lainのなりゆき雑記帳

映画を楽しむための映画の感想。アニメの感想。日々雑感。愚痴も有り。小説も有り。

ラスト・ターゲット

2012年04月26日 01時57分49秒 | 映画
ジャック(ジョージ・クルーニー)は闇の銃器職人だ。スエーデンの雪景色の中、狙撃者に銃撃されるが、難なく相手を返り討ちに合わせてしまう。危険を察知してジャックはイタリアへと旅立つが、引退を決意し、最後の狙撃銃の製造を請け負う事にする。

特にこれと言って派手なシーンがある訳ではなく、淡々と進む物語。なのに、なにか磁石に吸い寄せられるように画面に釘付けになってしまいました。イタリアの田舎町の風景の美しいことと言ったら…。郷愁を誘うと言ったらありふれていますが、町並みの美しさだけで見とれてしまう映画って久しぶりな気がします。なんだか実際に旅行にいってブラブラと現地を歩いているような、そんな錯覚に陥ってしまいます。こんな町並みがまだあるんですね。なんだかタイムスリップした気分です。

ジャックは銃器職人、暗殺などに使用される銃器をオーダーメイドで作っています。そんな素性なのでなにかしら訳があって命を狙われている様子。とっても孤独で神経を張りつめて生きている感じが良く出ています。ジョージ・クルーニー、いいですね。特に今作では表情がすばらしいです。作品の流れ同様淡々とした演技なんですが、内面にいろいろ抱えている複雑さが表情からひしひしと伝わってきました。

派手なアクションとか期待してみるとちょっとがっかりなのですが、ジャックの生き様をなぞるようにゆったり観る事ができれば、なかなかの出来映えだと思います。とにかく丁寧に撮られていて、神父様(パオロ・ボナチェッリ)とジャックのやり取りとか、地味ですがなかなかの見所ではないかと。あとジャックと恋仲になる娼婦のクララ役ヴィオランテ・プラシドがなかなかチャーミングですねぇ。それとは正反対に冷徹な狙撃者役、こちらも女性ですがテクラ・ルーテンはあくまでもクールで透明感のある美人さんです。無名?な役者さんが多いですが、それぞれ個性的で、静かな物語の展開にとてもマッチしています。

と言う訳で雰囲気重視でどっぷり浸って観れる映画です。言葉では説明しづらいですが、ぜひぜひこの感覚味わっていただきたいです。いかがですか?

映画『ラスト・ターゲット』予告編

チェンジリング

2012年04月19日 23時43分17秒 | 映画
1928年ロサンゼルスで息子のウォルターと二人で暮らすクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)。ある日仕事から帰ると、ウォルターが行方不明に。数ヶ月後警察からウォルターが見つかったと連絡が入るが、警察がつれてきたのは息子とは全く別人の少年だった。

良い映画です。重いですが、後半は見入ってしまいました。牧師の「あなたのお子さんもきっとそこで待っているはずです」と言う母親に掛けた言葉に胸が痛くなりました。正直泣ける映画だとは思ってもみなかったので、やられました。泣けます。泣きました。音楽も最小限の音だけで、ここでBGM来てほしい~!と言うところにドンピシャできますよ。もうこれは背筋ゾクゾクものです。とにかく強くお勧めしたい映画です。前半の失踪劇だけでは終わりません。じっくりと物語を追いかけてみてください。絶対に心に残る映画である事請け合いです。

アンジェリーナ・ジョリーの最後まで息子の無事を信じてやまないすがたに心を打たれます。強い女性を好演しています。トゥームレイダーとかに出演している彼女からは想像もつかないほど重圧な演技にちょっとびっくりです。最後のロールを見るまで気がつかなかったし…。あと正義感から独自の捜査をして驚くべき真相を解き明かすきっかけを作るのがレスター・ヤバラ刑事役、マイケル・ケリーです。独特の風貌で刑事役を好演。中盤この人の存在に救われました。物語が、と言うより見ている私が、ですw

実話をもとにしていると言うだけあって全般に重いのですが、それでも見所満載で時間を忘れてのめり込んで見入ってしまうこと間違い無しの、なかなか無い良作ですよ。

しかし当時のロスの警察ってこんなに酷かったんですね。無理矢理別人の少年を息子と言い張って取り合わず、抗議する母親を精神異常だと言って精神病院に入れしまうんですから、とんでもない話です。そんななんで、前半はかなりイライラさせられます。でもご心配なく、前半の我慢の鬱憤は後半では晴れますのでご安心を^^;

果たして息子のウォルターは見つかるのか。それとも思わぬ展開が待っているのか。どうぞテレビの前にじっくり腰を据えてご覧ください。アンジェリーナのすばらしい表情を見逃さないでください。

チェンジリング 日本版予告編 Changeling JTrailer

スカイライン -征服-

2012年04月10日 02時32分42秒 | 映画
友人の誕生日、LAを訪れていたジャロッドは、深夜窓から差し込む強烈な光の中で目を覚ます。そしてその光に吸い寄せられるように、友人の一人がマンションのベランダから消えるのだった。

エイリアン侵略モノですね。まず、映像は凄くきれいです! CGのエイリアン「これでもか」と言うくらい作り込まれています。なんだかこの映像を見ているだけで、とりあえず鑑賞の目的の80%は達成された感じw でも良くできてるなぁ。見てるだけで快感を覚える映像と言うか、ここまで派手に作られているとは思っていなかったので嬉しい誤算でした。

さて、ストーリーですが、意外と頑張ってる感じ。この手の映画の王道を行き過ぎていて少々残念な部分もあるのですが、それでも後半頑張ってます。非力な人類の軍隊を応援したくなってしまいますし、後半は観ていて力入ってしまいました。Amazonとかのレビューを見るともうケチョンケチョンに書かれてますが、それほど酷い作品ではないと思います。ただ、オチがアレなんで、救いが無いとか、中途半端とか…。で、鑑賞に堪えないかと言うとそうでもないです。難を言えば、もうひとひねり欲しいところかなぁ。あまりにも使い古された展開そのままなので、やはり新味がないのはちょっと辛いですかね。

まあ、でもこの手の侵略ものが好きな人にはたまらない映画ではないかと思います。出演している俳優さんも若い人ばかりで、無名の人ばかりですが、それなりに頑張ってるし。前半のもたつきも、エイリアンが登場してなんとか帳消しになってるんじゃないかと…。エイリアンの映像はたっぷり堪能できます。出し惜しみ無しです。

とにかく映像を楽しみたい人向けかもですね。私は楽しんじゃいましたが、ストーリーの斬新さとかは求めないで見れる人向きかと。

あ、それとこの映画を観ようと思っている方。↓の動画は見ない方が良いです。その方が楽しめますよ!

映画『スカイライン-征服-』予告編

ブラック・スワン

2012年04月05日 00時20分45秒 | 映画
ニューヨークのバレー団に所属するニナは、ある日新作の白鳥の湖のプリマに抜擢される。しかし純真な白鳥を演じることはできても、正反対の官能的な黒鳥を演じる事はニナにはハードルが高すぎた。次第にニナは現実とも幻覚ともつかない世界に囚われ、正気を失っていくのだった。

カメラもダンスを踊っているかのようで、ダンサーの周りをぐるぐる回ってダンスを追いかけるシーンは圧巻です。バレーってこんなに迫力があるんだぁ…と素直に驚いたり。優等生のニナが最後に見せる黒鳥の舞は見事です。多分この時点ではもう妄想と言うか幻覚と現実の区別はつかなくなっているんじゃないかと思います。なのに?だから?観客を誘惑する黒鳥の舞を見事に踊りきるニナの姿はまさに映画のハイライトにふさわしい迫力。全編手持ちカメラの不安定な画面がニナの心理を表現しているようで、観ているこっちまで情緒不安定になりそうで不思議な緊迫感に満ちています。

ニナ役、ナタリー・ポートマンの表情の変化もすばらしいです。白鳥から黒鳥への表情の変化と言ったらちょっと背筋がゾクゾクしちゃいました。前半の黒鳥になりきれず困惑するニナの表情とか、とにかくうまいとしか言いようがないです。周りを固める役者さん達も一癖も二癖もある個性的な役者さんばかりで物語を盛り上げます。個人的にはヴァンサン・カッセル(監督役)の表情から内心の読めない演技が印象的でした。ニナの観ている幻覚とも現実ともつかない世界と相まって、時にグロテスクにダークに美しく、と変幻自在に物語は進行していきます。

あんまりサスペンス?ではなくて、どちらかと言うと幻想的? でもかなりダークな方向で幻想的です。CGを効果的に使ってニナの黒鳥への変身を表現しています。こちらも「いかにも」な合成ではなく、やっぱり幻想的でダークです。
今までに無かったタイプの映画ではないでしょうか。そういう意味ですごく独創的な内容だと思います。正直最後まで飽きずに観られるか自信なかったのですが、いやいやどうして、2時間あっという間でした。

映画『ブラック・スワン』予告編

アンノウン

2012年04月04日 00時03分02秒 | 映画
学会に出席するため妻とベルリンを訪れていた植物学者のマーティン(リーアム・ニーソン)は、交通事故に遭い4日間も昏睡してしまう。目が覚めて妻のいるホテルに向かうが、出迎えた妻は自分のことなど知らないと言い、自分を名乗る夫まで現れ困惑を極める。真相を探ろうとするマーティンだが、命まで狙われだして異国の地で孤独な戦いが始まる。

リーアム・ニーソンここにあり、って感じの映画でしょうか。いぶし銀の演技です。渋いです。作品自体も目が離せず、息もつかせない展開です。カーチィス。乱闘シーン。サスペンスの王道をいく作品と言っていいと思います。もうサスペンスでアクションなシーンてんこ盛りで飽きる暇を与えてくれません。ほんと良くできてます。とにかく無駄が無いです。出だしはゆっくり、でもいったん加速がついたらもう止まらない。スピード感ありますねぇ。

リーアム・ニーソン演じるマーティン、終盤のアクションシーンではもう前半とは別人(一応植物学者って設定です)じゃ無いかってくらい格好良くなちゃって、おいしい所を全部持ってってますよ! 例によって事前情報無しで観たので序盤はなんだか仲のいい夫婦が旅行を楽しんでいるみたいな話の流れに、おやおや?って感じだったのですが、旦那(リーアム)がタクシーで事故にあったあたりから話が大きく動き出して、おお! と、なる展開に納得です。

4日間昏睡して再会した妻は、自分(旦那)の事なんて知らないと真顔で言うし、旦那を名乗る男は現れるしで、マーティンは訳が分からず困惑を極める展開に「どうなるんだろう」と言うのが掴み。この展開、その後もまったく予測がつかないです。もちろん納得のいかないマーティンは真相を探ろうとしますが、命までねらわれて、もう踏んだり蹴ったりです。そんなマーティンですが、後半のカーチェイスシーンでは驚異的なドライビングテクニックを披露したり、乱闘ではやたら動きがいいぞ?みたいな。これ以上書くとネタバレになるのでやめておきますが、オチでちゃんと謎が解けて、つじつまもちゃんと合わせています。

リーアム・ニーソンの独り舞台みたいになっちゃってますが、決して嫌みではなく見応えがあります。いい役者さんがいて、脚本を丁寧に積み上げればいい映画になる、というお手本のような映画になっていると思います。制作のダークキャッスル、ようやく目が出たなって感じで、オカルト路線よりサスペンス映画の方が向いてるんじゃないかと思ったり。とりあえずリーアム・ニーソンのファンの方もそうでない方も、映画観てスカッとしたい時にオススメの一本です。

【The Pictures】『アンノウン』予告編 Unkowen Trailer

ウィッカーマン

2012年04月03日 00時04分18秒 | 映画
警官のエドワード・メイラス(ニコラス・ケイジ)のもとに8年前失踪した婚約者のウィローから手紙が届く。故郷の島で娘が行方不明になっているので助けてほしい言うのだ。メイラスは単身ウィローの故郷サマーズアイル島に向かうが、そこで彼を待ち構えていたのは電話もない隔絶された、よそ者を良しとしない怪しげな島の人々だった。

いやぁ、やられました。最悪です。って作品がってことではなくこのオチが!です。ああ、久しぶりに救いの無いオチの映画にあたってしまいました。自分的「3大救いの無い映画大賞」に見事ノミネートですよ。後の二つは「ミスティックリバー」と「ミスト」です。

まあ、今回観たのはリメイク版なのでオチぐらい分かるのでは?と思われるかもしれませんが、なるべく事前情報無しで映画は観るようにしているし、さらに今回はジャケ借りと言うか気まぐれで借りてきたので、このオチ、きつかったです。その点では作り手の思う壷にはまっている気もしますが、内容はどうあれこれが映画を観る醍醐味でもあるので、なんだかんだ言いながら満足はしているんですけどね^^;

主人公のニコラス・ケイジはなんでもやりますね。なんでもやって、それなりにこなしてしまう器用な?役者という印象が最近つよいです。今作でもいらだちを募らせて一人空まわりする警官役を見事に好演。あと島の教祖様みたいなおばちゃんが出てきますが、なんかちょっと安っぽいw なのでちょっと油断していたら、そのオチに続いていく訳で…。怪しい事が分かりきってるだけにまんまと術中にはまっている自分がいました。あとニコラス・ケイジの恋人役ケイト・ビーハンの微妙な演技が良かったです。演技が微妙と言う事ではなくて、行動が微妙なんですよ。で、あれ?あれ?と思っているとこっちもオチにうまくつながっていくと言う。

と言う訳で大ドンデンの悲惨なオチの映画ですが、思わせぶりな内容と言い、ちょっと神秘的な島の人々や風景も手伝って不思議な雰囲気の作品に仕上がっています。なので悲惨なオチを覚悟してご覧いただければ、ニコラス・ケイジを存分に堪能できる作品と言えるかも知れません。

The Wicker Man Trailer

機械じかけの小児病棟

2012年04月02日 00時06分42秒 | 映画
イギリスのワイト島にある小児病棟に臨時の夜勤とてしてやってきたエイミーは、病院で夜な夜なおこる不可思議な現象に遭遇する。

これは怖い。立ってるし、シルエットなんだけど、むしろそれが怖いです。久しぶりに夜中一人でトイレに行くのが怖くなる映画にあたりましたよ。

序盤から本題にキッチリ入ってくれるので、この手の映画にありがちな展開のもたつきとかが無くて見やすいです。エイミーの過去の経緯なんかも、物語の進行する中でさりげなく語られたりして、構成うまいですね。そんなにひねりは無いんですが、次第に明らかになる病院の忌まわしい過去に、すんなり物語に入り込んでしまいました。

久々に怖いホラーにあたった気がします。怖いだけでなはく物語もよくできているので、ホラーファンのみならずサスペンス系の映画が好きな人にもオススメできそうな感じ。エイミーと少女マギーの話は良くできています。最後にはホロっとさせられるシーンもあったりで、単にホラーなだけで終わってしまわない所もいいですね。

ビジュアルも凄く凝っていて、閉鎖された病院の2階の映像とか、雰囲気凄く出ていてこれだけでドキドキものです。まずもう閉鎖されて使われていない階があるってだけで怖いです。そんでもってその中に謎の正体が立ってるシルエットの怖いことw いい感じです。病院自体もお城みたいな西洋建築で雰囲気ありすぎだったり。

是非、夜中に部屋の電気を暗くしてご覧になる事をオススメしますよ!怖いホラーいかがですか?

Fragiles (機械じかけの小児病棟)

運命のボタン

2012年04月01日 02時09分26秒 | 映画
ある日ノーマの家に不思議な荷物が届く。中には赤いボタンのついた装置らしきものが入っていた。その日の夕方、スチュワートと名乗る男が現れ、驚くべき提案をする。ボタンを押せば百万ドルを渡す、しかし何処かで見知らぬ誰かが死ぬと。

NASAにCIAに火星探査機にもう色々それらしい事を臭わせますが、伏線張りまくりで張りっぱなしで、全く回収なしです。なので謎をいろいろ投げかけてきますが、解き明かされるカタルシスがまったくないので、見終わってまさに( ゜д゜)ポカーン …な状態です。沢山映画みてますが、ここまで伏線回収を放棄している映画も珍しいです。因果応報で行いは結局自分にかえってくるよと言うのがこの映画のテーマみたいですが、ちょっと無理があるような気もします。

雰囲気は悪くないんですけどね。いかんせんオチがない…。何の説明もなく「負の連鎖は続いていくよ」と言うオチでは多分誰しも納得いかないと思います。なので人にはちょっと勧め辛いなぁ。

まあ、内容的には地球外の生命体が、人間が存続するに値するか、テストしようとしている、と言った感じなんでしょうが、ここまで観客を置いてきぼりの映画も珍しいです。

なんか散々な映画みたいに書いてしまいましたが、不思議な後味の残る珍味映画と言うか、ひどいオチなんですが、なんか引かれる部分もちょっぴりありました。う~ん。ちょっと言葉では説明しづらいです。雰囲気先行なのかなぁ。でもやっぱり酷いオチですね。それだけは言えます。この作品の監督さんとは相性よくないのかな…。「ドニー・ダーコ」とか撮ってる監督さんです。
気になる方ははずれクジを引く覚悟でご覧くださいませ。

映画『運命のボタン』予告編