いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】天下の快男児 突進太郎

2007-11-28 | 邦画 た行

【「天下の快男児 突進太郎」小林恒夫 1960】を観ました



おはなし
突進太郎は、ひょんなことから下着会社に入社して……

万年太郎に続く第二作目。前作の化粧品会社に引き続き、今度は下着会社に勤めることになった高倉健です。若い頃の健さんは、ホント、体当たりな感じですねえ。

ダイアナランジェリーではパーティが行われています。そこで社長のあぐり(久保菜穂子)が、インタビューに答えて、将来はデザイナーに男性を起用予定だとぶちあげました。

そして、迎えた採用試験の日。デザイナー室では、千秋(山東昭子)などが、下着デザイナーを志望する男なんて、イヤーな感じなどと噂をしています。そこに「デザイナーの試験受けに来たんだけど、試験場どこ」と、のっそり入ってきたのはいかにも田舎者風の男(高倉健)。絣の着物にハンチングという時代錯誤なカッコをしていて、これでデザイナー志望というのだから、恐れ入ってしまいます。

さて試験会場では、マネキンに下着を早く着せる試験など、まったくもって理解不能な罰ゲームみたいなことをやっています。そして、そこに参加しているのが、健さんや、地獄大使の潮健児ですから、画的にはまさに「異次元ワールド」。

そして面接。堀部部長(岡田眞澄)に「名前を言いたまえ、名前を」と呼ばれて「はっ、突進太郎です」と答える男。でも、前回の「万年」っていうのはまだ苗字としてありえそうな感じでしたけど、「突進」ってのはどうなんでしょ。ま、それはともかく、いかにも田舎者な感じの突進太郎に、オシャレな部長は「ふん、最低だな」と嫌味を言うのでした。ぼくもそう思います。

当然、試験に落っこちる突進太郎。一方、コネありでおしゃれな荒井(潮健児)はあっさり試験にパスです。ここで問題、潮健児がオシャレっていうのは、東映はそんなに人材がいないんでしょうか。どうにかしてください。それはともかく、ここで健さんが試験に落ちると、映画もそこで終わってしまうので、気まぐれな風がぴゅーっ。合格者と不合格者の履歴書が風で吹き飛び、混ざってしまい……

「風のいたずらだよ」とあざ笑う堀部部長。採用通知を持って意気揚々とやってきた突進太郎は大ショックです。しかし、このままでは怒りが収まりません。一言、社長に謝らせてやると、突進太郎は社長室に乗り込んでいくのでした。これって、ほとんどヤクザの行動パターンですね。

ちょうどその時、社長室ではあぐりが、「週刊モード」の記者にからまれていました。週刊誌といいながら、実際はあくどいことをやっている業界紙の記者は、パーティのことを記事にしてやったのだから、金を寄越せと言っているのです。

そこに乗り込んできた突進太郎は、「社長に一言謝って欲しいんですよ」と言いつつ、とりあえず個人的な怒りのままに記者をノックアウト、そのまま「もう帰ります、腹の虫は治まったですよ」と帰ろうとしています。それを引き止めるあぐり。「ちょっとあなた採用よ。間違いじゃなく、本当に採用よ」。健さんのカッコよさにシビレたのか、用心棒としてちょうどいいと思ったのかは、謎です。

無事に採用されて、デザイナーの特訓を受ける突進太郎。千秋に教えてもらって、ミシンをかけたり布地の裁断をしたり、しかし何をやっても大失敗ばかりです。まあ、健さんといえば「不器用ですから」仕方がないというものです。

一方、堀部部長は、父親が会社の実力派専務で、なおかつあぐりの婚約者なので、クネクネしながらあぐりに迫ったりしています。でも、あぐりとしては、本当はこんなキザったらしい男は大キライ。内心では、どうにか堀部親子を会社から放り出したい気分でいっぱいです。

さて、デザイナーとして使い物にならない突進太郎は営業の研修を受けることに。手始めにお得意さん回りから始めましょう。まずはテレビ局の重役夫人のところにいく突進太郎。しかし、出てきたのはとんでもなくゴツイおばさん。おばさんの命令で、ひたすら下着のヒモを締め上げた突進太郎は、おばさんを気絶させてしまいました。ああ、大失敗です。次は、あぐり社長の母校に出かけた突進太郎。しかし厳格なミッションスクールの生徒たちは、清楚な下着を見せても無反応。まあ、健さんの話し方が、夜店の叩き売りみたいなせいもあるでしょうけどね。しかたないと、突進太郎は千秋がテストで作ったピンクのせくすぃーな下着を取り出してみました。おお、ウケてる、ウケてる。「うわーっ、ステキ」と、生徒たちは目を輝かせてピンクのせくすぃー下着に群がっています。しかし、当然、老修道女(原泉)に怒られて、これまた大失敗です。

母校の恩師から怒られたあぐりは、突進太郎と千秋を呼び出してお説教です。ガミガミ。しかし、ふてぶてしい態度の突進太郎。いや、もしかしたら反省しているのかもしれませんが、そこは健さんですから、ふてぶてしく見えてしまうだけかもしれません。よく分からないけど。ともあれ、そんな突進太郎を見ていた堀部部長はキレ気味です。「あなたが馘にしないなら、ぼくがこいつの根性を叩きなおしてやる。おい出てけ」。ドガ、バス、バキ、ガッチャン。何事もなかったように社長室に戻った突進太郎は、「今日限り辞めさせていただきます」と、あぐりの制止も聞かずに立ち去っていったのでした。しかし堀部部長は、どんなことになっているのやら。

重役夫人から、「あのキングサイズの男、気に入ったよ」と突進太郎ご指名の電話が入り、ミッションスクールでは「服装の自由を与えよ」とストライキが勃発し、すっかり人気者になった突進太郎。あぐり社長は千秋に命じて、早速、突進太郎の慰留に乗り出しました。「あなたの失敗は実は成功なんだから」と突進太郎を説得する千秋。しかし、そこは一徹者の突進太郎ですから、絶対辞めるの一点張りです。こうなると、ツンツンが得意な山東昭子が演じているだけあって、千秋もまたプンプン怒りながら帰っていってしまったのです。

しかたありません。突進太郎が下宿している合気道場を突然、訪れたあぐり社長は、「あやまるわ、このとおり」と頭を下げます。「参った」と頭を下げ返す突進太郎。「社長の熱意に負けました」と気持ちよく和解です。さすが、健さん。親分に頭を下げてまで頼まれたらイヤとは言えませんね。もうドスでもハジキでも持ってこいな感じです。ところが面白くないのは、合気道場の先生(楠トシエ )。せっかく会社を辞めた突進太郎とラブラブな生活を送れると思っていたのに、そこに美人社長がやってきて、計画はご破算ですから、すっかりムクレテしまうのでした。

ということで、あぐり社長、千秋、それに合気道の先生と、モテモテな突進太郎。これからどうなってしまうのでしょう。

まあ、結局は、モーターボートで二人きりだった突進太郎とあぐり社長を見て、千秋こと山東昭子はますます、ツンツンしていき、合気道の先生は悲しみのあまり突進太郎を投げ飛ばしたりしているのです。そして、堀部こと岡田眞澄は嫉妬して、悪巧みをエスカレートさせていくんですけどね。

そんなこんなで、堀部部長と父親の堀部専務はクーデターを起して会社を乗っ取る作戦を始めました。一方、ノリノリなあぐり社長は世界的デザイナーのマドレーヌ・グリッフと提携して、ダイアナランジェリーをますます大きくする計画を立てています。もちろん、契約を取りに行くのは、我らが突進太郎その人です。

税関職員に変装して、拉致同然にマドレーヌをホテルに連れて行く突進太郎。もちろん、一歩間違えば犯罪ですが、突進太郎は「とってもハンサムで、出会った女性はメロメロ」なことになっていますからノープロブレム。当然、その威力は外人相手にも発揮され、マドレーヌは「タロー、今晩泊マッテ行キナサイ」「泊マレバ、デザインアゲマース」「私に魅力(みりき)アリマセンカ」とすっかりデレンデレンです。良かった、良かった。おかげでマドレーヌは未発表のブラジャー(むっちゃハデ)もくれたし、それを発売したら大ヒット。すっかりあぐりも突進太郎も名をあげることができたのです。

勢いに乗って、下着ショー、水着ショーを連続開催しようと計画するあぐり。しかし、このままあぐりに成功されては堀部一派の立場が弱くなる一方です。早速、「週刊モード」の記者と組んで、堀部親子は妨害工作を始めることにしました。まずは、下着ショーの最中に、ブラジャーのヒモが切れる小細工をして、それを週刊誌に大々的に書き立てる作戦です。これは見事に成功。会社は大打撃です。とはいえ、後の不良性感度路線の東映じゃありませんから、おっぱいは出ません。残念でした。

さて、次は水着ショーをぶっ壊せば、会社の信用は地に落ち、あぐり社長は辞任するでしょう。シメシメ。と、そんなことをして、自分たちが会社を引き継いだ後、堀部親子はどうするつもりなんでしょう。まったく、分からん人たちです。まあ、それはそれとして、怪しい化学者から、布地が縮んじゃう薬品を手に入れ、これを水着ショーの行われるプールに入れてしまう計画を立てる堀部部長。万が一、突進太郎の妨害にあったときに備え、愚連隊も配置して準備は万端です。

社運を賭けたショーのはずなのに、「なぜか」家でタラタラしていた突進太郎とあぐり社長は、千秋からの急報を受けて、会場に車を飛ばします。間に合うのかっ。間に合うといいなあ。

はい、間に合いませんでした。モデルの水着は縮んでしまい、イヤーンな感じ。突進太郎こと健さんは、「いかにも嬉しそうに」愚連隊と大立ち回りを演じて、愚連隊をプールに叩き込みますが、何の意味もなかったようです。しかし、少なくとも堀部親子の悪巧みだけは、白日の下にさらされたのです。「責任を取ってもらいます」と堀部親子に言い渡すあぐり社長。しかし堀部親子は恐れ入るわけでもなく、憎々しげに捨て台詞を吐いています。許せますか、この態度を。いや、誰が許したとしても、健さんが許す訳もありません。魂の右ストレートが炸裂しました。うわーっ、とプールに落ちる堀部親子。もちろん、堀部親子の服は縮んでしまい、見ているこっちがイヤーンな感じです。

羽田空港。突進太郎は、マドレーヌに気に入られたおかげで、世界下着会議に日本代表として出席することになったのです。「祝 世界下着会議出席」「バンザイ!日本代表突進太郎君」という巨大横断幕が貼られ、ニコヤカに飛行機のタラップを登っていく突進太郎。きっと、健さんの内心は恥ずかしさと怒りでいっぱいでしょう。ナンデ、コンナメニ。コノヤロウ。まあ、そんな健さんの心の叫びは置いておいて、あぐり社長の久保菜穂子。千秋の山東昭子。そして合気道の先生、楠トシエの熱視線を浴びつつ、飛行機は飛び立っていくのでした。おしまい。

いままでに小林恒夫監督の作品は4本ほどしか観ていないのですが、正直、ビックリです。いや、今まで気づかずに失礼しました。この人はスゴイ。まったくムダのない作り。さりげなく入るギャグの楽しさ。そして全編のセンスの良さ。ストーリーは読んでいただいたとおりバカですが、この映画は紛れもない傑作です。とりあえず、東映の古澤憲吾(クレージーシリーズなどで有名な東宝の監督。念のため)、もしくは東映第三の男、と呼んであげたい気分です。まあ、第一と第二は知りませんけど。

とりあえず、健さんを見た女はいきなりメロメロ、という異常な設定さえ乗り越えれば、これはとても楽しい映画です。東宝映画に比べて、全体的に出てくる人が「ヤクザっぽい」気がしないでもありませんが、少なくとも岡田眞澄がいるおかげで、どことなくオシャレな感じも漂っていますし。あと見事だなあと思ったのは下着ショー。決して映画の「付けたし」レベルではなく、この部分だけとっても成立するくらい見事です。しっかりした美術に隙のない演出。あとは植木等さえいれば完璧なんですけどね。

前作では山東昭子がヒロインで、久保菜穂子はミスチェリーという脇役でしたが、今回は関係が逆転。久保菜穂子が出ずっぱりです。これは新東宝ファンにとってはうれしい限り。山東昭子のツンツンしたところも悪くはないですが、やっぱり久保菜穂子の色っぽさは、また格別ですから。今回は眼鏡のシーンも多く、山東の「ツンデレ」対久保の「眼鏡っ娘」、という萌え対決も観れるので、実にお得な感じです。

健さんは、まあ健さん。前作のように、強引キス攻撃をかますわけでもなく、ただ「いるだけ」って感じです。唯一、嬉しそうに芝居をしていたのは乱闘シーンだけだったような。でも、そんな戸惑ったような健さんも、またいいですよね。







いくらおにぎりブログのインデックスはここ
いくらおにぎり日記はここ

『映画・DVD』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
« 【映画】雑兵物語 | トップ | 【映画】美貌に罪あり »
最近の画像もっと見る

邦画 た行」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事