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購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行 本当に大切にすべきは「熱狂する顧客」

2016年01月27日 15時52分25秒 | 市場動向チェックメモ
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/95643011.html

日本経済新聞

購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行
本当に大切にすべきは「熱狂する顧客」

2016/01/27
トライバルメディアハウス 池田紀行氏

もう内需の拡大は期待できない。誰かが獲れば、誰かが獲られるゼロサムゲームが始まっている――。

 日本の人口がピークに達しつつあった2000年代初頭(※)、「新しい商品をつくっても思うように売り上げが伸びない」、これから人口が減っていくのだから「新規顧客の獲得に頼っていると経営はジリ貧になる。既存顧客にもう1度買ってもらえるよう、売り方を変えなければ」という機運が高まった。

(※)日本の人口のピークは2008年の1億2808万人。2001年時点で1億2732万人だった。

 そして、多くの企業がCRM(顧客情報管理)の導入を進め、多額の投資をして大規模な顧客管理システムを構築した。CRMの目的は、「顧客満足度を向上させ、ブランドと顧客の良好な"関係性"を向上させていく」ことだった。購入金額や購入頻度をもとに顧客をランク付けし、優良顧客を優遇することによって「優良顧客の囲い込み」を目指していた。

 情報技術の進展もあり、時代は折しもデータベースマーケティングやリレーションシップマーケティングが花盛り。顧客を「個客」と呼び、「マーケットシェアから顧客シェアへ!」という大号令のもと、各社は「どうやったら個客に対して継続的・効率的に商品を買ってもらえるか」に腐心した。その結果が、個客の財布をパンパンに膨れ上がらせたポイントカードの乱発と、自宅の郵便受けをあふれ返らせている大量のダイレクトメール(DM)である。

大失敗に終わった「顧客との関係づくり」

 ここで皆さんに問いたい。

(問1)自宅に届くダイレクトメールに喜びを感じているだろうか。
(問2)ポイントカードを発行する店舗やブランドに、あなたはどこまで愛着を感じているだろうか。

 自宅に届くダイレクトメールについては、ほとんど「封すら切らず」にゴミ箱に直行しているものと想像する。喜びを感じることはまず無いだろう。ポイントカードについてはもう少しましな状況だろうが、愛着を感じている人はさほど多くないと思う。たいていはポイントが貯まるから(経済的にお得だから)ポイントカードを使っているのであって、ほかにもっとお得なオファーがあれば、何のためらいもなく競合他社に乗り換えてしまうのではないか。

 果たしてこれが「顧客満足度を向上させ、ブランドと顧客の良好な"関係性"を向上させていく」というCRMのビジョンだったのだろうか。「親展」という名の営業メールやポイントカードに、顧客は満足などしていない。「囲い込まれたい」とも思っていない。ブランドの魅力に感動するどころか、「うざい」とすら思われる。こんなやり方では、「このブランド、すごくいいよ」と友だちに紹介してくれることなど起こるはずはないし、本人の顧客生涯価値(LTV※)の向上すらままならない。現状のCRMは明らかに限界を迎え、閉塞感から抜け出せずにいる。

(※)Life Time Valueの略。その顧客から生涯にわたって得られる価値を指す。一般的には、年間LTVとして「過去1年間の購入金額」を指すことが多い。

すべてが「売り手の発想」だった

 CRMに取り組んだ多くの企業で、「期待通りに成功した」と回答している企業は5%にも満たないという。なぜ多くの企業でCRMは失敗してしまったのだろうか。

 一般的に言われている失敗の要因は、組織の問題、ビジョンの問題、定着化の問題などだが、いずれの議論にも共通する不備がある。それは、最も重要な「顧客の感情に向き合っていなかった」という点である。

 CRMの軸となるRFM分析では、「1年前よりも1カ月前に買ってくれた顧客のほうがロイヤルティーが高いだろう」(Recency)と考える。同様に、「半年に1回買ってくれる顧客よりも3カ月に1回買ってくれる顧客のほうがロイヤルティーが高いだろう」(Frequency)、「年に1万円買ってくれる顧客よりも3万円買ってくれている顧客のほうがロイヤルティーが高いだろう」(Monetary)と考える。そして、ロイヤルティーの高さによって顧客に提示する割引率を変えようとか、ロイヤルティーの高い顧客には友だち紹介キャンペーンのチラシも封入しよう、といった販売促進策が導き出される。

 残念なことに、すべてが「売り手の発想」だ。顧客満足の向上やブランドとの良質な関係構築などと社内資料には書いてあっても、やっていることは「単なる売り込み」にすぎない。その打ち手によって顧客がどんな気持ちになるのか、ほとんど考えられていないのである。

購入金額=愛顧度という短絡的思考

 CRMが失敗したもう1つの理由は、「購入金額=満足度=愛顧度=友人・知人への推奨意向」と勘違いしていることだ。過去に購入金額が大きい人は、ブランドや店舗に満足し、愛してくれていて、友人や同僚にもブランドをすすめてくれる人であると思っている。

 しかし、そこには大いなる誤解が含まれている。あなたのブランドや店舗の売り上げは、2割の顧客によって8割がつくられている(いわゆるパレートの法則)。これは間違いないだろう。しかし、その2割の顧客(いわゆるヘビーユーザーやロイヤルカスタマーと呼ばれる顧客層)のうち、満足し、好きで、もしくは愛してくれていて、買い続けてくれている顧客は、ごく一部なのだという事実を知ってほしい。2割の顧客の多くは「ずっと使っているから習慣で」「替えることが面倒だから」「特に不満がないから」「職場や自宅から一番近いから」買ってくれているだけだろう。

 果たして彼らは、本当の意味でのロイヤルカスタマーなのだろうか。友人や同僚にすすめてくれるほどブランドや店舗を愛してくれている顧客なのだろうか。

 当然ながら、答えは「否」である。あなたのブランドや店舗を「特に不満がないから」「近いから」使ってくれている顧客が、あなたの商品を今後も買い続けてくれる保証はどこにもない。少しでも良いオファー(割引やプレゼントなど)があったり、もっと近くにお店ができたりすれば、簡単に競合他社に乗り換えてしまうだろう。

売り上げの3~4割をつくる「たった2.5%の熱狂顧客」

 だから、本当に大切にすべきなのは、売り上げの8割をつくる2割の顧客のうち、「その商品が好きで好きでたまらないくらい愛しているから繰り返し買ってくれている顧客」である。ここでは、そういう顧客を「熱狂顧客」と呼ぶことにする。下図に示す顧客構造でいえば、上位3.3%の顧客が熱狂顧客および熱狂的推奨者、次点の10%がロイヤル顧客の候補者となる。


顧客の関与度と売り上げの関係 POSデータをもとに購買金額の多い順に顧客を並べ、全体を30等分(3.3%ずつ)にセグメンテーションしたところ、上位3.3%の顧客が33%の売り上げを占め、次の10%の顧客が33.8%の売り上げをもたらしていたという(出所:堀田治『超高関与消費のマーケットインパクト―関与と知識による多段階の発展モデル』)
 熱狂顧客は間違いなくLTVが高く、彼ら彼女らの多くが友人や同僚にもブランドをすすめてくれる。たとえば、カゴメトマトジュースは上位2.5%のわずかな顧客から全売上高の30~40%をつくっているという(日経デジタルマーケティング2015年10月号)。この「2.5%」の多くが熱狂顧客であり、本当に大切すべき顧客なのである。

 しかし、そういう大切な顧客に対して一部の企業は残念な対応をすることがある。「既存顧客のリピート購買だけでは、年度の売り上げ目標をクリアできない。売り上げ貢献上位2割の優良顧客は、何もしなくても勝手に買ってくれるからとりあえず放っておいて、問題は何か施策を講じないと買ってくれない消費者にいかに買ってもらうかだな...」と割引やプレゼントのキャンペーンを乱発している。ある程度は仕方ないのだろうが、このやり方を続けている限り、そのブランドに明るい未来はない。

 単年度の売り上げ目標だけを追いかけ、"その年暮らし"の施策をいつまで繰り返せるというのだ。割引やプレゼントキャンペーンに頼った売り上げアップは、いつまでも続けられるものではない。あなたも、今のやり方はいずれ限界が来ることに気づいているはずだ。

「買わせるまで」に全マーケティング予算の95%が使われる

 ブランドは、小規模な場合で年間数千万円、大きなブランドでは年に数十億円規模のマーケティング予算を持つ。そしてほとんどのブランドは、商品を買ってもらうまでの購買ファネル(下図の左側)に予算の95%以上を投下する。テレビCMやネット広告を中心とした認知の最大化や、ナショナルチェーンの棚を大規模に獲るための販促協力金など使い方は様々だが、いずれにせよそれらの施策は、先の顧客構造で紹介した「売り上げの3分の2をつくってくれている上位20%の既存顧客」に向けたものではなく、「売り上げの3分の1しかつくっていない下位80%の顧客」に向けたものだ。


マーケティングファネルと予算配分
 もちろん、そうした予算配分のすべてを否定するつもりはない。熱狂顧客に対しても購買頻度を高める施策は重要だし、何よりも下位80%の顧客がもたらしてくれる残り3分の1の売り上げがないと、販売計画数値を達成できないからである。

 しかし、明らかに予算のかけ方が偏っていると感じるのだ。売り上げの3分の2をつくってくれている上位20%の顧客の中で、あなたのブランドに熱狂してくれている「熱狂顧客と熱狂的推奨者」に、せめてファネルの左側(買ってもらうまで)にかけている予算の5~10%を使ってあげてほしいのである(決してファネルの右側にいる20%の顧客ではなく、その中の熱狂顧客と熱狂的推奨者であることに注意してほしい)。なぜなら、熱狂顧客と熱狂的推奨者は、あなたのブランドに持続的な競争優位をもたらし、利益成長の源泉になってくれるからだ。

推奨意向の高さと利益成長率に強い相関

 熱狂顧客が企業にもたらす価値について、『顧客の信頼を勝ち取る18の法則-アドボカシー・マーケティング』(山岡隆志著)の中で興味深いデータが紹介されている。NPS(※)を提唱したフレッド・ライクヘルド氏による定量分析によると、コモディティー化が進行し、最も価格競争が激しいとされる航空業界において、NPSと利益成長率(1999年~2002年)の平均に強い相関関係が認められたという。この傾向は顧客の推奨が購買の最終意思決定に大きな影響を与えるほとんどの業界で見られた。北米最大のレンタカー会社であるエンタープライズ社のNPSと利益成長率が業界で飛び抜けていることも紹介されている。

(※)NPS:Net Promoter Scoreの略。推奨者正味比率の意。「このブランドを友人・知人にすすめる可能性はどの程度ですか?」といったアンケートを実施して、「0」から「10」の11段階で推奨意向を回答してもらう。推奨意向0~6の回答者を批判者、7~8を中立者、9~10を推奨者と分類したうえで、「(推奨者の数-批判者の数)÷合計回答数」をNPSとする。批判者が多いと値がマイナスとなる。米ゼネラル・エレクトリック(GE)がグローバルの経営指標として取り入れたことでも有名。

 顧客が熱狂し、推奨意向が高まれば、高い確率で顧客はほかの顧客を紹介してくれる。新規顧客獲得のために膨大な広告宣伝費をつぎ込まなくて済むため、販管費が下がり、利益が上がる。推奨者本人も他のブランドに浮気せず、中長期的に自社ブランドを使い続けてくれるため、LTVが高い。熱狂度は、間違いなく売上増とコスト減に貢献するのだ。

 熱狂顧客と推奨者が多い企業に、米ザッポスと、日本のスノーピークがある。ザッポスは、ネバダ州のラスベガスに本社を置き、米国とカナダで靴や衣料、アクセサリーなどを販売するEC事業者である。靴のオンライン販売では米国最大で、1999年の創業からわずか10年後の2009年に12億ドルで米アマゾンに買収された。

 ザッポスは自らを「靴を売ることになった顧客サービス企業」と称する感動創造企業だ。「信じられないくらい素晴らしいサービスだった」「ザッポス最高!」「超音速の配送で、顧客サービス博士号持ちですね」(出典:トニー・シェイ著『顧客が熱狂する靴店-ザッポス伝説』)など、感動のあまり涙ながらに書いた礼状を送る顧客がいるほど、ザッポスは顧客を感動させ、熱狂させている。

 日本にも、顧客を熱狂させてやまない会社がある。年間数十泊をキャンプ場で過ごすようなハードキャンパーたちの信頼を一手に得るというキャンプ用品総合メーカーのスノーピークである。2代目である山井太社長の代で急成長を遂げ、2014年12月に東証マザーズに上場を果たした。私も一昨年からキャンプを始めてスノーピークに出会い、以来、スノーピークの大ファンになってしまった1人だが、スノーピークには同ブランドをこよなく愛するスノーピーカーと呼ばれる熱狂顧客がいて、オフライン、オンラインを問わず活発な"布教活動"を続けている。

 かくゆう私も、キャンプ用品を一通りそろえようとしていたとき、社内のスノーピーカーにスノーピーク商品を熱く推奨され、結局、かなりの金額をはたいて本格派テントを含む数十アイテムのスノーピーク商品を買ってしまった経験がある。そして、購入後はスノーピークの思想や哲学、商品の素晴らしさに魅せられ、今度は私がスノーピークを熱っぽく語る布教者になってしまった。

 この魔力の秘密は、スノーピークの類まれなる商品開発力も大きいが、私は、社長自らが全国のキャンプ場に赴き、狂信的なスノーピーカーたちと2泊3日のキャンプを行う「スノーピークウェイ」というオフラインイベント、そして、その熱狂を維持・向上させるためのオンラインコミュニティー(現在はFacebookグループで運用)にも秘密が隠されているように思う。山井社長が語る「ユーザー目線に徹し『ほしいモノ』だけ作る」「夜を焦がす焚火を前に、顧客とトコトン語る」という言葉にも表れている。

 ちなみに、同社の投資家向け資料には、下図のように、熱狂顧客の育成こそが経営戦略の根幹にあることが明記されている。「顧客満足ではぬるい。顧客を熱狂させるのだ」「熱狂顧客と熱狂的推奨者こそが、スノーピークブランドの持続的な競争優位の源泉である」という想いが伝わってくる。


出典:スノーピーク決算説明資料「平成27年12月期第2四半期 投資に関する説明会」
 ザッポスやスノーピークのように、熱狂顧客が多いブランドは、まず既存顧客のLTVが高い。他のブランドに浮気せず、そのブランドをずっと買い続けてくれる。一般的に、既存顧客を維持するためのコストは、新規顧客を獲得するコストの5分の1で済むといわれる。さらに推奨顧客が多いブランドは、顧客が顧客を連れてきてくれる。だから広告を大量に出す必要がなくコストが下がる。

 このように、熱狂顧客や熱狂的推奨者が多いブランドは、既存顧客が多くの利益をもたらしてくれて、さらに友人や同僚、家族を連れてきてくれるため、広告宣伝費などの販管費を抑えられる。熱狂度や推奨意向が中期的な利益成長の源泉になる理由である。

あなたのブランドに対する「熱狂度」を知る

 ここまで述べてきたように、ごく少数の熱狂顧客のリピート購買によって売り上げの多くが安定的に生み出されている。こうした中長期的な利益を「計画的に」つくっていくためには、まず自社のブランドを買ってくれている顧客の構造をもっと詳しく知る必要がある。

 たいていのブランドには、すでに熱狂顧客が一定数存在している。これは、顧客の熱狂度調査を行えばすぐにわかることだ(熱狂度の調査法は下図の通り)。このやり方で言えば、「5」と回答した顧客は熱狂(Enthusiasm)のレベル、「4」がロイヤル(Love)、「3」がそこそこ満足(Like)ということになる。


熱狂度の調査法の例

 ここで1つ注意が必要だ。多くのマーケターは、「熱狂している顧客=推奨意向(NPS)が高い顧客」と捉え、そうした顧客にすぐさま「友だちや同僚、家族に商品を紹介してください!」「ブログやTwitterで商品の素晴らしさを語ってください!」と呼びかけてしまいやすい。しかし、必ずしも「熱狂している顧客=推奨者」ではない。

 下図を見てほしい。仮に、あなたの商品を買ってくれている顧客を1万人抽出し、調査を行ったとしよう。熱狂度を5段階、推奨意向(NPS)を0~10までの11段階で回答してもらったとすると、このようなグラフが出来あがる。バブルの大きさは、顧客の数を表している。どのブランドにも共通する傾向だが、多くの場合、顧客は熱狂度も推奨意向もそれほど高くない左下の「一般顧客」にプロットされる。なんとなく買っていて、推奨意向も高くない人たちだ。


顧客の熱狂・推奨マップ
 一方、熱狂度の高い顧客は、図の上部(熱狂度が4以上のところ)にプロットされる。数はさほど多くないだろう。注目すべきは、熱狂度の高いロイヤルカスタマーであっても、「推奨意向も高い熱狂的推奨者」は一握りでしかないという事実だ。

推奨は「顧客の熱狂」によって発生する

 この点を踏まえて、イマイチ盛り上がらない「友だち紹介キャンペーン」を題材に、熱狂マーケティングについて考えてみたい。

 従来の友だち紹介キャンペーンが盛り上がらない理由は、「購入量=満足度=愛顧度=推奨意向」と誤解したまま、購入量が多い顧客に友だち紹介キャンペーンを実施してきたからである。しかし、何よりも大切なのは、顧客の感情、愛や熱狂だ。下図の「熱狂と推奨のキュービックフレーム」を見てほしい。マーケティングの世界では「軸が3軸になった瞬間に図が複雑になり、わかりやすさが10分の1以下になる」という格言(?)があるが、ここで説明したい変数はどうしても3つあるため、立方体になっていることをご容赦願いたい。


熱狂と推奨のキュービックフレーム
 この図は見ての通り、LTV、熱狂度、推奨意向の3軸でできている。あなたの企業やブランドの「中長期的な利益の源泉」になってくれるのは「熱狂顧客」と「熱狂的推奨者」である。青い矢印は「購入量=満足度=愛顧度=推奨意向」と誤解したまま、購入量が多い顧客に友だち紹介キャンペーンを実施した場合のアプローチ方法である。

 しかし、推奨は顧客の熱狂によって発生する。熱狂なき推奨は長続きしない。アプローチしている顧客の熱狂度が低ければ、友だちに企業やブランドをすすめる動機(愛や熱狂)が足りない。だからキャンペーンの効果も短期的かつ限定的になる。

 アルファブロガーやアルファツイッタラーと呼ばれるデジタルインフルエンサー(ネット上で語る言葉に大きな影響力を持つ人々)にアプローチしたとしても、デジタルインフルエンサーはあなたのブランドのファンでもなんでもないケースの方が多い。いくらページビューやインプレッションが多いからといって、愛のない人と契約してあなたのブランドについて書いてもらったところで、その影響力は単なる「感想」で終わってしまう。

 だからこそ重要なのは、友だち紹介キャンペーンのような推奨プログラムを実施する前に、必ず熱狂プログラムを実施することなのだ(赤い矢印)。熱狂プログラムとは、ブランドに対する顧客の感情をLikeからLOVEへ、LOVEから熱狂へと押し上げ、顧客の熱量を上げていくための施策である。その上で推奨プログラムを実施し、熱狂顧客へと育成していくのだ(黄色い矢印)。これが最も適切な流れと考える。

 具体的な熱狂プログラムと推奨プログラムについては次回に解説しよう。




池田 紀行 (いけだ のりゆき)
トライバルメディアハウス代表取締役社長。1973年横浜市生まれ。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、ネットマーケティング会社クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。キリンビール、P&G、トヨタ自動車などのソーシャルメディアマーケティングを支援する。『Facebookマーケティング戦略』『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』など著書多数。Twitter:@ikedanoriyuki、Facebook:http://www.facebook.com/ikedanoriyuki



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