8月12日。小町横丁で続いている「左利きのイメージ」を巡る議論は、増える書き込みを読むほどにおもしろくなって来た。「矯正」とか「直す」とか言う言葉を使っていても、どうみたって、たとえば八重歯は抜いた方がいいのかというような「是非論」じゃないのは一目瞭然。もっとも、左利きに限ったことではなくて、小町横丁には、箸使いを始め、他人のあらゆる生活習慣を不快に思う人が多い。小町横丁特有の文化なのかもしれないけど、(見ている自分が疲れるから)やめて欲しい、やめさせたい。どうしたらやめさせられるかと相談されても、困ってしまう。他人は変えられるもんじゃないし、他人を自分に合うように無理に変えようとすると、最悪の場合は精神的暴力に発展してキケンだし。
左利き(左側利き)であることでその人の健康に害があるわけじゃないので、親切ぶって「体に悪いから治した方がいい」とは言えないし、されど(自分の常識と)違っているところが目に付いて、もう気になって、気になって・・・。それにしても、日本人の「見た目」の完璧性や美醜へのこだわりの強さは並大抵のものではないと、つくづく思うな。他人の見た目にこだわるのは、建前と本音の文化だからなのか。それとも、自分の中に自分を持たない人が、他人が「理想の自分像」を示してくれるはずと期待しているからなのか。
でも、「な~るほどっ」と思ったのは、「美しい日本文化」を守るために右手を使うべきという意見。早い話が、「右利きでなければ正しい日本人に非ず」ということで、さらに裏返せば「外国人であれば左利きでもかまわないよ」ということかな。そうか、だから歴代のアメリカ大統領に左利きが多いことも、イギリス王室に左利きが多いことも、「正しい日本人」という観点からは「関係な~い」ということなんだろうな。
ワタシは成田に降り立つたびに「外国旅券」の列に並んで、指紋と写真を取られて、カナダのパスポートに90日の「上陸許可証」を貼られて、初めて日本国に入国させていただける身分で、つまり、人種こそ日本人であっても、日本国の法律では「外国人」(昔はカウンターの上に「Alien(エイリアン)」という札がぶら下がっていたなあ・・・)。日本国滞在中は常にパスポートを携帯していないと、最悪の場合に入管法違反で逮捕されてしまう。(この点は、ワタシはカナダ人だという自覚があるので文句はないけど。)
要するに、日本国法の下ではワタシは「外国人」なので、日本国に行って堂々と左利きをやってもいいということだろうな。やっと納得できた感じだな。つまり、たとえ見苦しかろうが、日本の人を不快にさせようが、「外国人じゃしゃあないや」と見逃してもらえるってことだよね。ま、それはそれである意味「人種差別」的な感じがしないでもないけど、それについては有道出人氏に任せることにするとして、ワタシは、外国人に日本の固有文化への服従を強要しない日本は捨てたもんじゃないと思うなあ。