電話があったことを教えてくれましたよ。やっぱり、鬼検事だけに恨まれてるみたいですね。もっとも、鬼検事の山村聡じたいは、さっぱり思い当たるふしがないそうですが。

ところで、そんな鬼検事にも英一という息子がいます。しかし、親に反抗して家を飛び出し、ヤクザになってしまったそうです。そして、その英一は、3年間の刑務所生活を終え仮釈放になった、とお友達の部長検事が鬼検事に教えてくれましたよ。早速、奥さんにその情報を伝える鬼検事。「貞子。英一が出てきたそうだよ」「それで。英一はどこに」。苦虫を噛み潰した表情の鬼検事に、奥さんは訴えます。「あなた。3年間の刑務所生活で少しはあの子も……」「骨の髄まで腐った奴だ。また前の組に戻ったらしい。いいか、私たちに子供はいないんだっ」。

はい。ということで、ビリヤードをしている英一(高倉健)が映りました。渋い健さんを見て、弟分たちは賛嘆の声をあげます。「すげえ」「うん、兄貴3年前とちっとも変わらねえな」。えーと、どこが。と、組長がやってきて、健さんに言いました。「いいかい。近いうちに大幹部になるチャンスをやる。いいな」。なんていうか、健さん、みんなに愛されてるよなあ。

さらに、愛人の梨枝子(岩崎加根子)が勤めているスナックにやってきた健さん。「どしたの。何かあったの」と岩崎加根子が声をかけても、健さんはむすーっ。なんていうか、健さん、みんなに愛されているわりには、愛想が無いよなあ。

ある日のこと。そんな愛想の無いヒモの健さんが、岩崎加根子の部屋から出てくると、幼馴染の今井健二が待ってましたよ。「これ見たか」と差し出した新聞には、「野上検事負傷。重傷をおして地検へ」という見出しが。どうやら、何者かに車ではねられたようです。しかし、健さんはふてくされた様子で言います。「オヤジがどうなろうと関係ねえじゃないか」。なんで、こんなに健さんは父親を憎んでいるんでしょうね。その答えは過去にありました。

ぽわわーん。子供時代の健さんが犬を拾ってくると、元いた場所に戻してきなさいと怒るお父さんの山村聡。なんて鬼検事なんでしょう。さらにありますよ。

「俺が大学3年の時だったかな」と健さんは今井健二に語ります。ぽわわーん。健さんが大学生時代。バイト先の同僚が、居眠り運転で、ひき逃げ殺人を犯したそうです。「近所でも評判の孝行息子でな」。鬼検事にカンベンしてやってくれと頼み込む健さん。「ただ判決は過失致死で有罪だった。その時の担当検事がオヤジだよ」。そんな鬼検事っぷりに怒った健さんは、そのまま家出をしてヤクザになったんだそうです。ひととおり語り終わって、カーッ・ペッとツバを吐く健さん。……。えーと、これは健さんがヘンな気がしますけど。まさか、不起訴にするわけいかないと思うし、判決を出したのは裁判官では。

健さんがまたまた、カッコつけてビリヤードをしていると、組長が声をかけてきましたよ。「いいか。2千万って金が入る、どえらい仕事だ。こいつで男をあげな」。そう、それは暗殺ミッション。そしてターゲットの写真を見ると。ガガーン。なんと、それは決めポーズを取った、イカシタ美中年の山村聡じゃありませんか。

スナックに行き、呆然と山村聡ブロマイドを見ている健さん。と、岩崎加根子が声をかけてきました。「ね。何があったの」「組長に殺し頼まれたんだよ」「ええーっ」「こともあろうに、それが俺のオヤジよ」。ついでに言うと、謎の依頼人は、健さんの組以外にも暗殺を頼んでるらしいのです。「それで、どうするつもり?」「いくら、俺がオヤジが憎いからって、俺は撃てねえよ」。まあ、そりゃそうですよね。「お父さんに知らせたら?」「いやあ、危ないと思っても、やるだけのことはやるだろ」。うわーん。なんか健さんって、冷たいよお。

いえいえ、健さんは冷たい人間ではありませんでした。鬼検事が前産業大臣を逮捕しに行くのを知った健さんは、同じ電車に乗り込んで、さりげなく護衛しているのです。もちろん顔がバレルと恥ずかしいので、サングラスで変装していますけどね。さらに、鬼検事の横の席には愛人の岩崎加根子を座らせ万全の態勢。さあ、来れるものなら、どこからでも来やがれ。グサッ。あれ。あれれ。お父さんの鬼検事、刺されちゃいました。「お父さん。お父さーん」「え、英一か。残念だ」ガクッ。

鬼検事のお通夜の席で、健さんはつぶやきます。「お父さんは俺に話したいことが、いっぱいあったに違いないんだ。俺はそれがよく分かるんだ」。なんていうか、まさに「孝行したいときには親はなし」というか、今さら過ぎるぜ、健さん。

もちろん、健さんは鬼検事の敵討ちをすることに。まずは、組長から暗殺の依頼人を聞きだすのが先決でしょう。よっしゃあ。ピストルを片手に、健さんは組事務所に乗り込みます。しかし、一歩遅かったようです。轟く銃声。転がっている組長の死体。ぬぬぬ。敵は口封じに出たみたいです。しかし、待ってください。組長の死体が握っているのは、振出人欄が破かれた北斗銀行の小切手ですよ。そうだ。この振出人が依頼者に違いない。これさえ分かれば……。

銀行に聞きに行ってみると、規則で教えられませんと断られちゃいました。ぬぬ。規則ならしょうがないですね。ということで、今度は新聞記者の今井健二のところに行って、相談してみる健さんです。すると、今井健二は、そういえば汚職も北斗銀行が絡んでたぞ、と言い出しましたよ。「とすると、お礼参りはどうなる」と尋ねる健さんに今井健二はデカイ声で言います。「お礼参りは偽装だぞっ」。

鬼検事の殺害理由がお礼参りでなく、疑獄事件絡みということなら、まずアヤシイのが弁護士の三島雅夫。さっそく、健さんは、三島雅夫が出入りするナイトクラブに潜入しました。すると、三島雅夫は風間商事の社長、風間(小沢栄太郎)と何やら密談しているみたいです。これでキマリ。もう小沢栄太郎って段階で、黒幕に決まってます。しかし、これ以上、どうやって捜査を続ければいいのか。物証がなければ、検察だって動きようがないだろうし。

(ヒモなので)岩崎加根子の家で、悩んでいる健さん。うーん。うーん。心配する岩崎加根子に、三島雅夫が証拠を持っているはずなんだが、と健さんはグチります。「いつも、あのナイトクラブでとぐろ巻いてることだけは、分かってるんだ。ちきしょう。あの野郎」。そんな健さんのロンリーな顔を見て、岩崎加根子は何かを決心したみたいですよ。

健さんがウロウロしている間に、「自主的に」岩崎加根子は、そのナイトクラブに転職をして、証拠を掴んできましたよ。それは、三島雅夫が秘密メモをネタに、小沢栄太郎に金を要求している録音テープ。「証拠になる?」「うん、証拠にはなるが、決め手にはならんよ」と、健さんはひとの苦労も知らずに、ちょっと偉そうです。仕方ない。愛する健さんのために、岩崎加根子は三島雅夫に接近して、「自発的に」体を与えるのです。これで、あの人が喜んでくれるなら……。

「ごめんなさい。メモはマダムが持っているらしいとだけ分かりました。これが私にできる精一杯の、あなたへの贈り物です。これ以上、私にはなんにもできなくなりました。あなたとの楽しい思い出だけが残っております。さようなら。梨枝子。英一様」。愛され上手な健さんは、岩崎加根子が自らの貞操と引き換えに得た情報をもとに、三島雅夫の愛人であるマダム(沢たまき)のところへ殴りこみです。「俺は、この間殺された検事のどら息子だがね、俺の調べ方はオヤジと違って、ちょっと手荒いぜ」。アイロンをコンセントにつないで、脅迫する健さん。じゅじゅーっ。「待って。言うわ。メモは石丸が東京駅の貸しロッカーに」「鍵は」「石丸が持ってるわ」。よーし、まってろよ、三島雅夫。ぶろろー。

健さんが車を走らせていると、警察の検問が。求められるままに、車のトランクを開けた健さんは、中を見て、ビックリ仰天です。なんで、こんなとこに三島雅夫の死体が。し、しまった。俺は小沢栄太郎にハメられたのか。うーむ。って、悩んでいる場合じゃないので、警官を殴り倒してスタコラ逃げ出す健さん。とりあえず、警官の追跡を振り切り、電話ボックスに隠れることに成功しました。あとは、助けを呼ぶだけです。ジーコロ、ジーコロ。あ、俺だけど。今井健二に電話をした健さんはひとこと言います。「なんとかしてくれよ」。

今井健二になんとかしてもらった健さんは、そのイキオイでマダムの家に引き返すことに。ちくしょー。俺をだましやがって。しかし、なんてラッキーなんでしょう。マダムな沢たまきのところに行くと、なぜか小沢栄太郎がノンキにシャワーを浴びていたのです。えーと、つまりマダムは三島雅夫の愛人の振りをして、小沢栄太郎と組んでいたと。で、健さんが立ち去ったあとにやってきた小沢栄太郎はノンキにシャワーを浴びていたと。……。まあいいけどね。ともあれ、小沢栄太郎を捕獲した健さんは、凄んで言います。「風間さん。メモはどこにあるんだよ」。「知らんよ、そんなものは」とトボける小沢栄太郎ですが、健さんが洋酒をテーブルにぶっ掛けて火をつけてみせ、さらにその洋酒をジャブジャブと自分にかけ始めたので、たまりません。「ま、待ってくれ。メモはわしが持ってる」。風間商事の金庫に入れてあるという小沢栄太郎に、健さんは疑わしそうな視線を向けます。「ウソじゃねえんだろうな」「わしも風間だ」。わしも風間だ、って言われてもねえ。

さあ、小沢栄太郎を連行して、健さんは風間商事にやってきました。さすが、「わしも風間だ」と言うだけあって、金庫からメモも出てきました。これさえあれば、鬼検事の敵が取れる。やったよ、パパン。と、健さんが喜んでいたのもつかの間。小沢栄太郎の子分たちが、ピストルを持って社長室に入ってきました。そのうえ、お母さんが人質に。「英一、母さんなんかにかまわないで早く行きなさいっ」。そんなこと言われても。どーしよう。「英一っ」「母さんっ」。はい、健さんは泣く泣く、メモを返し、そのメモは目の前で燃やされてしまうのでした。メラメラ。得意満面な小沢栄太郎は言います。「さあ、これで君との縁もおしまいだ。おい、お二人をお送りしろ」。

メモが燃やされてしまった以上、鬼検事が命をかけて追っていた疑獄事件は、もはや司法の手によって裁かれることはなくなりました。そして、鬼検事の死は、暴力団のお礼参りということで、決着が付いてしまうのでしょう。それで、いいのでしょうか。それでは正義は、どうなってしまうのだっ。

ということで、健さんは小沢栄太郎が前産業大臣と一緒に車に乗り込もうとしたところを襲撃です。運転手をピストルで脅して、車のハンドルを握る健さん。後部座席に小沢栄太郎と前大臣を乗せ、アクセル全開です。ブロロロー。「おーい、追えーっ」と子分たちが別の車で追いすがり、銃を乱射してきますが、平気だもんね。健さんに弾は当たらんことになっている。バーン。うっ。あれ、当たっちゃった。しかし、健さんの神業ドライビングで、敵の車は次々に谷底に転落。ふっ、ざまあみろ。それにしても痛いなあ。そのうえ、出血多量で、目がかすんできたよ。

これにビビったのは小沢栄太郎。なにしろ、急なワインディングロードを、意識朦朧の健さんがアクセル全開で飛ばしてるんですからね。ひぃーっ。「君の言うとおりにする。停めてくれぇ」。ヨロヨロな健さんは、ニヤリと笑って言います。「さあ、裁判はこの辺で幕にするか。肝心なのは判決だよな。どう考えたって、懲役5年じゃ軽すぎるよな。まともな判決じゃ、あんたらに殺されたホトケが恨みごと言うからな。てめえらこそ、本当のダニだぜっ」。キキーッ。タイヤを鳴らしながら、急カーブをクリアした健さんは、宣言します。「どう見たって、この判決は死刑だぜっ!」。そして、心につぶやくのです。「お父さん。これが俺の判決だよ」。どっかーん。谷底に落ちた車は爆発炎上するのでした。

えーと、そう終わりますか。ポカーン。それにしても、どうやら、健さんは最後の最後まで、検事と判事の区別がついてなかったみたいですね。求刑するのが検事で、判決を出すのは判事だからねっ。

ということで、この映画、タイトルが「鬼検事」になってますが、むしろ「鬼検事と地獄判事」にしといた方がよかったんじゃないかと。もしくは「鬼検事と、愛され上手なモテカワBOY」とか。

ちなみに、リアル健さんは明治大学をご卒業らしいので、いくらなんでも、検事と判事の区別はついていると思います。







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【映画】風の視線

2010-05-14 | 邦画 か行
【「風の視線」川頭義郎 1963】を観ました



おはなし
新婚のカメラマン奈津井(園井啓介)と、妻の千佳子(岩下志麻)の間はなんとなくギクシャク。その理由は……

松本清張の原作を川頭義郎監督が映画化したものです。出演は、園井啓介、お志麻さん以外にも、佐田啓二に新珠三千代と豪華。でも、豪華なんですが、微妙に羊頭狗肉というか竜頭蛇尾というか。

ひゅーっ。寒風が吹きすさぶ雪の原野で、パチパチと写真を撮っているのは、新進カメラマンの奈津井(園井啓介)です。やがて、満足できる写真が撮れたのでしょうか。奈津井は待っていた乗用車に乗り込みました。車内で待っていたのは、編集者と大作家(松本清張)。どうやら、園井啓介は「作家と旅」の写真を撮るために、新婚旅行の真っ最中に抜け出してきたようですよ。っていうか、とりあえず、ここでのキモは松本清張が出てることくらい?

ひとりぼっちで宿屋に待たせておいた新妻・千佳子(岩下志麻)に合流した園井啓介ですが、なんだか新婚のウキウキ感がゼロなんですけど。というか、ヘンな緊張感が漂っています。「キミ、食事は?」「お待ちしてました」「それはいけないな。そんな必要ありませんよ。僕の仕事は不規則ですからね」。なんか無愛想な園井啓介ですが、お志麻さんも負けてはいません。「僕の作品を見たことがありますか」「いいえ、まだなんです」「そう。で、写真の方には興味持ってるの」「いいえ、別に」。こんな新婚旅行は息が詰まりそうです。「あなたにお願いがある。これから一緒に暮らしても、僕のことにあまり干渉しないでもらいたいんです。僕もできる限り、あなたのことには干渉しないつもりです」「分かりましたわ」。

北海道への旅行を急きょ止めて、青森の十三潟にやってきた二人。おっと、雪原に自殺死体が転がっていますよ。腹ばいになったりして、激写しまくっている園井啓介。うぉー。カメラマン魂がうずくぜ。パチパチ、パチパチ。そこに駐在さんがやってきましたよ。「あんた。何してんです」「どうも。ぼくはカメラマンです」。なんか、微妙に答えがずれてる気もしますね。それにしても、横で放っておかれてるお志麻さんがかわいそう。

次にギスギス新婚夫婦がやってきたのは松島の旅館。ほほう、ここが離れですか、ふむふむ。園井啓介が宿の人に質問をしている横で、三和土に女物の草履が置いてあったりするのが、これ見よがしに映ったりして。

はい。その草履を履いている女性の足元が映りました。カメラがぐぐっと上にパン・アップすると、和装の美人が、ハンサムな男性と一緒にいるようです。「このまま、お別れするのは、なんだかあっけないみたいです。どこかでお茶でもいただきません」「いや。このままお別れした方がいいでしょう。あっけない別れの方が、ぼくたちには相応しいですからね」。この不倫の匂いがプンプンするカップルは、女の方が竜崎亜矢子(新珠三千代)で、男の方は新聞記者の久世(佐田啓二)というらしいですよ。「何を考えてます。ご主人のことでしょう」「竜崎のことなんか、今さら考えたって始まりませんわ。シンガポールでのびのびと羽を伸ばしているんでしょうから」。

さて、その新珠三千代が豪邸で、義母の点てたお茶を飲んでいると、「若奥様、奈津井様がいらっしゃいました」と女中が知らせてきましたよ。早速、西洋甲冑かなんかが飾られた応接間で対面する新珠三千代と園井啓介。「いかが。新婚旅行のご感想は」「……」。なんだか、ムーッとしている園井啓介ですが、どうしたことでしょうね。「奥さん。僕は結婚に失敗したようです」「まあ、何を仰るの」。しかし、目は口ほどにものをいうのもです。園井啓介の新珠三千代を見つめる熱視線は尋常じゃないんですけど。「僕も千佳子も結婚に始めから、一種の諦めを持っていたようです」、ジーッ。「あの人には何か過去があるようです。それが僕を近づけないんでしょう」、ジーッ。しかし、新珠三千代はボソッと答えるのです。「過去のない人間なんてありませんわ」。

その後、この四人の日常がスケッチされていきますが、ともあれ言えるのは、なんだか、みんな不幸そうということ。まあ、佐田啓二と新珠三千代は不倫関係。園井啓介は新珠三千代に片思いだとしても、どうしてお志麻さんは、無言でじとーっとしているんでしょうね。

新珠三千代のダンナさんで、商社のシンガポール支社長をしている竜崎(山内明)が一時帰国しました。空港に出迎えに来ている新珠三千代ですが、山内明は家にも帰らず、ホテル住まいをするそうです。なんか、みんな仲悪いよなあ。で、それはともあれ、空港の柱の陰には、どよーんとしたお志麻さんが。なんで、こんなところに。もしかして、お志麻さんは山内明と不倫関係でもあったんでしょうか。なんか、人間関係がぐちゃぐちゃなんですけど。

さて、家に帰って来て、お志麻さんの留守に気づいた園井啓介はムカムカモード。「キミは黙って出かけて、黙って帰ってくる。それもいいさ。だが、聞かれたら返事くらいはしてくれないか」「はい」。ああ、確かに返事はしましたね。でも、疑問には答えようとはしないお志麻さんです。これには園井啓介もキレました。「明日から九州だ。ちょうどいい。お互いにひとりになって、よく考えてみよう。このままじゃやりきれないからね」。まあ、園井啓介だって新珠三千代を狙っているんですから、人のことを責められた義理じゃないと思いますけど。

お志麻さんは、園井啓介の不在中に、山内明のもとへ。「やっぱりキミだったのか。しばらくだねえ」と下卑た笑みを浮かべる山内明ですが、お志麻さんは無言です。というか無表情。いったい、不倫関係を復活させたいのか、何をしたいのか分かりません。ただ、どよーんとしているだけなので。それを見た山内明は言います。「むふふ。どうしたの。何を聞いても教えてくれないんだね」「あたくし、おいとまいたしますわ」「帰る。じゃあ、何のために来たの」。うん、確かに。ともあれ、ホテルを出たお志麻さんですが、それを新珠三千代が目撃。いきなり、尾行してますけど。さあ、いよいよ何かが起きるのかな。お志麻さんが殺されたりするんでしょうか。

一方、九州の国東半島で磨崖仏の写真を撮っていた園井啓介は悟るどころか、いきなり暴走モードに。お志麻さんに、こんな手紙を書いたみたいですよ。「この際、お互いが別々になって、そして、別なところで生活して、よく考えることだ。この仕事が済んでも、僕はしばらく九州の旅を続ける。この手紙を読んだら、君自身が自由な行動をしてくれるように頼む。アパートへ帰っても、君の物はいっさい目に触れないようにして欲しい。君がどこにいようと、僕は訪ねはしない」。

そんな「心は独身貴族」な園井啓介ですが、なぜかとっとと東京に帰ってきて、出版社の依頼で、山内明へのインタビューに同行してポートレートを撮影することに。しかし、山内明に新婚旅行のこととかを根掘り葉掘り聞かれて、ムカムカモードです。さらに、山内明が横にいた新珠三千代に、「亜矢子。あなたもちょうどひと月くらい前に。松島に行ったそうですね」と言い出したから、さあタイヘン。ってことは、新婚旅行の時に見た、あの草履はやっぱり奥さんのだったのか。いったい、奥さんは誰を松島に行ったのだあ。ぐるぐる。ぐるぐる。思わず、二人きりになったときに、新珠三千代に文句のひとつも言いたい気分です。「僕は奥さんが松島に行かれたこと、今初めてうかがいました。もちろん、お一人じゃないでしょうね」プンスカ。いや、怒ったってしょうがないでしょ。自分だって新婚旅行中だったくせに。しかし、園井啓介は、せっかく取った山内明のネガフィルムをグシャグシャにしてしまうという暴挙に出て、プロカメラマンとしての信用を失い、そのままヤケッパチ人生に突入していくのでした。まあ、少し落ち着け。

そういえば、佐田啓二はどうしてるでしょう。相変わらず、ろくに家にも帰らないでバーとかをフラフラしているみたいですね。しかし、たまたま立ち寄ったバーで、新人ホステス(岩下志麻)が、山内明に電話をしているシーンに遭遇しましたよ。ふーむ、アレは山内明の愛人なんだろうか。っていうか、そもそも、お志麻さんがホステスしてるのがビックリですけどね。どよーんとしてる割には、行動力ありすぎだろ。

ともあれ、その後、佐田啓二が新珠三千代に会うと、新珠三千代は唐突にお志麻さんの写真を見せてきました。「この方が千佳子さんなんです」「これが奈津井くんの奥さんですか!」。それにしても、佐田啓二と園井啓介は「仲がいい」っていう設定なんですけど、奥さんの顔くらい知らないもんでしょうか。なんかトッテツケタような展開だよなあ。

それにしても、そろそろ殺人のひとつも起こらないと、話が動かないんですけど。まだなの。おっ、動きそうな予感。というのも、これまた唐突に佐田啓二が、愛人のホステスに別れ話を切り出したのです。怒ったホステスさんは、怒りパワーで、佐田啓二が新珠三千代と付き合っていることを突き止め、佐田啓二の奥さん(奈良岡朋子)にチクりました。すると、今度は奈良岡朋子が、山内明にチクりの電話を入れるという、玉突きチクり合戦に。

これは、山内明が佐田啓二を殺すとか、もしくは佐田啓二が返り討ちにするみたいな展開でしょうね、きっと。

まあ、それは後の楽しみに取っておくとして、まずは園井啓介を呼び出す山内明。根掘り葉掘り、佐田啓二と新珠三千代の関係を聞こうとしていますよ。しかし、「それは根も葉もない中傷です」と断固、不倫を否定する園井啓介。まあ、かたや愛する奥さんだし、かたや大好きな先輩ですからね。チクるわけにはいきません。すると不満がたまるのは山内明の方です。自分が浮気をするのはいいけど、自分の妻が不倫をするなんて許せるものか。それに、この若造、なんかナマイキ。よーし、懲らしめてやれ。「時に奈津井さんの奥さんは、まさかそんなことはないでしょうね」。ギクっとする園井啓介に、山内明は追い討ちをかけますよ。「僕はみんな知っている。家内のことだけじゃない。千佳子さんが君と別れて、どこにいるか」「千佳子?」「失礼。君の奥さんと言い換えるべきだ。奈津井君。ひとの女に手出しをするより、自分の女房をしっかりと掴まえておきたまえ。そんな心がけだから、女房に逃げられるんだ」。ガガーン。園井啓介はショックを受けています。もしかして、妻はこの男と……。

はい、その妻ことお志麻さんがまた山内明と連れ込み旅館にやってきました。これはOKだろうと、お志麻さんに迫る山内明。しかし、お志麻さんは相変わらずどよーんと無口です。「帰ります」「帰さない」。と、お志麻さんがハサミを取り出しましたよ。「死んでもいいと思って、こんなものを持ってきました」。ビビる山内明ですが、お志麻さんは山内明をブッスリ刺すわけでもなく、首をぶるんぶるん振っているだけです。だから、何をしたいのさ。

動揺してホテルに戻ってきた山内明の目の前に刑事さんたちが。逮捕状です。あれー。密輸の容疑で山内明は逮捕されちゃいましたよ。えーと、この話、どうやって収拾をつける気なんでしょう。

佐田啓二を呼び出す新珠三千代。ワケが分からないまま、佐田啓二は温泉まで連れていかれちゃいました。そのうえ、新珠三千代はさっさと寝巻きに着替えて、ヤル気マンマンです。「久世さん、今夜、あたくしはあなたの妻だと考えてください」「思います」。ええ、思いますとも。理由はさっぱり分からないけど、思いますってば。いただきまーす。

ごちそうさまでしたあ。翌朝、上機嫌で佐田啓二が目覚めると、しかし、新珠三千代はいませんでした。「奥様、急用でお帰りになりました」と女中に言われ、ガガーンです。置手紙には、こうありました。「どうぞ、亜矢子のことはお忘れになってください。もうお目にかかるまいと、やっとの思いで耐えて、お別れいたします」。そう、新珠三千代は夫の山内明が逮捕されたので、かえって義母の面倒を見る責任感に目覚めてしまい、離婚できない気分になったのでした。

ヨロヨロと新聞社に戻った佐田啓二は、いきなり上司に言い始めました。僕を佐渡にやってください。それも定年まで。僕は佐渡で地味に生きるんだ。とても、社会人の発言とは思えませんが、まあ、自分から左遷してくれというものを止める方法はありませんからね。上司との面談を終え、園井啓介を呼び出す佐田啓二。「奈津井君、僕は近いうちに佐渡に転勤になるかもしれない。妻とも別れたよ。佐渡で一生暮らすつもりだって言ったら、そんな島流しの付き合いは真っ平だって言った。亜矢子さんとも、もう会うことはないだろう。少なくとも、僕たちが若いうちには」「どうしてそんなことするんです」「さあ、どうしてかな。僕があの人を愛しているからかもしれない。あの人が僕を愛しているからかもしれない。ヘンなものだよ、人間ってヤツは」。えーと、ヘンなのはあなたです。しかし、それを聞いた園井啓介は、感動スイッチが入ったみたいですね。「久世さん。僕は竜崎と千佳子のことを知って、かえって千佳子が愛しくなりました。笑いますか」。うん、笑う。

そんな、ヘンな感動モードのまま、園井啓介がアパートに戻ると、アパートの電気がついていますよ。ドキドキしながら園井啓介がドアを開けると、そこには料理中のお志麻さんが。「千佳子っ」「お帰りなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。私、悪い奥さんになってやって。あたし、勝手に戻ってきちゃったけど、置いてくださる?」。ひしっ。お志麻さんを抱きしめた園井啓介は感動して言います。「ああ良かった。もう放さない。もうキミを放さないぞぉーっ」。むちゅー。

さて、ロシア帽子をかぶって、すっかりその気になっている佐田啓二は、サハリンの大地を見つめています(本当は佐渡島ですけど)。そこに、新珠三千代のモノローグが聞こえてきましたよ。「お別れして、ふた月半。まるで夢の中を歩くような思いでございました。母があれからまもなく亡くなったのでございます」。それに、義母が死んだので、離婚もできたそうです。「亜矢子はあなたのお傍に参る決心をいたしましたのは、奈津井さんと千佳子さんの、その後のご様子をよそながら承ったからでもございます。あたくし、本当に身も心も軽くなっております」。いや、軽いのは頭じゃないの。「亜矢子が佐渡に渡る日は、もうお別れすることのない、あなたとの新しい門出とお考えくださいませ」。

ボーッ。本土からやってくるフェリーをじっと見つめる佐田啓二でした。


えーと、なんだこりゃ。冒頭に自殺死体を見せたり、いかにもな作りなのに、これで終わりですか。園井啓介が殺されて、犯人はお志麻さんなのか新珠三千代なのか、みたいなミステリーになるとか、そういう路線を期待してたんですけど。だって、原作が松本清張なんだから、それくらい期待してもバチは当たりませんよね。

でも、終わってみると、二組のバカップルのお話。それも無表情なままで、不倫道を軽やかに駆け抜けるお志麻さんはともかく、佐田啓二と新珠三千代のアダルト不倫カップルの情けなさは異常です。

「もう会うことはないだろう。少なくとも、僕たちが若いうちには」とか言いつつ、ふた月半後にくっ付くっていうのは、どういうこと。再婚禁止期間すら終わってないですよ。もっとも、うがった見方をすれば、女性だけに再婚禁止期間が設定されているのはオカシイ。この映画は、そんな意見を持つフェミニストのために作られた、真に女性解放的な映画なのだあ、、、なワケないですね。





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【映画】CASSHERN

2010-05-06 | 邦画 か行
【「CASSHERN」紀里谷和明 2004】を(止せばいいのに)観ちゃいました



おはなし
これが、もうサッパリ。

通常、このブログを書くときには、まず一回映画を鑑賞した後、メモを取りながら、もう一度観なおします。これで、おおむねの映画は、ストーリーやら伏線について、そこそこ理解ができるんですが、この映画は手ごわかった。なんだか、サッパリ理解できません。なので、あくまで「観たまま」「聞こえたまま」、そして「感じたまんま」を書きますので、ご理解ください。

「50年に及ぶ長き戦争の汗、ダイアリア連邦共和国は、ヨーロッパ連合に勝利し、ユーラシア大陸のほぼ全域を手中に収めた」という納谷悟朗のナレーションが。あとからしつこく聞きなおしたところ、「戦争のはて、大亜細亜連邦」と言っているように思われます。それにしても、納谷悟朗さんも年取ったなあ。なんていうか滑舌が悪化してるんですよね。ま、そんな空耳はともあれ、大亜細亜連邦は勝利したものの、テロが頻発し、特に第七管区には、治安維持のために大量の兵士を送り込んでるらしいです。

ということで、いかにもブレードランナーな都市が映りました。説明はないけど、多分、大亜細亜連邦の首都じゃないでしょうか。町のあちこちに、まるで金正日よろしく、大滝秀治の巨大肖像画がかかっていたり、巨大大滝秀治の像が作られているのは、どーかと思いますけど。

そんな首都の一角、巨大会議場では、将軍さま(大滝秀治)臨席のもと、保健省の会議が絶賛開催中。野次にもめげず東博士(寺尾聡)が、自説をぶちあげてますよ。「ここにひとつの成果を発表させていただきたい。その名は新造細胞!」。よく分かりませんが、ある部族だけが持っている細胞で、「どんな細胞にも変身できる、人類の細胞のみなもとなのであります」だそうです。まあ、ヒトES細胞みたいなもんなんでしょうね。しかし、それを聞いたクローン研究者たちは大激怒。なにしろ、科学界の予算争いは激しいものですからね。

ガチャーン。ガチャーン。無意味に変形する大会議場で、ひとりショボーンの東博士。しかし、そこに日興ハイラル社の内藤薫(及川光博)が近づいてきました。ミッチーによると、将軍さまが東博士を研究をいたく気に入ったので、軍が研究の全面バックアップをしてくれるそうですよ。ひゃっほう。実のところ、難病の妻を救いたいだけの東博士は、この気前のいい提案に大喜びです。

さて、いきなり記念写真の風景。東博士と妻のミドリ(樋口可南子)、そして息子の鉄也(伊勢谷友介)。さらに東博士の親友、上月博士(小日向文世)と、その娘で鉄也の婚約者ルナ(麻生久美子)という、とっても豪華な面々が勢ぞろい。まあ、別の言い方をすれば、「もっと仕事を選んで欲しい」メンバーなワケですが。ともあれ、そこでの話によると、鉄也が一兵士として出征するので、その前に記念写真のひとつでもということになった模様です。ただ、東博士は鉄也の出征には大反対みたいですけどね。「お前は戦争がどんなものかは知らないっ」。

一年後。鉄也は戦地で下士官(寺島進)に強制されて、無抵抗の住民をバリバリ撃ち殺したりして頑張っているようです。一方、東博士の方は、得体の知れない材料を使って、これまた新造細胞の研究に邁進中。これには、娘と一緒に見学に来た、親友の上月博士も「防御スーツの開発なんかやってる俺は、職を失うことになるな」と、ちょっとヒガんじゃったりして。しかし、その頃、病気で目が見えなくなっていたミドリのところに、「母さん、ただいま」と、鉄也がひょっこり帰ってきましたよ。なんか、ウジャウジャと語り合う二人。と思ったら、その直後に戦死の連絡がきたりして。いや、幽霊なら、もうちょっと幽霊らしくして欲しいんですけどね、混乱するから。

「鉄也が死んだっ!」。連絡を受けてガガーンとしてる東博士。よく分かりませんが、鉄也は一般兵にも関わらず国葬されるらしく、家族が遺体に対面できるのは今日限りとか、どうでもいいな縛りまで追加されてます。さて、東博士と上月博士が対面中の間、ロビーでグースカ寝ていたルナのところにやってきた鉄也(幽霊)は、またウジャウジャと長台詞を喋りまくっています。

と、そこにイキナリ雷がドドーン。それもただの雷ではありません。なにしろ落雷した瞬間に、ヘンな梵字みたいなのが出てきましたからね。その梵字雷のせいで、新造細胞というか、人体パーツがデロデロと浮かぶ赤い水のプールに異変が起こりました。各パーツが勝手にくっついて、デロデロ人間たちがわらわらと誕生したのです。しかし、誕生する横から、デロデロ君たちは警備兵に射殺されていきます。残ったのは、ルナにかくまってもらったデロデロ君や、ビルの屋上に立ってオタケビをあげているデロデロ君など、ほんの一部みたいですね。どうでもいいけど、すでに、話がよく分からなくなってきました。

横で警備兵がバリバリとデロデロ君を射殺しているなか、鉄也の棺に取りすがって泣いているルナ。そこに東博士は「ミドリはどこだあ」とドスドスやってきました。ほとんど、、「泣ぐごはいねがー」なナマハゲ状態。そのミドリと言えば、なぜかデロデロ君たちと一緒で、「しっかり」とか看護婦さん状態です。ヤケっぱち(多分)になった東博士は、鉄也の遺体を赤い水のプールにドボーン。顔を押さえて、グイグイ沈めてますよ。「俺は、俺はもうそっちに戻りたくないんだ。父さぁん」。鉄也(幽霊)の気持ちを無視するかのように、わわわーと女声コーラスが高まり、「やめてくれーっ」と鉄也(幽霊)の絶叫が。はい、鉄也復活。どんどん、ワケワカラナイ方向に向かってまいりましたよ。いきなりカットが変わると、ミドリは「死んではいけません」とデロデロ君たちに、心臓マッサージをしたり、人工呼吸をしているみたいです。で、なぜかマカラーニャの森(FF10)を歩く、デロデロ君とミドリご一行様でした。

さて、復活した鉄也は、上月博士のおうちにある、でっかいタンクに入れられてます。「これは、私が研究していたボディスーツのプロトタイプだ」。えーと、このタンクが?いえいえ、多分、タンクの中でスーツを着てるんだと思いますけど、それが見えない(というか、着てるカットがない)だけだと思われます。どうでもいいけど、紀里谷監督、編集が豪快すぎだろ。

一方、デロデロ君たちは、まるで八甲田山の雪中行軍隊のように、雪山をさまよいます。と、デロデロ君一号が、「あ”ーーーっ」と雄たけびを上げました。おおっ。空から光が。ついでに女声コーラスが。そして、お城が。トホホ。なんだよ、お城って。ともあれ、唐突に出現したお城に入るデロデロ君たち。おお、なんかメカメカしてるぞ、このお城。デカイ歯車も周るし、ロボットもいっぱい置いてあるぞ。「ワレワレは生きているっ!」と、マントを翻しつつ叫ぶデロデロ君一号。ギー、ガッシャン。ギー、ガッシャン。おお、お城内部のロボット工場はフル稼働で、ぞくぞくロボットが完成していくぅ。

玉座に座り「人間を皆殺しにするっ」と宣言するデロデロ君一号。と、いきなり画面がモーフィングして、デロデロ君一号は、ブライキング・ボス(唐沢寿明)へと、イケメン化するのでした。さらに、横にいた二号は、要潤にイケメン化。三号は佐田真由美に美女化。そして、四号も宮迫博之にイケメ……失敗。

はらりとお城にナチスっぽい旗が広がり、ヘビーロックをバックに、ロボット軍団が行進開始だ。「ワレワレは新造人間だ。ワレワレに降伏せよ」。ボスの命令で、大滝秀治の銅像もガラガラぐわーっしゃーん。もう、イヤ。この映画。

よーし、もっとロボットを作るために、科学者をさらってこよう。ということで、でろでろ三号こと美女なサグレーと、でろでろ四号ことアクボーンは、人間狩りに。目指すは、上月博士の家だ。どかーん。壁をぶち破って侵入するサグレーとアクボーン。おっと、破片が当たり、上月博士は怪我しちゃってるんですけど。さらに、上月博士の腹に剣をぶっさすサグレー。えーと、ちょっと待ってください。さらいに来たんでしょ。殺してどうするの。おっと、タンクからぷしゅーっと蒸気が噴き出してきました。出た。鉄也が出てきた。ばひゅーん。サグレーとドツキあう鉄也。これはスゴイ迫力です。なにしろ、パンチが当たると、骨が透けて見えるという、アバンギャルドな演出ですからね。……。いい加減にしてくださいよ。ともあれ、やられたサグレーは、ギャーギャー叫ぶアクボーンと一緒に逃亡。残されたのは、ルナと体力を使い果たした鉄也。そして、瀕死の上月博士でした。またも、上月博士がウジャウジャと語りまくり、最後に言います。「振り返るなぁ」。ガクッ。「おとーさーん」。都合よく、ガラガラと崩れだす上月博士の豪邸。ルナは鉄也をかついで、スタコラ逃げ出すのです。

逃げていると、ロボット軍団(その数、数百)に遭遇してしまいました。さらに、隊列中央の巨大戦車には、赤いマントがオシャレなブライキング・ボスが仁王立ちだ。鉄也をかついで、ビルの陰に隠れるルナ。「うがーっ!」。意味不明に鉄也が叫んでみると、うわっ、ロボット軍団がこっち見てるんですけど。もう。叫ぶから。ごごーっ。ロボット軍団は、二人に火炎放射を浴びせかけました。しかし、その瞬間、ルナをかついだ鉄也は、マッハのスピードでビルの壁を駆け上るのです。キラーン。満月をバックに急降下する鉄也。強いぞ(多分)。ドカーン。打ち出された戦車の主砲弾を手で受け止め、ロボット軍団を、トンデモなイキオイで破壊していく鉄也。これは無敵だろ。と思ったら、ブライキング・ボスとの一騎打ちではコテンパンに。

将軍さまの、豪華な食卓に呼びつけられた東博士とミッチーな内藤薫。いつまでも研究が完成しないので、取り巻きたちから、吊るし上げの真っ最中です。マズイ。将軍さまに見放されたら、北では生きていけない。というか、粛清? いえいえ、そうはなりませんでした。というのも、その場で、イキナリ、将軍さまのムスコのミキオ(西島秀俊)がクーデターを起こしたのです。「この時より、大亜細亜連邦は、私の指揮下に置くっ」。ははあ。そうですか。もうドンドン、行っちゃってください。

鉄也との戦闘がもとでサグレーが死んだり、二号な要潤が慟哭したり、さらに鉄也とルナのイメージカットがダラダラ続いたりしつつ、鉄也たちは前線のある第七管区の近くまでやってきました。しかし、どうやら、そこは公害地帯らしく、ルナが倒れてしまったのです。タイヘンだ、どうしよう。と、思ったらガスマスクをつけたお医者さん(三橋達也)が都合よく出てきましたよ。ルナを診察して、「やっぱり公害病だ」と断言するお医者さん。大亜細亜連邦の支配に抵抗している地域とあって、住民は鉄也たちを敵視しているようですが、お医者さんは応急処置だけはしてくれるそうです。お医者さん、ありがとう。さらに、お医者さんが言うには、「鉄也くん。この国じゃ、昔からキャシャーンと呼ばれる守り神がいると信じられてきた」だそうです。ほほう、記憶しておきましょう。と、そこに大亜細亜連邦の軍隊がわらわらとヒト狩りにやってきました。さらに、二号やアクボーンまでやってきて、もうウジャウジャな展開に。他の住民とともに、ルナとアクボーンが巨大輸送ヘリでさらわれるなか、鉄也はウヤムヤなうちに、二号と対決することになりました。「俺の名はプラッシー」「俺の名はキャシャーン」。そして、プラッシーはおコメやさんで売っているジュース【あとで調べると、プラッシーではなく、バラシンって名前らしいです。でも、メモを取ってるときには、プラッシーって聞こえたんだよなあ】。ともあれ、鉄也あらためキャシャーンと、プラッシーことバラシンのバトル開始。ずばばば。キャシャーンにやられたバラシンは、「見えるぞ。俺にも見えるぞ。そういうことだったのか」と謎の言葉を残して死ぬのでした。

一方、ヘリでさらわれたルナたちは、あきれるほどデッカイ機関車に乗せられ、いずこへか運ばれていきます。そして、さらわれたワリには、ウロチョロと機関車の中を探検していたルナが見たのは、でっかい赤プール。なんと、この機関車は、動く新造人間実験プラントだったんですね。おーい。みなさん、話についてきてますかー? で、ウロチョロするルナの背後に迫る下士官(寺島進ね)。あ、危ないルナ。しかし、以前ルナに救われたことのあるアクボーンが、ルナを助けるべく下士官に襲い掛かりましたよ。うらー。ぶぎゃっ。うわっ、新造人間のくせに人間な下士官にやられてるし。もしかして、寺島進が最強キャラ。と、思ったら、今度は東博士が登場。サクっと下士官をやっつけてるんですが。なんていうか、戦闘力の設定を数値化して、教えてもらいたい気分です。

シーンが変わると、ミッチーこと内藤薫がミキオの権威をかさにイケイケ状態。しかし、そこに将軍さまが復権しちゃったんでヒィーッです。

またまたシーンが変わると、ミキオが空中戦艦を率いて首都を出撃中。CGで描くだけなんで、その数、無限大。ミキオはウジャウジャとアジ演説をしてますけど、この際、無視無視。

またまたまたシーンが変わると、今度は最強な東博士と、ミッチーこと内藤薫が対決中でした。えーと、ミッチーは首都にいたんじゃなかったんかい。それとも将軍さまが機関車に乗ってるの? なんか、登場人物が「どこにいるのか」すら分からないので、この映画は辛すぎます。まあ、ここのところは、量子力学的な重ね合わせとして、ミッチーはあちこちに同時存在していると思って納得しておくことにします。ともあれ、ピストルを東博士に突きつけたミッチーは、自分が下層階級の出身であることをやたら強調しつつ、ウンタラカンタラと長台詞。と、どっかーん。おい、今度はなんだよ。もう驚かないぞ。

いきなり、機関車の壁が壊れて、ナンカ刺さってるんですけど。どうやら、それはブライキング・ボスの乗っていた空中戦艦の船首らしく、ウヤムヤなまま、ブライキング・ボスが登場。「私はここで生まれた」ウンタラカンタラ「つまり憎しみとは人間なりっ」。なりって、言われても。あと鉄也は私の弟として生まれ変わるのだ、と宣言したブライキング・ボスは、ナゼか転がっていたキャシャーンをかついで、去っていきました。どうして、キャシャーンまで機関車に転がってるの。さっきまで、第七管区でバラシンなプラッシーと死闘を繰り広げてたじゃないか。

ともあれ、腹に何かが刺さったミッチーがズリズリと地面を這い、ルナはアクボーンをかつぎ、東博士が渋くキメているなか、ズズズとブライキング・ボスの空中戦艦は飛び立っていきます。横にいた(いるんですよ、これが)ミキオは、日本刀をスチャっと抜きつつ、東博士に言います。「さあ、本当のことを話してもらいましょうか」。えーとボクもぜひ聞きたい。登場人物の位置関係だけでも、聞きたい。しかし、東博士は無言のまま。替わりにミキオは、ウンタラカンタラ言いつつ、「命というものがたった一つでないのなら、我われは何のために必死になって生きているのですか」とキメ台詞です。

さて、機関車にいたと思ったアクボーンは、さりげなくルナの手を握りつつ、空中戦艦内で死亡。横ではブライキング・ボスがうんうんと頷いています。「ありがとう」。ルナに礼を言ったブライキング・ボスは、「鉄也」と呼びかけましたよ。すると、横で寝ていたキャシャーンがムクムクっと起き上がりました。「母に会いたいか」とブライキング・ボスに言われ、ミドリの寝所に連れて行かれるキャシャーン。「母さんに何をしたっ」「ミドリは寝ているだけだ……彼女が夢見る楽園で」。なんていうか、人妻それも二十歳過ぎのムスコがいる人妻を「ミドリ」って呼ぶのはどーかと思うぞ。どんな熟女好きだよ、ブライキング・ボス。ともあれ、ウガーっと暴れだしたキャシャーンとブライキング・ボスのドツキ合いモードがスタートです。どかすか、ぼかーん。ついでに、戦いつつ、ブライキング・ボスは長台詞を。「うんたらかんたら……お前にとって、善とは何なのだ。悪とは何なのだ」。はいはい。「私にはもう、お前しか仲間がいない」。えーと、コレが本音だな。

さて、首都を進発したミキオ率いる、数万の空中戦艦隊。中には、船首が顔になったシーマンみたいな戦艦もあるようですが、もう、これくらいでは驚かないぞ。ともあれ、そこに電話がかかってきましたよ。「総帥」とビビり顔の側近から携帯を受け取ったミキオですが、電話の相手はなんと幽閉中のはずの将軍さまでした。そうクーデターは失敗したのです。もはや、首都には帰れない。いや、帰るつもりのないミキオは命令をくだします。総攻撃だあ。すごいイキオイで数百万発の爆弾を投下する戦艦隊。それを迎え撃つ、数十万のロボット部隊と、さらに数十万の地上軍が繰り広げる、ワヤワヤな戦いの火蓋が、今切って落とされたのです。

いきなり目覚めたミドリにキャシャーンがウジャウジャ語り、今度はミドリがブライキング・ボスにうんたらかんたら語りつつ、戦闘はたけなわに。と、いきなりロボット軍に、超巨大ロボ出現。いや、ホントにデカイんですよ。CGだけど。で、そのロボが全身から数万発のミサイルを一斉発射しました。地上軍に降り注ぐミサイル。横を腰からロケット噴射をしつつ、キャシャーンが飛んでいます。何をしたいのかは、分かりません。

「ミドリはどこだあ」。ブライキング・ボスの空中戦艦内をドスドス歩いている東博士。ぐいっとミドリを抱いていますよ。さらに、ミキオはブライキング・ボスに言います。そう。ブライキング・ボスたちは新造人間でもなんでもないことを。単に第七管区で殺され、バラバラに人体パーツとして保管されていたのが、雷でまたくっ付いただけなのです。って、ソレはソレでスゴイと思うけどね。しかし、新造人間であることにプライドを感じてたブライキング・ボスとしは、すごいショックだったみたいです。「黙れー」と頭かかえてるし。

さて、キャシャーンはというと、巨大ロボに取り付き、外階段を懸命に登っています。飛べるんだから、最初から目的地に行けというのはナシの方向で。ともあれ、巨大ロボットについた、巨大時計の文字盤が12時になったらマズイみたいで、それを阻止しようとしてるみたいですね。理由は分かりませんけど。

ミキオが銃弾を放ったと同時に、意味ありげに零れ落ちた手榴弾のピン。もしくは、キャシャーンがカリオストロのように、プチっと時計の針に挟まれちゃった瞬間。何が原因なのかは、サッパリ分かりませんが、巨大ロボはきのこ雲をあげて大爆発。ちゅどーん。

「何も見えないぞーっ」と叫んだブライキング・ボスは、メラメラ燃えつつバッタリ。まあ、間近で核爆発が起これば、いくらブライキング・ボスでもねえ。しかし、そこに「普通に」駆け寄ってくるルナ。さらに歩いてくるキャシャーン。ついでに、ミドリを抱っこした東博士もやってきました。えーと、こいつら強すぎ。

すっかりブライキング・ボスの存在を忘れたキャシャーンと東博士は、口げんかを始めます。「父さん、どこへ行くつもりだ」「うちへ帰るんだ」「母さんは死んだんだよ」「お前は生き返った」「父さんは今まで何を見てきたんだっ!」。えーと、観てきたって、ワカラナイ映画もあるよね。ともあれ、ミドリを返せ、イヤだ返さないと見苦しく二人が争ったあげく、東博士はバーンとルナの後頭部に銃弾を撃ち込みましたよ。ええっ!「どうせすぐに生き返る」と言い放つ東博士。いや、確かにそうかもしれないけどさあ。やっぱり東博士って最強キャラすぎ。

ぬぐぐぐ。うぉーっと突っ込んでいくキャシャーンは、つぶやきます。「母さん。俺は何のために生まれてきたんだろう」。そして、ワケわかめなイメージショットがダラダラと続き、赤いプールに入ってもいないのに、ルナがむくむくっと起き上がりました。「分かったよ。この憎しみをここで終わらせよう」とキャシャーンが言うと、地面から無数の光がまるでミサイルのように立ち昇ります。抱き合っているキャシャーンとルナ。それがいきなり大爆発したかと思うと、太い光の帯になって、グングン上昇をはじめました。地球を見下ろし、太陽系をぬけ、外宇宙にばっひゅーん。なんか、うじゃうじゃした説明台詞が続き、みなさんが楽しく暮らしている映像が映ります。


ああ、やっちまいましたね。なんていうか、ヘッポコという表現以外に何も思いつかない。アチコチの映画からビジュアルイメージをつまみ食いして、そこに学芸会なみのお芝居を乗っけただけです。もちろん、出演している人たちは、けっしてお芝居ができないわけではないので、これは演出の問題でしょう。そして、演技を通じてメッセージなりテーマを伝える、という部分を監督ができてないので、結果的に無関係に挿入されたナレーションや長台詞で全てを乗り切ろうとしてしまっています。

戦闘シーンもかなりのもの。なにしろ細かいカット割りで、何がなんだかわかりません。そのうえ、役者の顔のアップに、CGで効果線をつけてスピード感を演出するという、まるまるマンガな手法まで登場した日には、悲しんでいいのか、笑えばいいのか分かりません。もちろん、ジャッキー・チェンなみのアクションを見せろとは言いませんけど、せめて特撮ヒーロー番組くらいのレベルには到達して欲しかったんんですが。

基本的に紀里谷和明監督は、宇多田ヒカルとかのプロモーションビデオを撮っていた人らしいです。であれば、基本的に演技のできない「ミュージシャン」を、いかにカッコよく撮るか、いかに演技をしているかのように撮るかには長けているんでしょう。でも、演技のできる役者を集めて、同じ方法論で映画を撮ったら、そりゃズッコケますよね。

まあ、ネタとして、ツッコミながら観るには良いと思うので、お暇な方はどうぞ。







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