読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

巣立ち-お鳥見女房- 諸田玲子 小説新潮12月号

2006-12-05 20:40:02 | 読んだ
矢島家では、次男<久之助>を養子に出して、いよいよ長男<久太郎>の結婚が近づいている。

久太郎の結婚相手は「鷹姫さま」と呼ばれていた娘、この結婚は紆余曲折があったもので、それゆえに矢島家の人たちにはそれぞれの思いがある。

お鳥見女房こと珠世は、次男を養子に出して気持ちが緩んだのか、風邪をひいて寝込んでしまう。
物語はそこから始まる。
そして、珠世の父<久右衛門>は老友を訪ねた帰り道、鷹が(足に革紐のついた鷹)木に引っかかっているのを逃がそうとしていう娘とその使用人たちに出会う。

この時代、鷹を無許可でふれるのはご法度。
とめる久右衛門と逃がそうとする娘が大喧嘩となる。

このあたりで、誰と誰が喧嘩をしているこちら側(読者)にはわかる。
したがってこの先は、ずっと笑いながら読んだのである。

祖父と許婚が喧嘩したことを知った久太郎と、父と嫁となる娘が喧嘩をしたことを知った珠世が、このふたりをどうやって仲直りをさせるのか?
興味はそこに尽きるのである。

そして、その策は、ほほえましいものなのである。
ともかく、久々に、ゆったりとした気分と人間というものはいいなあという気持ちにさせられる物語であった。
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