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【映画】魔子恐るべし

2007-07-03 | 邦画 ま行

【「魔子恐るべし」鈴木英夫 1954】を観ました



おはなし
田舎から出てきた魔子が、画家の福田を探して東京をさまようのですが、周りに寄ってくるのはいかがわしい男ばかりで……

サスペンス映画の名手、鈴木英夫監督が東宝に移籍して最初に撮った作品です。

信州から東京にひた走る機関車。車中には、通路にペタリと座り込んだ娘がいます。娘の名前は魔子(根岸明美)。裾の短い着古した着物からスネをむき出しにしている魔子は、どうみても田舎から出てきた山出しといった風情ですが、そのボディは何と言っても肉感的。それに良く見れば、顔もカワイイと言えなくも無いではありませんか。

そんな魔子に目をつけたのは、女たらしのノミ健(藤木悠)。早速、チンピラ仲間と共に、魔子を口説きにかかります。しかし、車中にはもう一人、井田の四天王と呼ばれる凄腕のスケコマシな山カンこと山村寒三(森繁久彌)が乗っていたのでした。

オネエ言葉の山カンは、デッキでノミ健たちをあっさりのすと、甘い言葉で魔子に近づくのでした。どこに行くのかと聞くと、「ほい、東京の福田さんのところだよ」と答える魔子。じゃあ、福田さんのところに案内してあげようと言うと、微塵も疑う様子を見せません。

早速、情婦のところに魔子を連れて行った山カン。とりあえず、コマした女は、親分の井田のところに連れて行くのが決まりですが。今回は直接、売り飛ばしてしまおうという腹なのです。

しかし、悪いことはできないもので、井田の所にノミ健が乗り込んでしまったものだから、悪事はすっかり親分にバレてしまいました。
早速、山カンのところに乗り込んでくる井田の子分たち。魔子は、忠実な下僕の茂助(藤原釜足)に、山カンを助けるように命じますが、茂助は「いやあ、自業自得だがっせ」と動こうとしないのです。

「山カン、組の掟を破った野郎がどうなるかってことは分かってるだろうな」と凄む子分たちは、あっという間に山カンをボコボコに。そんな山カンを助けにきたのは魔子でした。

よく分かりませんが、都心からいきなり人里離れた林にやってきた二人。魔子は木に登って葉っぱをむしり始めました。これで薬を作ろうというのです。さらに、
「山村さん、おら、山の踊りを踊ってみせるだね。よく眠ってくんろ」と踊り始めてしまいました。いや、それじゃうるさいし、その上、別の意味で元気になってしまって、余計に眠れないだろと思います。

都心をフラフラ歩いていた魔子は、ノミ健に見つかりました。福田さんの居所が見つかったよ、と言われて、またもホイホイついていってしまう魔子です。もちろん、事務所に連れていかれた魔子は、本人の知らない間に売られてしまったのでした。

女衒に連れられて歩いている魔子を見つけた山カンは、早速女衒をボコり「魔子ちゃん、山に帰ったほうがいいよ」と忠告するのですが、魔子は「なれ、嘘こいただな」と聞く耳を持たないのです。

またも街をふらついていた魔子は丸目昆太(加東大介)に出会います。ベレー帽に口ひげ、眼鏡とインチキ臭いことおびただしい丸目はヌード劇場の演出家。あやうくヌードダンサーにされそうになった魔子は、危ないところを逃げ出すことに成功しました。

なぜか、国技館の屋根の上に座り込んでいる魔子と忠実な下僕の茂助。「叫んでええか」と言った魔子は、でっかい声で「福田さーん」と叫び始めました。するとどうでしょう。地鳴りのような不思議な声で「ふくだー」「ふくだー」と聞こえてくるではありませんか。こ、これは。早速、国技館に入ってみるとそこではプロレスが行われています。どうやら、福田がやられている様子。思い余った魔子は、リングに飛び上がり、福田さんをいじめる悪いヤツをやっつけるのでした。もちろん、福田は福田でも福田違い。魔子は営業妨害で警察に捕まってしまうのです。

そのころ、山カンは、ひとり福田の家を探していました。見つけてみると、そこはとんでもないあばら家。それに、少し前にすれ違った風采の上がらない男が福田だったようです。これは、どう見ても福田は画家などではなく、旅先で魔子にあることないこと吹き込んだ詐欺師でしょう。

警察に捕まった魔子は、東京に身元引受人がいないために留置されています。本音を言えば警察も、この奇妙な娘を早く誰かが引き取ってもらいたいところ。そこに丸目が、魔子の身元引受人として現われました。福田さんを探しているという魔子に、丸目は「そりゃあ、魔子ちゃん。ストリップに出るのが一番早道だよ」と甘い言葉をささやきます。ストリップで評判になれば新聞にも出るだろう、そうすれば福田さんの方から会いに来るよ、と言うのです。「おらあ、やってみるに」と能天気に答える魔子でした。

「水爆的新星 白百合魔子現る」と大々的な看板が飾られ、「野生マンボヶ丘」と題されたストリップ芝居を始める魔子。とりあえず、ここがこの映画の見せ所なんですかね。根岸明美の踊りが披露されます。根岸明美は日劇ダンシングチーム出身だそうですから、まあ下手ではないと思うんですが、なにしろ演出が古臭いので、何の感銘も受けないままスルーです。さて、それを見ていたノミ健は、またも福田さんに会わせてあげる、と魔子を連れ出しました。

いい加減、このパターンは飽きてきたんですが、やっぱりノコノコと付いていく魔子。しかし、今度のノミ健は、魔子にナイフを突きつけて脅してきたのです。しかし、サクっとナイフを取り上げた魔子は、「ノミ健、やれ嘘こいただな。山の者は嘘をつかれて騙されたら、騙した奴の息の根を止めるだが、いかに?」とノミ健を脅します。「ムチャ言うな、ええことあるか」と答えるノミ健。確かに、殺されたらたまりません。ところが、そんな魔子の後ろには井田親分を始めとする悪い人たちが。魔子はナイフを取り上げられて大ピンチです。そこに、飛び込んできたのは茂助。あっという間に、敵をやっつけていきます。魔子お嬢様、逃げなせえ、と敵を引き受ける茂助。しかし演ずるのが藤原釜足なこともあって、もっさりしたアクションシーンなのが泣けてきます。

外に飛び出した魔子を待ち受けていたのは山カン。山カンは魔子に「ここに地図がある。行ってみるんだね」と福田の居場所を教えました。
魔子は、福田のアバラ小屋に行きます。戸を開けると鶏がバサバサと飛び出してきました。「何たるや」と愕然とする魔子。思わず泣き出してしまいます。そこに茂助がやってきました。「おらと一緒に山さ、帰えろうでねえべさ」。しかし魔子は「おら、福田さん探すまで山さ帰えらねえだよ」と答えるのです。

「ふくださーん」と叫ぶ魔子。「魔子よ何処へ行く?」のテロップが出て映画はおしまいです。

……何の映画なんですか、これは。面白くも何ともないんですが。映画を観始めた時には、田舎育ちの魔子が東京でとんでもない悪女になる話なんだろう、と思っていたのですが、そうではありませんでした。じゃあ、ヘンに藤原釜足が神出鬼没だし、根岸明美と藤原釜足は狸とか狐の化身かなんかだろうと思ったら、そういうオチでもありません。まさにヤマなしオチなしな、どうしてくれようという映画です。

そもそも福田に会えないっていうのも、理由が分かりません。これは「ゴドーを待ちながら」のような不条理映画なんでしょうか。確かに、ゴドーの初演が1953年。この映画は1954年の映画ですから、タイミング的にはばっちりです。しかし、不条理なら不条理で、そう言ってくれないと混乱します。(ちょっと違う)

結局、出来上がりは、「クロコダイルダンディ」や「ブッシュマン」のように、田舎に住む純朴な人が都会にやってきて引き起こすドタバタ以外の何ものでもないし、そのエピソードの一つひとつがユルイという、なかなかにダメな映画ではありました。







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