arudenteな米

食と映画感想とその他もろもろ個人の趣味と主張のだらだら日記

宇宙戦争(2005)

2005年07月04日 | 映画
確かに「宇宙戦争(1953)」のリメイクだが

宇宙戦争(WAR OF THE WORLDS)
http://www.uchu-sensou.jp/top.html

原作の「宇宙戦争」は少年期に読んだ。 青年期にはジョージ・パル版もTVであるが見た。

スピルバーグの「宇宙戦争」は原作の再映画化でなくてパル版のリメイクだった。
多分、一番撮りたかったのは侵略パニックシーンとトライポッド(三本足)なんだろうと感じた。

原作はもう100年くらい前の映画だしパル版映画ももう50年前だ。
侵略SFの古典をどう現代向きにするか?を観たかったのだが肩透かしを食らってしまったような気がする。

微妙なネタバレありの感想









両極端にわけるとパル版「宇宙戦争」を笑えるようにすると「マーズアタック」アメリカ万歳にすると「ID4」 なんですがスピルバーグは真っ向リメイクしようとしたみたいだ。
それだけで売りが弱かったのか「家族愛」と「追加説明」を入れたのだがそれが浮いていた。

映画のリメイクだから原作と比較してはいけないのだが原作は確か「火星から星が滅亡したので地球に責めてくる異星人侵略」で圧倒的な科学力があったが調査している時間がなかったらしいのであのような結末になったはず。
パル版は特に説明がなかったと記憶している。

ラストは原作前作どおりなのだが「100万年前~」はいらない説明だったと思う。
侵略前に調査しない文明なんて不自然。
力に任せて無計画に侵略してこないと冒頭の棘が刺さった時の「自然に押し出されるよ」が生きてこない。

オチに不満がある人も多いとは思うが100年前のSF小説のオチなのだが「無茶な侵略は身を滅ぼす」って風刺が入っていたのを考えると「小説当時」は画期的だったと思う。
それにこのオチを変えたら「宇宙戦争」じゃないような気もする。
だからこのオチに持っていくまでの展開をもっと凝らなきゃいけないんじゃないかと感じた。
自分は持っていき方が不満。

「家族愛」も正直それだけだと規模が小さい気がしたしオチに殆ど絡んでない。
正直逃げ回っているだけだしふくらみが無い。
人間ドラマ盛りこむなら「タワーリングインフェルノ」くらい欲張ってもよかったんじゃないかなぁ?
軍部、マスコミ、政治… 家族以外の色々な「無力感」や「絶望感」をもっと盛りこむことが出来たと思うのですが。

トム・クルーズとダコタ・ファニングの親娘愛も「ポルターガイスト」で既に似たような事をやってるし。

これだと年代を現代にしないで50年前のアメリカを再現してリメイクしたほうが面白かったんじゃないんだろうか?

「元はいいんだから少し絵を派手に」ってリメイクは映画でもゲームでも自分は好きでない
やはり色々微調整するべきだろう。

例えが変だが凄い料理人が昔の美味しかったラーメン店のレシピ通りに作って上に乗る具だけ現代風にしたと仮定する。
しかし時代と共に味の嗜好が変化している。
ただ昔の味に現代の現代味の具をのせても汁と麺がやっぱり物足りないと思う。
汁と麺も具にあうように調整するか具を汁と麺にあうものを今流行のを選ぶのが普通じゃないかな?
勿論いくら美味しいからといって醤油味が味噌味やとんこつ味になったら違うし。

自分が今回のスピルバーグ版「宇宙戦争」に求めていたのは復刻してなおかつ現代の人にも美味しく食べてもらえるものだったと思う。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
驚き (ningyo)
2005-07-04 09:18:38
スピルバーグ監督の、特にこういう映画には

新しい「驚き」をつい期待してしまうんですが

なんだか最近はずされた感じがする作品が続いてます。

えらそうに言っちゃいますが…
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期待感 (arudenteな米)
2005-07-05 11:24:24
・ ningyo 様



期待するのは自分もなんですが…

偉そうな事自分も言うと「人間ドラマ」の「愛」が不得手な監督だと思ってます。

「哀」や「喜」「友情」はそこそこ以上なんですが。
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リメイクってムズカシイ (0120 Blog)
2005-07-16 07:28:02
おはようございます。

コメント&TB有り難うございました。

>このオチに持っていくまでの展開をもっと・・・

1953年版の方がその辺はうまい気がします。人類にはどうしようもない位追いつめられて、神に祈る事しか出来ないような絶望感も出ていますし、あのオチを奇跡が起きたかの様に扱ってくれればなぁ~と感じました。

>50年前のアメリカを再現してリメイクしたほうが

そうですね。その方がもっと説得力もあったと思います。現代が舞台ではチョッと無理がありすぎる気も・・・。

でも人知を遥かに超えたヤツらですから、現代でも気付かれずに地底の奥底にいるかも知れませんよ(笑)。

>期待感

ターミナルの時もそうでしたが、同じような印象が残りました・・・。

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絶望感 (arudenteな米)
2005-07-16 23:03:18
・ 0120 Blog 様



神に祈る事しか出来ないような絶望感が今作はやはり弱い気がしますね



ゴジラ好きなスピルバーグですから聖歌隊に歌わせるくらいするかと思ったのですが(苦笑)



ターミナルはハートフルコメディだと自分は今は感じてます。



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何かに祈りたくなる気分 (chishi)
2005-08-06 14:29:22
私は味わっちゃいました。

だって『だからどーしろっていうの?』みたいな怖さいっぱいだったんですもん。

というか、それだけで心が一杯になっちゃったんで後はまったく考えられませんでしたです(汗)
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祈り (arudenteな米)
2005-08-07 19:01:38
・ chishi 様



世界的規模の話なのにすごくドラマが小さくまとまっちゃった気がするんですよね自分。



変な言い方ですが視点がTVニュースみたいで。

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Unknown (ザンディグ君)
2005-12-14 03:03:37
アレンジするべき部分としなくてもいい部分を取り違えたので変な映画になってしまったという気がします。原作はたしか、個人の視点で描かれていたので、それに倣ってトム・クルーズ親子の視点で展開するという手法は一見正しいように思えるが今の世の中それでは通用しない。磁気嵐という新設定まで作って、原作当時の雰囲気を再現しようという努力は認めても、それならそれこそ1950年代か1890年代を舞台にするか、もしくは宇宙人に原作には存在しない強力な破壊兵器を持たせるべきだったと思います。なんというか、発想の方向性が間違っている。

予想したほど悪くはなかったですけど…
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Unknown (arudenteな米)
2005-12-14 13:38:05
・ ザンディグ君 様



私もオールドアメリカ再現で作ったほうが面白かったと思います。



まぁトム・クルーズが主演なのでその部分で無理だったかもしれませんが。彼は顔つき・体格共に現代的すぎますから。



スピルバーグくらいになると本質以外に悪いところ少なくなるのでストーリーの組み立てで語るしかなくなりますね(苦笑)







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