いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】まごころ

2006-10-09 | 邦画 ま行

【「まごころ」小林正樹 1953】を見ました。



おはなし
弘(石浜朗)はラグビーに夢中な高校生。裕福な家に育ち、母(田中絹代)や祖母(東山千栄子)、姉(淡路恵子)の愛情に包まれ、素直に育っています。弘は、ある日向かいのおんぼろアパートに越してきた少女・ふみ子(野添ひとみ)に恋をしました。また、ふみ子も、弘を一目見て恋に落ちるのでした。しかし、ふみ子はある日、喀血しあすをも知れぬ容態。弘は父(千田是也)に大学に合格したら、ふみ子の治療費を出してもらう約束で猛勉強を始めるのですが……


「人間の條件」や「切腹」で知られる小林正樹監督のデビュー2作目です。脚本は師匠の木下恵介。

ストーリーは甘々で、なんだこりゃって感じです。金持ちの坊ちゃんが、目の前の貧乏人の少女に恋をします。しかし、声をかけるわけでもなく、ただ悶々とするばかり。そんな坊ちゃんを見守る家族は、末っ子の坊ちゃんをとにかく溺愛して、真綿でくるむように大事に扱っています。こんな育て方をしていたら、ろくな人間にならないと思うんですが。
一方、貧乏な美少女の方は、タチの悪い叔父に付きまとわれ、逃げてきた美人姉妹の妹。姉は彼氏と共に、懸命に妹の看病をしますが、金がないため高価な薬もロクに買えません。二人は、窓越しに、お互いの姿を見て、恋をしますが、当然一度も話したことも無いし、名前も知りません。
クリスマスの夜、突然、タチの悪い叔父がアパートを突き止めてやってきます。運悪く姉と彼氏が留守だったので、慌てて外に逃げ出す美少女。しかし、外はホワイトクリスマス。寒い中、美少女は「賛美歌の流れる」教会の前で喀血して倒れます。「たまたま」それを見つけたのが、お坊ちゃんのラグビーの先生だったので、二人は協力して美少女をアパートまで運びます。
彼女をサナトリウムに入れてあげたいと思ったお坊ちゃんは、早速お父さんに「お父さんは慶応に入学できたら何でも聞いてやるっていったでしょ」とおねだり開始です。理由を聞かずにお金を出してというお坊ちゃんに「そんなことできるかい」とお父さんは、真っ当な反論をしますが、お坊ちゃんは「お父さんには分からないんだ」と泣きながら自分の部屋に。えー、見てて嫌になっちゃいますけど、ともあれ、猛勉強を始めるお坊ちゃん。

いよいよ試験の前日。家族は良くここまで頑張ったと褒めちぎります。お父さんも「これでパスできなかったとしても、お父さんは諦めがいい」と意味不明な激励をします。だから、それは甘やかしすぎだって。そこにやってくるラグビーの先生。先生は先日、助けた美少女が今亡くなったよ、と教えます。泣き出すお坊ちゃん。
つられて泣き出すおばあちゃん、お母さん、お姉さん。あ、別にその貧乏な美少女が死んだのが可哀想で泣いてるわけじゃありませんから。可愛い孫が、可愛い息子が、そして可愛い弟が泣いてるから、哀しいだけです、きっと。
姉の夫は今一つ状況が飲み込めていませんけど、無理やり目を絞って泣きます。「やっぱり泣いてらっしゃるのね」という姉のチェックに、心中"良かったー、泣いておいて"と思ったに違いありません。お父さんは、何となく悪者になってしまって困惑しているように見えます。

よく分からないまま、ラグビーの先生に「さあ練習に行こう」と言われ、小雪舞う中ラグビーの練習をするお坊ちゃん。そして「終」。なんか、感動すべきなのか、笑うべきなのか良く分かりません。

そもそも、慶応に受かったら何でも買ってやるっていうのが、なんとも。
ちなみに小林正樹監督自身は大正5年生まれで早稲田卒。エリートかどうかは別として、少なくともこの時代で大学に行けたんだから、実家が裕福であったことは間違いないでしょうね。

出演者はかなり豪華。

まず主演の石浜朗は、この前年に木下恵介監督の「少年期」でデビューした美少年(ちなみに笠智衆演ずる大学教授!の息子役で主演)。その後も、小林監督の「切腹」では竹光で切腹する痛そうな役も演じています。

美少女は野添ひとみ。その後、大映に移り活躍したあと川口探検隊長の奥さんになりますけど、この映画はまだ松竹歌劇団在籍中の出演です。

お父さんは俳優座の重鎮、千田是也。おばあちゃんもこれまた俳優座の東山千栄子。お姉さんは黒澤監督の「野良犬」でデビューした淡路恵子。野添ひとみのお姉さん役は同じく黒澤監督の「七人の侍」で勝四郎と恋に落ちる志乃を演じた津島恵子。そして津島恵子の恋人役は松竹移籍後第一作目の三橋達也です。

そして、何と言ってもお母さん役の田中絹代。実は、小林監督の従姉で、クレジットはトップ。賛助出演と書いてあります。何だよ、賛助出演って・・・

まあ、お坊ちゃんが主人公の映画ですが、ある意味では監督自身が、一番のお坊ちゃんじゃないのか、と深刻な疑問を抱きつつ見ました。もちろん、つまらなくはないですよ、念のため。
さすがに松竹大船だけあって、ちょっとウルっと来ますし。


(眼がキラキラ、石浜朗)


(野添ひとみ→7年たつと

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