読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

銭ゲバ(上・下) ジョージ秋山 幻冬舎文庫

2007-10-18 22:03:06 | 読んだ
ジョージ秋山の作品をジックリと読んだことはない。
雑誌で目にして「アシュラ」とか「浮浪雲」とか「デロリンマン」とか「超人晴子」とか知っているけれど、その内容についてまで詳しくは分からなかったし、あまり興味もなかった。

ところが、本屋でこの「銭ゲバ」を見たとき『ああ読みたい』と思ったのである。
銭ゲバが発表されたのは週間少年サンデーで1970年から71年であった。私は中学生時代のころだ。

当時はまだ「銭」より「愛」だの「情」だの「義理」などが勝ると思われていたと思う。
というか、そんな時代が終わりかけてきたんだと思う。
金持ちと貧乏の差が小さくなり、生活環境のレベルが平等に近いと思われるようになってきた。
そして貨幣による価値基準のようなものが日本に根付いてきたような、そんな時代であったと思う。

そういう時代を背景としてこの銭ゲバが発表されたのだと思う。
つまり、みんな「幸福で満足」というようなことをいっているが実はそれは仮面をかぶった者たちが語っていることであって、心の底では「もっと、もっと」と痛切に願っているのではないか、ということである。

この物語は、不幸な生い立ちを背負う「蒲郡風太郎」が、世の中をちゃんと生きるためには自分が幸福になるためには何が何でも「銭」を多く持つことである、という信条(?)のもとに生きるというものである。
ただし、銭のためなら人を殺してまでも、というところが凄まじいというかスゴイというか・・・

蒲郡風太郎の生き方を全面的に許すことは出来ないのだが、どこかで「そうだよなあ」と思うところもある。
また、きれいごとを言ってもいざとなると銭にひれ伏してしまう人たちも一概には軽蔑できないのである。

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