読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

お接待 坂東眞砂子 オール読物3月号

2007-03-17 22:36:36 | 読んだ
坂東眞砂子というと「子猫殺し」のエッセイで変に有名になってしまったが、なんというか「過剰反応」というのが今の日本の状況であることを立証したカンジである。

坂東眞砂子の小説を読むと、そういうこと以上に人が犯している罪は大きいことがあるんだ、ということを感じさせられる。

この「お接待」は、著者の小説の特徴である「土佐」を舞台にしたものである。
ホラーといえばホラーな小説である。

人の愛と罪について語っている小説である。
短編でありあらすじを描くとすべてを知ってしまうことになるので省くが、最後に「どんでん返し」のようなものがあって、更に「人とは何ぞや?」と思ってしまうのである。

生きていくこと、自分が幸福になることによって、誰かが死んだり、傷ついていることを人は知るべきなのだろうか。
知らないから幸福なのか。そういう幸福でいいのか。

そういう根源的なことを追い詰めている作家だと思うのである。

今の日本は表面的なものばかりで「わいわい、がやがや」しているが、生きているということだけで罪なことや、存在自体が他人を傷つけていることもあるのだが、それをどのように折り合いをつけるのが「社会」であることをもう一度思い出すべきではないのか。

なんてことを読んだあとに考えたりしたのである。

ところで、坂東さんの小説を読むと西村望を思い出して、なんとなく印象として「似てる」と思うのだが、いかがであろうか。

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