読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ちゃん-深川にゃんにゃん横丁- 宇江佐真理 小説新潮2月号

2007-02-02 21:57:13 | 読んだ
「待望の新シリーズスタート!」とあるから、<深川にゃんにゃん横丁>ということで新たな物語が始まるのだろう。
新シリーズということは連載ではないのだろう。

さて、物語の舞台は深川・浄心寺の東にある山本町と東平野町の間にある1間足らずの小路・通称「にゃんにゃん横丁」である。
にゃんにゃん横丁の由来は勿論「猫」が多いからである。

その山本町の喜兵衛店(きへいだな)という裏店(うらだな)の大家・徳兵衛と、自身番の書役・富蔵、そしてもう一人喜兵衛店の店子で指物師の女房・おふよがこの物語の主人公である。
この3人は55歳。

徳兵衛は長年勤めてきた干鰯問屋(ほしかとんや)の番頭を退いたあと、悠々自適の暮らしをしようと思っていたが、再三再四の富蔵の要請と、おふよの脅しに負けてしぶしぶ大家をしている。喜兵衛店の家主は別にいて、大家といってもいわば管理人・世話人のようなものである。

そして、物語は始まるわけである。
いわゆる「世話物」で、心温まるお話、のようである。
今回は、女房と別れた泰蔵が娘と偶然に出会い、娘と約束をしてお出かけをしたことが、別れた女房から誘拐と訴えられる、というのが事件である。

これを3人がどう解決するのか!
というのが物語のお楽しみ。

それにしても近頃このような時代物でいわゆる世話物が多くなったのはなぜだろう。現代にはありえない人情というやつを描きたい作家が増えたのか、それともそれが読者のニーズなのか。

この物語はなんとなく団塊の世代を意識しているように思えるが・・・
これから少し様子を見ていこうと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする