いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】暖春

2009-05-11 | 邦画 た行
【「暖春」中村登 1965】を観ました



おはなし
故郷の京都を嫌って東京に飛び出した千鶴(岩下志麻)でしたが……。

えーと、正直に言いますと、同じお志麻さん主演の「暖流」と勘違いしてました。映画が始まってからも、ん?こんな話だったっけと、しばらく気づかないありさま。バカです。
こちらは、里美とんと小津安二郎が原作のラジオドラマ「青春放課後」を映画化したものですから、念のため。


「小笹」という小料理屋があります。板前でしょうか、男(長門裕之)が開店準備の真っ最中。そこに大学教授の山口(山形勲)が、「まだ早かったかね」と入ってきました。いえいえ、どうぞ。いそいそ突き出しを準備する長門裕之に、山形勲は言います。「ちづちゃん、いや、ここの娘さんいないの」。おや、山形勲は、この店の関係者なんでしょうか。と、この店の女主人・佐々木せい(森光子)が出てきて、「まあ、山口先生」と驚きの声をあげていますよ。

奥座敷で、あらためて山形勲をもてなす森光子。「今のちづちゃんのお婿さん候補」と聞く山形勲に、森光子はちょっと困ったように答えます。「いいえ、"梅垣のぼん"いうてな、西陣の織元の若旦さんどすのや。うちらとは身分が違います」。「で、ちづちゃんは、どう思ってるの」「それがなあ、困ってますのや」。

(勝手な)お手伝いを終えて、オープンカーを走らせている長門裕之。おっと、あそこにいるのは。はい、千鶴(岩下志麻)が歩いていました。「乗らへんか。ひとまわり、ドライブしよ」と誘う長門裕之に、お志麻さんは「今日はあかん」と冷淡。「断っときますけどな、うちやお母ちゃんのご機嫌、いくら取ったってムダや。やめとき」。しかし、長門裕之はめげません。「そう言われるとな、僕は猛然と闘志がわくねん」。

お志麻さんは、大好きな「山口のおじさま」が来ていたので大喜び。というのも、早速、相談したいことがあるのです。お母さんに内緒で、「うちなあ、家出しようと思てますねん」と告白するお志麻さん。「うち、息がつまりそうになることありますねん。お母ちゃんと一緒にいると」。まあ、実際のところは、森光子が長門裕之と結婚しろ、結婚しろとウルサイのが、一番の原因みたいですけど。ここで、山形勲は唐突に説明くさいことを言い出しましたよ。「キミのオヤジと緒方とぼくは、不良京大生3人組でね。毎晩、祇園町で遊んだもんだよ」。お志麻さんも言います。「今でも、酔うとお母ちゃん、その話ばっかり」。ふむふむ、なるほど。森光子はかつて祇園の芸妓で、お志麻さんの無くなったお父さんや、山形勲たちとも知り合いだったようです。ってことは、「おじさま」と言っても、山形勲はあくまで、亡き父の親友ってことなんですね。よく、分かりました。

ま、それはともあれ、「うち、自由が欲しいわあ。思いっきり羽を伸ばしてみたいわ、誰にも干渉されんと。なあ、おじさま、今夜、東京に連れてって欲しいわ」とおねだりモードのお志麻さんに、山形勲も結局は断りきれませんでした。森光子は、心臓が苦しいふりをして、「お母ちゃん、一生のお願いや。梅垣のぼんと一緒になって」とあわれっぽい声を出したりしていますが、どうせ仮病に決まっています。早速、東京へゴーゴー。

って、その前に箱根に行くことに。山形勲が親友の緒方(有島一郎)とゴルフの約束をしていたからです。有島一郎は自動車会社の専務なので、秘書を連れてきていたりして、その秘書がまた、ちょっとカッコイイのです。秘書の長谷川(川崎敬三)にゴルフを教わったりして、ルンルン気分のお志麻さんでした。ちょっと、ビビっときたかも。

その夜、山形勲、有島一郎と食事をするお志麻さん。しかし、そこで山形勲は気になることを言い出しました。「君のお母さんがおせいさんであることは間違いないがね、なあ、おい」。有島一郎も答えて言います。「それはもう、お母さんは間違いなくおせいさんだよなあ」。えっと、なにソレ。じゃあ、お父さんは誰なのよ。とりあえず「うちのお父ちゃん、山口のおじさまやろうが、緒方のおじさまやろうが、そんなこと関係あらしません。うち、もう生まれてきてしもうたんやもん」と気丈に振舞うお志麻さんですが、廊下に出てそっとお星様を見上げちゃったりするのです。

さて、東京にある山形勲の家をとりあえずの根城にしたお志麻さん。おばさま(三宅邦子)も親切にしてくれます。もっとも、山形勲の息子で高校生の好夫(太田博之)が、自分を「オバサン」扱いするのは、気に食いませんが。まだ24歳なのにぃ。

と、今度は有島一郎から電話です。「うちのおばさんがね。、君にこっちにもぜひ来て欲しいって言うんだよ」。呼ばれるままに、銀座のクラブに出かけていくお志麻さん。と、そこには、あの川崎敬三もいるじゃありませんか。ラッキー。有島一郎は仕事で、これから出張だと、二人を残してソソクサと出かけていきました。これって、チャンスじゃない。

話を聞けば、川崎敬三も同じ京都の出身。これって運命?すっかりメートル上がりまくりのお志麻さんです。「どっか、素晴らしいところ連れてって欲しいわぁ」。はい、ナイトクラブへゴー。「ええムードや。うち、しびれてきたわ」とトロンとした目を川崎敬三に向けるお志麻さん。「気に入りましたか」「うん、気に入った。ここ好きや。東京だーい好き」。支払いを気にする川崎敬三を完全無視して、「オンザロック、ツー。スカッチ」とか高いお酒をバカ飲みするお志麻さん。ついでに、クラブ歌手(岸洋子)が歌っている真横で、川崎敬三とダンスしたりして、ご機嫌です。「ああ、感じが出てきたわぁ。お母ちゃんがなんや。梅垣のぼんなんか、クソ食らえや」。

もうグデングデンのお志麻さん。「もう帰りましょうよ」とウンザリ顔の川崎敬三に、「シェーッ」とかポーズまで決めちゃってます。あ、「おそ松くん」のイヤミの「シェーッ」ですからね、念のため。

そんなこんなで、暴れまわったお志麻さんは、なかば引きずられるように、有島一郎の家にご帰館。そこには、怖い顔をした緒方のおばさま(乙羽信子)が仁王立ちです。「なによ、あんたも頼まれがいのない人ねえ。夜中の1時まで、若い娘を足腰立たないほど飲ませてどうすんのよ」と怒られる川崎敬三。「はあ、なんとも申し訳ございません」と平身低頭の川崎敬三をよそに、酔っ払いお志麻さんは、「お冷や一杯欲しいわぁ」と乙羽信子をあごで使うのです。

翌日のお昼。山口のおばさまこと三宅邦子が、緒方のおばさまな乙羽信子のところを訪ねてきています。もちろん話題はお志麻さんのこと。「まあ、そうなのぉ」「それで、お冷や持ってったの。そうしたら、ゴクゴク飲んで、おばさんすんまへん、もう一杯おかわりや。そのまた酔いっぷりが板についてんのよ。うちの人にそっくり」。ガハハと笑っている二人のところに、シオシオなお志麻さんが降りてきましたよ。「おばさま、お早うございます」。すかさず「あんまり早くもないわよ」とツッコミをいれる三宅邦子。乙羽信子も「お昼もう過ぎたのよ」とニヤニヤです。「夕べはえらいすんまへん。うち、よう覚えてしませんねん」と恐縮するお志麻さんに、「じゃ、おさらいしてあげましょうか」と泥酔っぷりをマネしはじめる乙羽信子。さすがのお志麻さんも、「今日は友達のとこ泊まるかも、わからしません」とソソクサ逃げ出すのでした。

ということで、友達のうちにやってきたお志麻さん。おっとりした若奥さんが三枝子(桑野みゆき)で、イケイケな方が節子(倍賞千恵子)です。ひとしきり機関銃のようにしゃべり倒したあと、男とデートがあるからと、帰ってしまう倍賞千恵子。お志麻さんはビックリして桑野みゆきに言います。「分からんもんやなあ。一番、おとなしい子やったのに」。「あれはアカン。不良BGや。会社サボって、男の子とデートばっかりしてはる」。ちなみに、BGはビジネスガールのことで、今でいうOLのことですから、念のため。

さあ、夕方になって桑野みゆきの旦那さん(早川保)が帰ってきましたよ。さすが新婚。なんか物陰でイチャイチャしてます。そのうえ、幸せそうに「びゅーっと飛んでく鉄人、28号」とか鼻歌まじりで歌いながら、お料理を作り始める桑野みゆきを見ていたら、お志麻さんはなんだか居たたまれない気分になってきました。「うち、もう帰る。急な用、思い出した」。まあ、気持ちは分かります。ちなみに、ここで桑野みゆきが歌う「鉄人28号」が、とても上手。キレイな声で、なんかスゴク上品な歌い方でした。

友達の家を出ちゃったものの、乙羽信子は怖いし、どうしよう。そうだ!川崎敬三を呼び出そう。早速、川崎敬三の自宅に電話するお志麻さん。「はい、長谷川です」。ゲゲッ、女が出たよ。どうやら、川崎敬三は同棲している女の人がいたようです。お志麻さんのあずかり知らぬことですが、川崎敬三は「イヤんなっちゃうなあ、こんな時間に」と同棲相手にブツクサ言っているようです。

お志麻さんが銀座のクラブで待っていると、川崎敬三がやってきました。「何です、用って」「長谷川さん、知らはらしません、緒方のおじさまが時々行って泊まる赤坂の宿屋」「どうするんです。泊まるんですか」「うん、おばさま怖いから」。そんなことで、家から呼び出される川崎敬三もかわいそうですが、なにしろ専務のお知り合いのお嬢さんですからね。秘書としては、嫌な顔できません。さらに、「長谷川さん、結婚してはりますのん」とさりげなく聞くお志麻さん。川崎敬三としては、特に隠すこともないので、正直に答えます。「ま、そんなとこかな。とにかく、もう僕の青春はおしまいですわ」。ガガーン。やっぱりそうなんだ。「うちもそろそろおしまいや」と、イキナリ寂しい気分のお志麻さん。「親しい友達と集まったかて、みんな気持ちは離れ離れ。うちは一人ぼっちや。友達がええこと言うてました。もうすっかり授業が済んだ後の、みんな帰ってしもうたガラーンとした運動場。青春放課後やて」。

まあ、ヘコんでいても仕方ないので、有島一郎がたまに使っているという赤坂の宿屋に連れていってもらうお志麻さん。しかし、そこには出張に行っているはずの有島一郎がいたのです。それも、なにやら女将(三ツ矢歌子)とワケアリ風で。「おじさま、不潔や。おばさまに言うたろ」とお志麻さんが軽く脅かしてみると、有島一郎はあわてて、よしウチに帰ろうと言い出しました。「イヤやなあ。おじさまのとこ、敷居高いわ」「そりゃ、オレだって高いよ」。

案の定、家に帰ると乙羽信子が怖い顔で、チクチクと嫌味を言っていますよ。そそくさと、台所に引っ込んだふたり。有島一郎はチキンラーメンを黙々と作るのです。

翌日、しんみりと話をするお志麻さんと有島一郎。「どうだい、東京じゃ、いいオトコ見つからなかったかい」「長谷川どうだい。アレはいいよ」と有島一郎が言い出しました。「好きや、うち大好きや。そやけど……」「そやけど、なんだい」「うちはいつもタイミングがずれてますわ。あの人にはもう奥さんになる人がちゃんといてはりますの」。お志麻さんは嘆息します。「東京に出てくるのが遅すぎたわ。難しいもんどすな、タイミングて」。

山形勲の家に戻るお志麻さん。すると、そこの息子が、よりにもよって「ひとりぼっちの母」って曲を弾き語りしてますよ。さらに、そこに電話が。なんと、それは長門裕之からの電話で、森光子が倒れたというのです。「あんたまでお母ちゃんとグルになって。ひとを脅かしたかて、分かってるえ。うちまだ、帰らへん」と電話を切ったお志麻さんですが、そこに「ひとりぼっちの母」のメロディが高まってきちゃったりして。

パーン。開業したばかりの新幹線が飛んでくように走ります。ズドドドと家に帰るお志麻さん。息せき切って「すんまへん。お母ちゃんは」と長門裕之に聞くと、「もう治った」という返事。「やっぱり、仮病や」「ちゃうちゃう、今度はホンモノや」。どうやら、本当に倒れて、今は奥の部屋で寝ているそうです。そうなんだ、疑っちゃった。でも、この人、本当はいいヒトかも。どうして、あんなに嫌ってたのかな。「旅行、どうやった」と長門裕之が聞いてきます。「一度、浮気して帰ったら落ち着いたわ」とお志麻さんが言うと、「浮気。相手誰や」と長門裕之は血相を変えてますよ。ウフフ。「相手はなあ、東京や」「東京?」「つまらん相手や。ええこと一つもなかった。やっぱり京都や。うちは京都の子ぉや」。「あんまり脅かさんといてぇな」とホッとした表情の長門裕之を、お志麻さんは潤んだ目で見つめています。

森光子が目覚めたようです。ごめんねお母ちゃん、心配かけて。堪忍してね。しかし、森光子も一人になって、いろいろ考えた様子。「お母ちゃんな、お前が東京に行ってる留守に、よーう考えたんえ。やっぱり、お母ちゃん間違ごうてた。ちづちゃんが東京で好きなひとでも見つけたら、それでええやないか。ちづちゃんを幸せにしてくれるひとやったら、誰でもええって、そない思うようになったんえ」。お志麻さんは言います。「お母ちゃん、うちな、梅垣のぼんに貰うてもらうわ。よう考えたら、うち、最初からその気持ちがどこかにあったんかもしれんな。そやけど、お母ちゃんがあんまりしつこう言うさかい、駄々こねてたんやな」。なんとなくメデタシメデタシですね。でも、ひとつだけハッキリさせておかなくちゃ。「うち、誰の子え」。……。……。「それがな、ホンマのことはお母ちゃんにもよう分からへんねん」。なんですとー。要は、3人同時に付き合ってたお母さん。時期的にもビミョーすぎて、誰の子か本気で分からないみたいです。ただ、子供ができたと言った時、山形勲と有島一郎は逃げ腰になり、喜んでくれたのは死んだお父ちゃんだけだったそうです。「その時から、お腹の子は、ちづちゃんはな。絶対お父ちゃんの子やって決めたんえ」。思わず泣き笑いする母娘です。しかし、死んだお父ちゃんがコレを聞いたら、別の意味で泣き笑いかもしれませんね。っていうか、勝手に決めるな。

ぴー、ひょー、ぴー。越天楽が流れているここは、平安神宮。今日は、お志麻さんと長門裕之の結婚式の日です。気持ちのいい風に吹かれながら、「いい子だよ。ホントにいい子だ」と有島一郎が言えば、山形勲も「ああ、お前の子にしちゃでき過ぎだよ」と答えています。「ん?オレはお前の子にしちゃでき過ぎだと思ってたんだ」「じゃあ、やっぱり佐々木の子か」「ああ、それがまあ一番無難だな」。

白無垢に身を包んだお志麻さんが「お母ちゃん、長いことお世話になりました」というと、森光子は号泣しています。お志麻さんは、二人のおばさまたちに手を引かれ、社殿に向かっていくのです。


なんていうか、ヌルイ話です。いまいち盛り上がりポイントも不明だし。原題の「青春放課後」っていうネーミングからして、ダメな感じですよね。

しかし、これをアイドル映画的に観ると、話はまた別。クレジット順が、お志麻さんが筆頭なのは当然として、二番目桑野みゆき、三番目倍賞千恵子になってることからも分かるように、さすが女優王国な松竹らしいあでやかさです。特に鉄人28号を歌う桑野みゆきのカワイイこと。

もちろん、お志麻さんのかわいさもメガトン級。特に酔っ払ってクダをまいているところのプリティさといったらもう。とても極妻と同じヒトとは思えません。のちのお志麻さんが、猫科の猛獣だとしたら(って、相当に失礼ですけど)、この映画のお志麻さんは、ちょっとたれ目なとこも含めて、コロコロした子犬みたいです。あと、貴重な「シェーッ」も観られますしね。

「シェーッ」に限らず、開業したばかりの新幹線、鉄人28号。そしてチキンラーメンなど、昭和らしさも堪能できて、気軽に観られる松竹らしい作品でした。







いくらおにぎりブログのインデックスはここ
いくらおにぎり日記はここ
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 【映画】疑惑 | トップ | 【映画】ダンプ渡り鳥 »
最近の画像もっと見る

邦画 た行」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事