【「あずみ2 Death or Love」金子修介 2005】を見ました。
おはなし
凄腕の刺客、あずみ(上戸彩)とその仲間は、真田昌幸を討つために旅をしています。あずみは旅の途中で出会った野伏りの一味、銀角(小栗旬)がかつての仲間にそっくりであることに動揺しつつも、旅を続けますが、もちろん真田側も黙ってはおらず、手練れの甲賀忍者を送り込み、あずみたちを倒そうと躍起です。
果たして、あずみの運命は……
まずコミックの「あずみ」は全巻購入しています。でも映画の「あずみ」は観ていません。そんなぼくが、何で「あずみ2」を見たのか、それはひとえに金子修介監督の作品だからです。
前作の評判も悪いし、今作の評判も相互リンクしていただいている「前田有一の超映画批評」さんでは100点満点中9点という、かっ飛ばしっぷり。
どんなにヒドイ映画なのか、恐るおそる観てみたのですが。
うむ。そんなに悪い映画ではなかったですよ。もっとも金子監督という段階で、かなり甘めの評価になっているとは思いますが。少なくとも「SHINOBI」とどっこいどっこいの作品になっているような気はしました。
アクションシーンは、この映画に限らず、何かと批判を受けがちなCGが多用されていますけれど、これは世界的な流れですからね。「マッハ!!!」が受けたのも、逆に言うとそれだけ「アクションができる俳優さんが減った」ことの裏返しだと思うし、残念ですけど仕方が無いことでしょう。
結局、「CGの技術がどうの」と言うより、どこのシーンにどれくらいのボリュームで入れるのか、という監督の判断が、俳優の(鍛え上げた)肉体より重要になってしまった、ということではないでしょうか。その点で、金子監督は、その塩梅がうまい監督だと思います。平成ガメラの特技監督・樋口真嗣さんが撮った「ローレライ」がとてつもなくトンチキな映画だったことを思い出しても、やっぱり「技術」より「センス」なんだと痛感せざるを得ません。
それと上戸彩や小栗旬などの若手は、演技や殺陣のレベルがちょっと足りてない気もしますが、それを多彩な助演陣の活躍が補っていて、けっこう楽しめます。
遠藤憲一
野伏りのボス金角役ですが、実に楽しそうに演じています。多分、三池監督の映画にかける力の50パーセントも使っていない感じ。でも、良い意味でテキトーに演じているのが、金角というキャラクターにあっていて最高です。マンガではあずみの乳をもみながら死んでいくのですが、さすがに上戸彩主演では、それもなりませんでした。残念でしたね。
永澤俊也
真田幸村役と聞いた時には、きっと喜んだのではないかと思いますけど、この映画ではすごく地味。父親の真田昌幸が暴走系だったので、それを抑える「単なる部下」みたいな扱いは可哀想でした。今度はもっといい役がくれば良いですね。
宍戸開
服部半蔵役ですが、幸村と同じく出番は少ないです。でも、死にっぷりは最高にカッコよかったので、儲け役ではないでしょうか。
北村一輝
井上勘兵衛役です。原作では加藤清正の忠実な家臣で、あずみとの絡みも多い、けっこう重要なキャラクターでした。でも、映画では出番がいまいち少なかったですね。役者バカだけに、どうにか目立とうと努力をしているのはうかがえるのですが、それも空振り気味。すごく良い俳優さんなので、監督はもっと役を膨らませてあげれば良かったのに。でも、僅かなシーンでも「目力(めぢから)」爆発の全力投球な姿勢は立派だと思います。
栗山千明
こずえ役。伊賀の忍者としてあずみたちに同行するものの、実は甲賀の回し者という役です。もう、この人に関しては、脇でも主役を食ってしまうという星の元に生まれ付いているとしか言いようが無いです。観ていて、こっちをいっそ主人公にしたら、と何度も思いました。
平幹二朗
真田昌幸役。もうワケが分からないパワーに溢れていて、どう対応すればいいのか。原色使いのヘンな着物に金髪。なんですか、これは。ほとんど鈴木清順の「オペレッタ狸御殿」に出てきた"安土桃山"そのままな役どころでした。
今現在、渋いジジイと言うのは山崎努、原田芳雄、藤竜也など競争が激しいですが、イカれたジジイというのはライバルが少ないので、平幹二朗もいいところに目をつけましたよね。
高島礼子
上野甲賀の頭領にして真田昌幸の女、空如役。多分、この映画の主役は高島姐さんです。セクシーな衣装に身を包み、真田昌幸の横にはべっている姿は、もう大人の色気むんむん。その上、いざとなれば、直接あずみを倒しに行くなど行動力もありますし。しかし、鉄壁の体制であずみを迎え撃ったものの、腹心の部下をバラバラにされ(文字通りな意味で、バラバラになってます)、キレた高島姐さんは、あずみに啖呵を切ります。
「ナンボのもんじゃあ、男も知らん、世間も知らん、生きとる意味も分からんおなごがぁ」
一瞬、極道の妻シリーズかと思いましたよ。
そして、あずみを瞬殺しようとした瞬間、銀角の捨て身攻撃で、負傷する姐さん。でも、あずみはしびれ薬が効いていて、横で寝っ転がっているだけだから簡単に殺せるんですよ。でも、殺さない。それは、生きている間に恋する人の所に帰りたいから。よろよろとファンキーな平幹二朗の元に帰り、その腕の中で死ぬ姐さん。平幹二朗も、姐さんの死に、完全にキレて、あずみに一騎打ち申し込んじゃいますから。現役の刺客と、年取った戦争管理職が戦って勝負になるわけがないじゃないですか。それでも戦う。きっと姐さんのもとに早く旅立ちたかったんでしょう。
いや、良い映画でした。でも、「あずみ」は多分、見ないと思います。だって平幹二朗と高島礼子が出ていないんでしょ。
しかし、「あずみ」が各所で低評価なのは上戸彩が悪いからですか。もとより演技力は期待していないので、ぼくとしては「まあ、こんなものだよね」と楽しく観れたのですが。
そりゃあ、長澤まさみとか綾瀬はるかを呼んできたら、もっと良い映画になったかもしれませんよ。世界の中心であずみは叫ぶ、みたいな感じで感動モノにもできるかもしれないし。あと、深田恭子とかも良いかもしれませんね。ゴスロリのあずみというのも、なかなか新鮮な気がしますけど。
でも、オファーしても絶対に出てくれないでしょうね。
(影の主人公の二人)
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そうですか、北村龍平監督と仲が良いのですね。確かに金子組の俳優さんではないですもんね。
ぼくも、大河ドラマで「うわっ、この俳優さん誰だろう」とビックリしたクチです。
北村一輝さんは、良い俳優だと思うので、もっともっと映画に出てくれるとうれしいですね。
あずみ3、うーん監督は誰が良いでしょうかね。
でも、原作にある程度沿った形で作ると、勘兵衛役は顔がひどい火傷で、焼け爛れてしまうので、北村一輝ファンは泣いてしまうかもしれませんね。ほとんど素顔が見れませんから。もっとも、北村一輝さんなら、そんな役に意欲を燃やしそうですが。何と言っても役者魂全開の人ですから。
アハハ、いたく同感でした。
それにしても、味方の忍者、あまりに弱すぎました。その辺のふだつきより弱いなんてどうなんでしょう?もうちょっと気の利いた術を使う味方がいればよかったのにね(笑)。
でも私は上戸彩好きなんで・・・それなりにGOODでした。(*^^*)
可愛いところなら買えますが・・・
味方の忍者が弱いのは同感。でも、変に強いと、あずみが目立たなくなっちゃいますもんね。なにしろあずみはすご腕の剣士ではあるけど、術は使えないし。