いくらおにぎりブログ

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【映画】雑兵物語

2007-11-26 | 邦画 さ行

【「雑兵物語」池広一夫 1963】を観ました



おはなし
南軍から、命からがら逃げてきた足軽の茂平は、ひょんなことから再び南軍に戻ることになり……

グウタラな足軽15人が、いかにして厳しい戦国の世を「楽しく」生き抜いたかを描く、ドタバタ戦国コメディです。

「南」の旗指物を付けた足軽の茂平(勝新太郎)がよろよろ歩いています。旗指物がポロリと落ちたのをきっかけに、刀も捨ててしまった茂平はやがて、人気のない、ひなびた村に辿り着きました。

何か食い物がねえかな、と一軒の家に入り込んだ茂平。しかし、いきなり「どろぼー」と怒鳴られびっくり仰天。見れば、ゴロンとマグロのように寝転がっている男がひとりいますよ。「何が泥棒だ。オラまだ何も取ってねえだ」と文句を言う茂平に男は、「あたりめえだ。何にもねえところから取れるわけねえ」と寝転がったまま答えるのです。動くと腹が減るという理由で寝転がったままの、この横着者の名は弥十(船越英二)。

さて、弥十によると、村に人気がないのは当然。和尚さんに呼ばれ、村の衆はみな寺に行っているのです。

ご領主から15名の足軽を差し出せと言われた、と村の衆に告げる和尚さん(柳家金語楼)。村の衆はいっせいにブーイングです。しかし、日当二十文と聴いた瞬間、目の色が変わりましたよ。それはもうやるしかないでしょ。
一方、弥十は「おい、泥棒。食えや」と懐からとうもろこしを取り出し、茂平にポンと放り出しました。腹が減っているというのに親切な男です。茂平は、でもようと思案顔。これまた悪い男ではなさそうですね。そこに、村の衆が駆け込んできました。「弥十、早よう来んけ。足軽になれば、一日二十文くれるっていうだ。それも半期前渡しで」。「うーん、こりゃ逃せられねえぞ」と走り出す弥十には、「あっ、やめとけ」という茂平の声なんか聞こえてないみたいです。

寺では、和尚さんが日当をピンハネしていたことに村の衆が気づき、ヤイヤイ怒ったりしていますが、それにしたって二十文。ああ、愛しの二十文です。とはいえ、村には足軽になれそうな男手があまりいません。まあいいや、バレねえだろ、と臨月でお腹がパンパンの大女おたつ(太平洋子)をいれ、男まさりの於莵(藤村志保)もいれ、それでもまだ十四人。

「うーん」と悩んだ弥十は、とりあえず茂平を誘うことにしました。。これで頭数も揃うしね。でも茂平は「何も考えることねえでねえか。やめとけ」とけんもほろろです。「だどもよ、一日二十文っう」「てなこと言われて、その気になってだな、あっというまにおめえ、冥土行きだ」

ばばーん。ここは南軍の砦です。いかめしい侍大将が訓示を行っていますよ。
「諸君は名誉ある南軍の戦士として勇敢に戦い、偉大なる勝利をばおさめ、一日でも早く平和を呼び戻すよう頑張ってもらいたい」
ワーッとあがる歓呼の声……は一切無く、いるのはいかにもやる気のなさそうな村の衆十五人です。ものぐさな弥十。出戻りの茂平。ちびの仙太(堺駿二=堺正章のお父さん)に、大女の妻おたつ。男まさりな於莵に、女っぽい弟。顔は怖いけど、たいしたことない孫六(遠藤辰雄) などなど、どうみても烏合の衆ですね。

飯は食えるし、何と言っても一日二十文。その上、酒まで出ちゃいましたよ。うわぁ、何て足軽稼業って楽しいんでしょう。「バカたれ、鶏をシメる前はいい餌やるでねえか。酒が出るっつうことは戦いが間近けえぞ」と茂平は一言。さすが、実戦経験者は違います。

突撃ーぃ。塹壕から飛び出していく足軽たち。もっとも茂平は掛け声だけで、そのまま塹壕で寝転がっていますが。

うおーっ。ジャズをBGMに、びっしり折り敷いた北軍と激突する南軍。ひぃーっ。ありゃ、みんな逃げ帰ってきましたよ。ひぃ、ふぅ、みぃ。あれ一人足りません。あ、チビの仙太です。アンタぁ、と駆け出すおたつ。もちろん、みんなも戦場に逆戻りです。いたいた。仙太は腰が抜けているようです。「あんたっ」「かあちゃん」ひっしと抱き合うノミの夫婦。と、安心したおたつは、いきなり産気づいちゃいました、それも戦場のど真ん中で。こりゃタイヘンだ。南軍の旗を集めて急きょ産屋を作るみんな。と、そこに北軍の軍勢がやってきましたよ。「待ってくれ」と駆け出す仙太。どうやら北軍の侍大将は物の分かった人のようです。「まあまあ、決戦はまたの機会にいたすであろう」とニコニコです。オンギャア。あ、赤ちゃんが生まれたようです。おめでとう、と手を振りながら去っていく北軍でした。

その日の夕暮れ。「達者で暮らせよ。二度と戦場に帰ってくるなよー」と言われ、仙太とおたつ。そして生まれたばかりの赤ん坊(愛称たけのこ)は去っていきました。さよーならー。

さて、戦争は毎日やっているわけではないので、暇な日は町が大賑わい。足軽たちは戦場で拾った刀や鎧を故買屋のばあさん(ミヤコ蝶々)に売っては、その金で女郎買いを楽しんでいるようです。村のみんなは、ほほうと感心しきり。よっしゃ、次はおらたちも何か拾ってくるべ、とワクワクです。

そんなある日、茂平は北軍の足軽とばったり遭遇しました。ところが、それは茂平の生まれた北ノ庄の村の男たちではありませんか。お前はどこにいる、おらたちはこっちだ。そんな情報交換の結果、ちょうど真向かいに位置していることが分かった茂平は一計を案じました。お互いに勇敢に戦っているふりだけして、あとは適当にやろう。命あってのものだねですからね。

次の戦いの日。全部はなしはまとまっているから、と真っ先に飛び出していく茂平。しかし、前の日に北軍は配置換えがあり、目の前にはやる気満々の足軽ばかりです。話が違うでねえか、と村のみんなはバックギア全開、ほうほうの体で逃げ出したのです。

ふっふっふ、こんなこともあろうかと思ってな、と茂平が得意げに見せるのは、北軍の旗指物。これを付けておけば、お味方不利でも、堂々と戦場でお宝探しができるというものです。それ行けぇ。あっ、南軍が盛り返してきました。よしっ、旗を付け替えろ。よし、行けぇ。ああ、またまた北軍が盛り返してきたぞ。旗の付け替えだぁ。。。なんか疲れるばかりで、何にも拾えやしません。

とはいえ、ちょうど目の前でおっ死んだ、身分の高そうなお侍様がいましたから、いかにも高そうな鎧兜が手に入りましたよ。これを故買屋のばあさんに売ったら、いい金になりそうです。しかし、こんな立派なものは、却ってすぐ盗品ってバレルから、という理由で、二束三文にしかなりませんでした。

さてさて、南軍の総大将、織田信長の前にはマンガみたいな爆弾がひとつ。堺の大商人近江屋によると「一瞬にして勝利をもたらす弾丸」だそうです。よし、試し撃ちをしてみよ。ははあ。ドッカーン。大爆発です。信長は「うん、これで戦国の世は終わった」と大喜びなのでした。

さて、戦争は毎日やっているわけではないので、ってこればっかですが、ともあれ温泉に使っている男勝りな於莵。しかし、そこにすけべな小頭がやってきたので、さあタイヘン。オラは男だ、といってもノープロブレムな小頭は、守備範囲が相当広いみたいです。大ピンチ。ところが、小頭は軍奉行から「重要な件」で呼び出しを食らったので、乙女の貞操は守られたのです。と、今度は茂平がやってきました。出るに出られない於莵は、湯にのぼせてそのまま失神です。「於莵助、どうしただ」と抱き起こした茂平は、於莵が女だったので、ビックリ仰天です。

秘密兵器の弾丸は「国崩し」と名づけられました。あとはこれを清洲城に運ばなければなりませんが、どうやって運びましょう。精鋭部隊に運ばせるというのもひとつの手ですが、それではかえって敵の注意を引いてしまいそうです。
「そこで裏をかいたわしの策だが、本隊随一のまぬけ足軽にこれを運ばせようと思う」と言うお奉行さま(伊達三郎)。もちろん、本隊一のまぬけと言えば、えっへん、茂平たちに決まっています。

さすがにまぬけな足軽たち。弥十は、前金を受け取るや「みんなで行くことねえ」と何人かを村に返してしまうことにしました。さすが期待以上のまぬけさですね。残った9人は意気揚々、ピクニック気分で、弾丸の積まれた大八車を清洲城にガラガラと引っ張っていくのです。
旅の途中。於莵は妙に甲斐甲斐しく、茂平の面倒を見ています。なんでお前は村に帰らなかったんじゃ、と茂平に聞かれた於莵は、顔を真っ赤にして怒鳴ります。
「茂平。オラはお前の嫁になるんじゃ。き、め、た、ん、じゃ」
ビックリしている茂平に於莵は「裸でオラの裸抱いたじゃねえか」と重ねて言います。ジロっ。あ、村の衆の視線が痛い。おいおい、お前がのぼせておぼれそうだから助けたんじゃないか、それにお前は男だと思ってたよ、としどろもどろの茂平。
「オラの村では肌を押し付けたら、その男の嫁になるんじゃ」と言う於莵。村の衆もうんうんと頷いています。
そこからは於莵のイチャイチャ攻勢はとどまることを知らず、村の衆が冷やかす中、憮然として大八車を引っ張っていく茂平。しかし、そんな一行を厳しい表情で見ている謎の侍がいることには、誰も気づいていないようです。

「見てはいかんと言われると見たくなるのは人情」と茂平が言い出しました。実は、村の衆は自分たちが何を運んでいるかは知らされていないのです。よーし、見ちゃえ。しかし出てきたのはよく分からない鉄の玉。何でぇ、と投げ捨てる茂平。よーし、蹴っちゃえ。えいっ。
あわわ、と見守っているのは謎の男。なにしろ、国崩しは敏感な爆弾で、ちょっとしたことでドッカーン、なんてこともありえるのですから。

しかしまぬけ足軽たちは、信管を抜いて火薬まで取り出し始めちゃいましたよ。あ、みんなで火薬をペロペロ舐めてます。うん、甘い。「やっぱりこれは不老長寿の薬でねえだか」と茂平が言うと、村の衆はうんうんとうなずいています。

これは故買屋のばあさんに売りつけて金に買えちまうべえ、と衆議一決した村の衆。しかし、ばあさんも、そこはさる者。村の衆の思惑を見破って、買取を拒否しちゃうのでした。おいおい困ったなあ、じゃあ運ぶしかないか。ガックリしている村の衆ですが、そこに旅の男の話が聞こえてきましたよ。いわく、織田さまが国崩しっていうスゴイ爆弾を手に入れたらしい。それを今、清洲のお城に運んでいる最中だけど、なにしろ敏感な爆弾で、ちょっと衝撃を与えただけで、ドッカーン。

ギクッ。顔を見合わせる村の衆。うわーっ、と逃げ出しちゃいました。しかし、そこに現われたのが、道中、ずっと見張っていた謎の侍。茂平が「お前さん誰だ」と恐るおそる聞いてみると、「お前たちの目付け役として使わされた清洲の者だ」と言うではありませんか。その上、後ろには火縄銃を構えた鉄砲足軽たちがビッシリと居並び、油断なく村の衆を狙っています。お目付け役は、無事に届けたら200両やろうと言い出しました。もちろん、断わったら……

爆発が怖いので、ながーいヒモで大八車を引っ張る茂平たち。万が一にも衝撃を与えないように、道路の石をとり、きれいに掃き清めて、恐るおそるの行進です。よいしょ、よいしょ。うわっ、敵だ隠れろ。向こうの道を北軍の軍勢が通り抜けていきます。物陰に隠れてやり過ごす一行。しかし、敵の軍勢の最後尾に、なんだか見覚えのある人影があるではありませんか。あれっ、おたっちゃと仙太が北の旗つけてるぞ。おーい。なんと二人は北の日当が七十文だと聞いて、北の足軽になっていたのです。「それでいいだよ。俺たち足軽に北も南もあるもんか」という茂平。「行き先は北ノ庄の砦だ」という仙太、おたつに、「気いつけてな」「達者でなあ」と手を振って見送る村の衆です。

ようやく清洲のお城に国崩しを届けて、ちゃんと褒美も貰えた村の衆。さらに酒まで振舞われ、「まったく国崩しさまさまじゃあ」とご機嫌です。そこに、「よう、やっとるの」と偉い人がニコニコしながらやってきました。「実はな、お前たちの運んだ国崩しを明朝、北ノ庄の敵陣にぶちこむことが決まったぞ」。

えっ、北ノ庄。北ノ庄には仙太とおたつがいるじゃありませんか。考え込む弥十。「オラ、北ノ庄の砦に行くだ」。仙太とおたつを連れ出すしかない、という弥十に反論する茂平。しかし弥十は、「オラ、どげなことしても、仙太たちを田んぼの肥やしにしたくないんじゃい」と出て行ってしまったのです。シーン。座が静まり返り、ひとり、また一人と村の衆は出て行ってしまいます。そして、於莵までもが。「バカたれども」とトックリを投げつける茂平です。

テクテク、テクテク、村の衆は歩きます。野を越え山越え、ひたすらに。茂平が追いついてきました。「茂平」「茂平」と、口々に喜ぶ村の衆。「オラがいてさえヘマばかりしてるっちゅうのに、オラがいなくなったらどうなるんじゃい」と茂平も、ちょっと照れくさそうです。

北ノ庄に忍び込んだのはいいけれど、仙太はともかくおたつが見つかりません。その頃、清洲のお城では弾込め中。「いたか」「ダメだ」。「しかたねえ、一まとめに助けるか」と、おーい、逃げろーと叫びだす村の衆。とんでもない弾がふってくるぞー。

うわーっ、と足軽たちが逃げ出しました。「撃てーっ」、ドン。弾が飛んできました。ドッカーン。

モソモソ、土に埋まっていた村の衆が這い出してきました。もう。砦は跡形も残っていません。茂平と弥十は、顔を見交わして笑い出し、そして村の衆も一斉に大笑いをするのでした。

もちろん、コメディなので笑えますが、それより全編を漂う「ゆるーい」雰囲気が最高です。何となく観ているうちに、自分も村の衆の仲間になって、アチコチをウロウロしているような気分になってきました。

藤村志保は、お姫様よりこういった役の方がピッタリ。一途な村の娘を好演していました。それに、船越英二も、無精者で、ヌボーッとした男の演技がうまいこと。さすがに名脇役です。

そして何より、勝新太郎です。大きな目をグリグリさせて動き回る勝新は、存在自体がどこかおかしいです。真面目な映画だと怖くなるところが、全く同じ演技でも、どことなく笑えてしまう。これは天性のものでしょうね。その点で、若山・勝兄弟は、日本映画界でも稀有の才能を持った二人なんだなあと思います。

もちろん、この映画は、「国崩し」を大量破壊兵器に見立てて、米ソの核開発競争を遠まわしに批判している、みたいな観方も可能です。でも、それよりは、マヌケで愛すべき村の衆と一緒に旅をしている気持ちになってしまう方がいいかもしれません。





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