La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

赤潮

2022年08月10日 | ユカタン諸々

海の様子が例年と違うのはわかってたが、とうとう赤潮発生。めったにない(と祈る!)ことなので、記録しておく。

前になんか去年までと違うと思い始めて、アメリカの政府機関?のレポートを見つけてチェックしてたんだが、このニュースのずっと前から、フロリダ沿岸で赤潮の原因となる藻類の「非常に低い」レベルの異常発生が観測されていた。観測地点の数が多少増えたり減ったりしながらも、いつもどこかで…という感じ。

他に、発生の可能性あり!タコ漁どうなる!? 的なニュース…というかコラムは、ちらほら出ていた。

 

8月3日、第一報。プログレソから東へ20キロほど行ったテルチャク村で、「朝早く漁に出る漁師から死んだ魚などがいたと報告があった」というニュースが密かに出た。

テルチャク村ってのは実は内陸にあって、ここで言ってるのは正確には「テルチャク・プエルト(テルチャク港)」村です。

 

8月4日、そのテルチャクで死んだ魚が打ち上げられているというニュースが出た。

 (c) Punto Medio

あのですね、この人たち死んだ魚を片付けてるんじゃなくて、取りに来てたんです。おそらくメリダとかからの観光客だと思うけど、さすが、魚の鮮度ってものを知らない人たち。さすが、生食しない国。砂浜が死んだ魚だらけって写真も見たんだが、もう見つけられず。

ビーチの様子がインパクト強いんで、あっという間に広がり、あちこちのメディア(これがまたピンからキリまで山のようにある)でコピー記事あるいはそれに毛の生えたようなもんがどんどん出た。

 一番ひどい写真。なんと全国紙。

数年前にどっかの海で発生したもので、ユカタンに何の関係もない。4日の時点では赤くなってはおらず、ただ魚の死骸があっただけ。煽りたいメディアは、この写真(素材?)をキャプションもつけずに使い、ユカタン人がショックを受けてSNSで騒ぎ、たまたま滞在していた人の動画も拡散された。

  (c) Mauricio Johnny

まだ生きてるけどエラい大量の魚。

 

8月5日朝、そのテルチャクから東へ5キロほどの村でも、同じ現象。夕方にはSNSに、茶色くなった波打ち際の写真も出た。

もちろん、外人グループでも大騒ぎ。「毒のある海藻(か藻類と言いたいのか知らない。英語だと同じ。どうせ区別ついてないw)が原因だから海水も有毒、絶対に魚を食べるな、呼吸器に問題を抱える人は海に近づくな」などと講釈を垂れるアメリカ人のおばさんも。そのおばさん、「専門家インタビュー」という見出しの記事を貼り付けていたので読んでみたが、何年も前の記事、どこかの一般医wが「最悪、こういうことになる」と説明している一般的な解説だった。

中には有毒な藻類を原因とする赤潮もあるが、まだ調査結果が出てないんだよ、アホ! 下手すると、せっかく海水浴シーズンで儲けたい村や市への風評被害を生むぞ。

ただ、調べるうちに、その有毒な藻類はフロリダ沿岸、つまり「メキシコ湾に」いるということが分かった。この、アメリカ人の言うメキシコ湾ってのが曲者で、彼らの沿岸だけを指すときもあるし、メキシコ湾全体を指すときもある。有害な藻類の生息域に関しては、調べても分からず。

あ、日本人には釈迦に説法だと思いますが、赤潮は普段から存在する藻類の異常繁殖で発生します。普段いないものが突然わいて出たわけではありません、念の為。

夕方、ユカタン政府から「危険。調査中。死骸を片付け始めたから食べるな」とのお知らせが出た。そりゃ、いつ死んだか分からない魚を食べたら危険なんだが、こっちが知りたいのは原因の藻ってやつが有毒な種類なのか。というのは、そうでなければ村の漁師が獲ってくる魚は問題ない。赤い海で泳ぎたいとは思わないが、50キロ離れたところで赤かろうとうちの近くがきれいでちょっと泳ぐ分にはOKなのか知りたいし。

その晩、日本語の授業が1つあって、なんと生徒がメキシコ国立自治大学の海洋微生物学の教授だったことを思い出した。授業が終わったらどこかで調査結果か何か見られないか質問してみようと思った途端に、停電💢。ネットが通じなくなった。

 

8月6日、村の漁師の友達に話を聞いたところ、「前回は10年くらい前。死んでる魚はダメ、生きてるのはOK。こっちまで広がってくるか消えるかは分からない。うちの村の沿海は、魚はまだOK、ただし西へ20キロくらい行っても、タコがいない」とのことだった。ほら見ろ、アホ外人(そのおばさんね)。他に新しい情報はなし。

 

8月7日、その生徒と連絡が取れ、前日に出た調査結果を見られるサイトを教えてもらった。先端研究センターという政府機関で、表向きはイニシャルを並べた名称を使っているため、組織概要とか見ないと先端も研究も何も、どういう組織かさえ分からない。「赤潮調査」とかで検索したって出てこないわけだ。

結果は、今回の原因になった藻は有毒な種類ではない。ああ、よかった。もちろん今回のホリデーはいい稼ぎになるわけないが、獲った海産物も全部有毒!なんてことになったら、プログレソ管内全域の漁業に大打撃である。

 

8月8日、プログレソの10キロくらい東(テルチャクから10キロくらい西)でも「死んだ魚、海水が赤い」現象が現れた。

 (c) El Tren de la Noticia

 

本日、9日。昨日の位置より西のほうの海岸が赤いということはなく、ただ、プログレソでカツオノエボシやエイが打ち上がっているのが発見される。うちの近くの海でも、エイがアクティブに泳いでいるのを発見。

公安による死んだ魚の撤去が追いつかず、悪臭を放ち始めたため、テルチャク近辺のビーチで観光客が激減。サカタザメ(エイとサメの合いの子みたいなやつ)や熱帯魚みたいな魚など、ユカタン沿岸では見たことがない種類の魚も、浜で死んでるらしい。

プログレソの経済損失は70%との試算が出た。

 うちの近くでは、普段どおり小魚が泳いでいる。

 5日前の写真。透明度はそれほどでもないけどきれい。

 

いつも塩を作っていて、そろそろまた5リットル汲みに行く時期なんだが、やめとく。水質がどうというより、去年刺されたんでエイが怖い。

 海水からの手作り塩の結晶。

 おなじみチシュルブ村では、昔塩づくりが重要な産業だった。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿