いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】めぞん一刻

2006-10-14 | 邦画 ま行

【「めぞん一刻」澤井信一郎 1986】を観ました。



おはなし
時計塔のある古いアパート一刻館。そこに済むのは宴会好きの一ノ瀬さん(藤田弓子)、謎の男四谷さん(伊武雅刀)、スナックに勤める六本木朱美(宮崎美子)など変人ばかり。浪人生の五代(石黒賢)は、連日続くどんちゃん騒ぎに、アパートを出て行く決心をしますが、そこに来た新しい管理人さんの音無響子(石原真理子)は凄い美人。五代は一刻館に居座ることにします。
ある日、管理人さんが未亡人だったことを知りショックを受ける五代。でも、五代はやっぱり管理人さんのことが好きで、大学に合格した夜、酔って管理人さんのことが好きだと大声でわめきちらします。それを聞いた管理人さんは、五代のことが気になっていることに気付くのでした。しかし、ひょんなことから、喧嘩をした二人。五代はアパートを出て行きます。そんなある日、五代の部屋を訪ねてくる管理人さん。彼女は、五代の前で服を脱ぎ、布団に横たわるのですが……。


時が経てば、憎しみの感情も徐々に、薄まっていくものです。でも、この映画についてはどうでしょう。熱狂的なめぞん一刻ファンは恩讐を越えて、この映画を評価できるのでしょうか。
と、余計な心配をしたくなるくらい、公開当時はファンの怒りを買った映画でした。
というのも、すれ違いがメインの甘いラブコメを観念的かつ、露骨なオスとメスの映画にしてしまったのですから。

もちろん原作は、「うる星やつら」「犬夜叉」の高橋留美子の大ヒット作。自分自身、中学生から大学生までの間の連載だったので、必ずスピリッツは読んでいました。それを、こんな映画に……。

監督は澤井信一郎。手堅い映画を撮る人です。「野菊の墓」では主役が松田聖子であるにもかかわらず、マトモな映画に仕立て上げてみせ、「Wの悲劇」では薬師丸ひろ子にブルーリボンを取らせ、キネ旬の2位に輝いた実力派。ああ、それなのに。

脚本は田中陽造。にっかつで「花と蛇」や「生贄夫人」を手がけ、さらに鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」や「陽炎座」などの訳が分からない脚本を書いた人です。もちろん実力はあるし、面白い本を書く人ではありますが、ベストセラーコミック原作のラブコメを書く人では決してありません。むしろ、ギリギリのところで男と女が、オスとメスに変わる瞬間を形而上的に書ける人です。

こうして見ると、
撮影所の中で20年以上助監督を勤め、娯楽作品を手堅く撮れる職人派監督が、賞を取って、ちょっとイケイケ気分になっているところに、芸術派の脚本家の台本を得て、暴走しまくった怪作
と言えるかも知れません。ちょっとキツイ言い方ですが、良いんです。当時のファンなら、もっと罵詈雑言を吐くと思いますから。

ストーリーは、五代と管理人さんのすれ違いをメインにしつつも、四谷さんに付きまとう謎の女(萬田久子)と、朱美さんに言い寄っている謎の男(田中邦衛)という原作にはまったく影も形もない話にかなりのボリュームを割いています。
それも、二人がいる一刻館の空き部屋には、なぜか止まった柱時計がたくさんあったりして芸術風味。よく分からないまま、男が銀行強盗をして追われているという話になり、男と女は心中を図ります(念のため、この映画は「めぞん一刻」です)。しかし、心中に失敗した男と女は、一刻館の部屋に潜んでいます。
男「さて、これからどうしますか」
女「とにかく生きなきゃ」
男「生きていきますか、一緒に」
女「図々しいのね。どうせ警察に捕まるくせに」
すると、女の股間から血がつっーと流れてきて
女「ああ、血が流れる。ずっと無かったのに。生きる気になったら、また始まった」
……もう、何が何やらさっぱりです。(しつこいですが、この映画は「めぞん一刻」です)

それから、劇中に突然挟まれるミュージカル。MGMのロゴを真似たオープニングで、ライオンの代わりに犬の惣一郎さんが吠え、石原真理子がセーラー服、藤田弓子が花嫁、宮崎美子がナースという、もう頭にウジ虫が湧いているんじゃないかという、ワケワカメな光景が展開されます。

他にも、池の対岸で話をしている石原真理子と伊武雅刀のロングショットで、いきなり手前に文楽人形が流れてきて、顔がクワっと変わってみたりするシーンは、今なら「おおっ、鈴木清順か」と感動もしますが、でもこの映画は「めぞん一刻」ですよ。まったく。

一刻館を出た五代の所を訪ねてきた管理人さんは、私ただの女です、と言っていきなり服を脱ぎ始め、布団に。いそいそと服を脱ぎ、布団に入る五代。しかし、そこに鐘の音が。鐘の音がトラウマになっている管理人さんは耳を塞ぎます。なんか躊躇して手を出せない五代。管理人さんは「意気地無し」と言います。「鐘の音を消して欲しかったのに」。うーむ、どうしてくれましょう。

もし、この映画が「めぞん一刻」というタイトルではなく、ましてやロマンポルノの一本だったら、カルト的な傑作と言われたでしょう。でも、あくまで「めぞん一刻」の名を冠しているわけですから。それも人気絶頂のマンガで、なおかつ連載中。

やっちまったな、     と言わせて下さい。

やっぱり、時は経っても「恩讐の彼方に」とは行かなかったようです。

ちなみに、一ノ瀬さんの藤田弓子と四谷さんの伊武雅刀は、ものすごくはまり役でした。管理人さんの石原真理子は、かなり微妙な所。何と言っても眉毛が立派過ぎるし。その点、手塚理美の方が雰囲気が似ているような気もするのですが。それから七尾こずえ役で河合美智子が出ていたのには感激。あの笑顔には癒されます。


(趣味です)


(ゲイジュツですか?)


(あらあら)


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うーんかなり… (夢見興亡)
2006-10-14 02:02:29
酷そうですねー。

でもキャプチャ画像のセレクトで、なんか面白そうには見える(笑)。



そういやこの映画、江古田の日芸でロケがあるのでエキストラで来ないかと、亡き内山君に誘われた覚えがあります。 行きませんでしたが、後日監督とのツーショット写真を見せられてちょっと後悔しました。



原作漫画に思い入れは無いんですが、石原真理子は絶対ヘンだろうと当時から思っていますた…
タイトルさえ (いくらおにぎり)
2006-10-15 13:07:07
悪くはないですよ。原作に思い入れがないのなら、なおさら。結局、めぞん一刻というタイトルを付けたのが拙かっただけで。
タイトルですね。 (夢見興亡)
2006-10-15 19:21:52
まあ「スターシップ・トルーパーズ」と同じ(強引)という事ですね。

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