la mia dolce vita

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チーズ講座(チーズの生成②)

2010-07-15 17:17:49 | formaggio (ちーず)

前回に引き続いてチーズの生成についてのクラス。今回は特に「熟成」に重点をおいて、生産者からの話を聞く。

まず熟成庫については、いろいろな条件を満たす最良の場所を確保するのは難しいらしいけれど、ヨーロッパなどでは廃坑や昔の基地(?)なども熟成庫に使ったりしているようで、こういう場所で熟成させると、水・鉱物・高いエネルギーなどの影響か、出来上がったチーズは美味しいらしい。

熟成の方法については、大規模な工場製とフェルミエ(農家製)ではかなりやり方が違っているようで、大手のチーズメーカーなどになると、大きなハードチーズもすべて機械で反転&加塩を行ったり、中身が短期間で均一に熟成するようにスタビライズ製法(安定製法)を用いたりといろいろな技術を「駆使」しているようで、やはり人が手間をかけてつくった農家製とは味わいが異なるのも当然なのかもしれない。

裏話的に面白かったのは、フランスの有名な青カビチーズであるロックフォールチーズは、ロックフォールにある特定の洞窟で熟成されたものだけを指すと習ってきたけれど、これは熟成だけの話で、じつは別の場所で作られたチーズでも、ここで熟成すればロックフォールと名乗れるという。まぁ確かに世界中のロックフォールをあの場所で製造するのは大変そうだけれど、何だかちょっと夢をこわされたような気分。

またハードタイプのチーズなどで硬いリンド(外皮)を作るために、熟成中にチーズの表面を塩水をつけたブラシや布で磨く過程があるのだけれど、その作業を繰り返し行うと、塩水にリネンス菌(ウォッシュチーズに発生する)が繁殖し、そのリネンス菌の作用もあって、磨くチーズにコクとうまみが生まれる。つまり繰り返し使うことで、塩水が「秘伝のうなぎのタレ」のようなうまみを持ち、そのチーズの独特の味わいを生み出すとのことで、なるほど「うなぎのタレ」に通じるものがあるのか~、と感心。

今回、テイスティングはいくつかの熟成違いも含めた9種類。

右上から時計回りに、まだ若めのシャヴィニョル(シェーブル)と、熟成の進んだセックのシャヴィニョル。

若い方は外皮と中身の境目の部分がとろとろで流れ出すほどクリーミーな状態。中は白くて少しぽそぽそした組織。これに穏やかな塩味の外皮と三つの部分を一緒にいただくと、ミルクと塩分とがうまくまじり合って、さわやかで口あたりの良い味わい。

セックの方は、外皮もかなり濃い茶色になっていて水分も抜けた状態。中身の白い部分もぎっちりと詰まった感じで組織も層が重なり合ったような状態。こちらはコクがあり、しっかりした塩味も楽しめる大人の味わい。

次の熟成比べはスティルトン。

若い方は青カビも中身もフレッシュな色合いと弾力のある組織で、クリーミーさとやわらかい青カビの風味が楽しめる。

それに比べて熟成の進んだものは、外皮に少し苦い香りがついてきて中身も黄色が濃く出ている。風味はミルクと塩分がしっかり溶け合って旨みが生まれていて、とろけるような口どけが魅力。

左下の2種類は、白い方がロックフォールの羊のミルクで造ったフレッシュタイプのチーズ、デリス・デ・カバス。羊乳のチーズとしてはかなりフレッシュでやわらかい、フロマージュ・ブランのような口あたりと味わいで、そのまま朝食やおやつなどにいただけそう。

青カビの入っているものがブレス・ブルー。表面はしっとりした白カビの外皮と、やわらかい黄色味を帯びた中身で、口に入れるとまったりとして、熟成感と青カビの風味がバランスよく感じられる。フルコース料理のあとにいただいてみたいチーズ。

そして左上のハードタイプが十勝・共働学舎のシントコとレラ・ヘ・ミンタル。どちらもアイヌ語で、シントコは農場のある新得町の名前の由来となった言葉で、レラ・ヘ・ミンタルは神が遊ぶ場所の意味。

外皮がない方のシントコは、つるりとした詰まった黄色い色あいで、やわらかいミルクの風味が心地よい。

レラ・ヘ・ミンタルも黄色味の強い色あいのじっとりした脂肪分が浮き出た光を帯びた組織のハードチーズで、外皮に近いほうはかなり色が濃い。少しパスタ・フィラータのようなコシを感じる口あたりで、おだやかな味わいのチーズなのでサンドイッチなどにも合いそう。

合わせたワインは、白がアルザスの2007ピノ・グリ/ヴィエーユ・ヴィーニュ/ツイント・ウンプレヒトで、非常に濃い黄金色で、とろりとした口あたりの甘口白。チーズの中では、強い塩味を感じるブルーが一番合う。

赤はボルドーの2001シャトー・ベルナドット。タンニンと酸がしっかり効いた、濃いルビー色のカヴェルネ・ソーヴィニョン主体のワインで、セックのシャヴィニョルやスティルトンの熟成の進んだものなど、旨みのあるチーズとの相性が良かった。

前回と今回の2回で学んできたチーズの生成。まだまだわからないこともたくさんあるけれど、いろいろ質問もしてかなり雑学的な知識も身についたので、またこれから少しずつ紹介していきたいと思っている。

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