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医学研究につきまとう「データ数の壁」、iPhoneで崩す

2016年02月23日 12時20分46秒 | 市場動向チェックメモ
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/99573113.html

日経BizGate

医学研究につきまとう「データ数の壁」、iPhoneで崩す
慶應義塾大学医学部循環器内科 医学博士 木村雄弘氏

2016/02/22

 医学研究の分野において、「iPhoneを利用した臨床データ収集」という試みが世界で注目されている。世界で数億台使用されているiPhoneを通じた臨床研究には、膨大なデータを短期間で集め得る「データ収集力」が見込めるからだ。

 「データ量」は、医学研究に限らず、あらゆる分野の実証研究において最も重要なものの1つである。データが多ければ多いほど、研究で得られた結果の正確さが高まり、新たな発見の裏付けとなる。

 同時に、いかにして大量のデータを収集するかは、医学研究で難しいことの1つでもある。


木村 雄弘氏(きむら たけひろ)
慶應義塾大学医学部循環器内科 医学博士

 一般的な臨床研究では、「研究協力者に研究の内容を詳しく説明して、同意を得たうえで臨床研究に参加していただきます。一連の手続きやデータ処理に、相当な労力が必要です」。こう話すのは、医学研究用iPhoneアプリ「Heart & Brain」を開発した、慶應義塾大学医学部循環器内科の木村雄弘特任助教である。手間もコストもかかる従来の研究方法では、収集できるデータの数に自ずと限界があることは容易に想像がつく。

 この「データ収集の壁」に突破口を開けようとするのがiPhoneを通じた医学研究用の公開フレームワークである「ResearchKit」(開発は米アップル)だ。ResearchKitの公式ホームページには、「数がすべてなのです。データの提供者が多ければ多いほど、サンプル数が増え、母集団を代表するデータの正確性が高まり、より説得力のある結果が得られます。大量のデータを収集し、共有できる研究プラットフォームは、医学研究にとって間違いなくプラスになるでしょう」という米国心臓協会エデュアルド・サンチェス博士の言葉が紹介されている。

 ResearchKitを利用することで、研究内容の説明、研究への同意、データ収集の機能を臨床研究アプリに容易に実装できるようになる。研究協力者は自分のiPhoneにアプリをダウンロードして起動するだけで、研究に参加できる。数千万人を対象とした全国レベルの臨床研究を従来の方法で行うことと比べれば、人手もコストも少なくてすむし、アプリが話題になりダウンロード数が増えれば膨大な臨床データを収集できる。

 Heart & Brainを開発した木村氏も、「アプリの反響と、健康への関心の高さに驚きました」と語る。その実績については後述するが、従来の臨床研究とは桁が違う数のデータを短期間で収集できている。

国内初のアプリ「Heart & Brain」は脳梗塞の研究に

 2015年3月 にアップルがResearchKitを発表して以来、世界でこれを利用した医学研究用のiPhoneアプリが続々と登場している。すでに、自閉症、心臓血管疾患、ぜんそく、てんかん、糖尿病、乳がん、メラノーマ(悪性の皮膚がん)などの病気に対して、それぞれ専用の臨床研究用アプリが開発されている。


Heart & Brainのトップ画面
 ResearchKitを利用した国内初の臨床研究用iPhoneアプリは、木村氏が開発した「Heart & Brain」(2015年11月公開)である。不整脈と脳梗塞の早期発見を目的とした臨床研究の一環として利用するもので、まずはiPhoneアプリから収集したデータの有用性についてきちんと評価すると木村氏は語る。

 Heart & Brainの研究対象の心房細動は、全国で100万人以上の方が罹患するありふれた不整脈である。命に直接かかわる不整脈ではないが、合併する脳梗塞はしばしば致命的となる。一方、脳梗塞も、日本人にとって非常に身近な病気である。脳梗塞を含む脳血管疾患が日本人の死亡原因の上位であるというだけでなく、自覚症状の無い小さな脳梗塞(無症候性脳梗塞)を抱えている人も意外と多いのだ。

 Heart & Brainは、次の3つの側面からデータを収集し、脳梗塞との関連性を解析していくと木村氏は説明する。(1)心房細動、脳梗塞の危険因子の有無などを問う「質問票」、(2)iPhoneやApple Watchが自動的に蓄積している「ヘルスケアデータ」、(3)脳梗塞の検出に役立つ可能性のある簡単な「運動評価検査」の3つである。データ収集に要する時間は10~20分ほどだ。

 「質問票」は医師の問診の代わりと考えればよいだろう。一般的なアンケート形式で、脳梗塞の危険因子とされる年齢、高血圧、糖尿病、不整脈、喫煙、脂質異常などの状況を尋ねてくる。

 「ヘルスケアデータ」の収集は、iPhoneアプリらしい機能といえる。iPhoneユーザーならご存知のように、iPhoneが内蔵センサー(加速度センサーやジャイロスコープなど)を利用して、歩数、歩行とランニングの距離、階段を上った階数、消費エネルギー、倒れた回数などを推定して自動的に計測・蓄積している。腕時計型ウェアラブルデバイスのApple Watchを併用していれば、心拍センサーから心拍数データも計測している。

 Heart & Brainは、研究協力者の同意を得たうえでこれらのヘルスケアデータを「調査の日から数週間さかのぼって取得することで、経時的なヘルスデータを収集している」(木村氏)という。研究協力者の日常の運動量を客観的かつ容易に把握できるわけだ。

 「運動評価検査」については、iPhoneのカメラやセンサーを使って次の3つの運動評価を行う。いずれも脳梗塞の診断のために診察室で行う運動評価検査をiPhoneのセンサーで模倣したものである。iPhoneアプリらしい特徴なので概要を紹介しよう。


Heart & Brainの協調運動評価に関する測定結果例
運動麻痺評価:片方の手のひらにiPhoneを乗せ、手のひらを上にしたまま体の前に肩の高さまで腕を上げる。この状態で目を閉じて10秒静止する。手のひらが内側に傾いたり、腕が下がってきたりするようだと脳梗塞の疑いがある。こうした動きをiPhoneのジャイロスコープや加速度センサーで測定する。

顔面運動評価:目を閉じて、口で「イー」と発音するように笑顔をつくり、カメラで自分の顔を写す。脳神経に異常があると、両目をぎゅっと閉じたり、うまく笑顔をつくれなくなったりする。iPhoneの顔認識技術を使って、両目を閉じたか、笑顔になったかを検出する。

協調運動評価:片手にiPhoneを持ち、できるだけ速く「きらきら星」のお遊戯のように10秒間手首をくるくる回転させる。小脳に障害があると手首を回す周期が不規則になる。この手首の回転運動をiPhoneのジャイロスコープで測定する(右図参照)。

 運動評価検査の計測データはHeart & Brainのデータタブに表示され、研究協力者自身が確認できる。ただし、あくまでも計測データであり、診断ではない点に注意してほしい。こうしたウェアラブル機器を利用した診断の可能性については今後検討するという。

「たった1カ月で1万人」の臨床データを収集

 さて、肝心なのは「どれくらいの臨床データを集められたか」という結果だ。その点でHeart & Brainは上々の成果をもたらしている。

 木村氏は「Heart & Brainを公開した2015年11月からの1カ月間で、約1万人の協力を得て臨床データを集められた」と話す。通常の臨床研究の方法では考えられない桁違いの情報収集力である。

 通常の臨床研究で、1万人の研究協力者を得るというのはどのくらい大変なのかと尋ねると、「単施設の研究で1万人のデータを短期間に1人で集めるのは無理です。多施設で全国レベルの調査をしなければなりませんが、そのためには膨大な工数、資金を必要とします。1万人以上の参加者を対象とした医学論文はインパクトが大きいですが、なかなか実現できるものではありません」と説明する。それを1つの大学の研究プロジェクトで、たった1つのiPhoneアプリが1カ月で収集してしまった。

 つまり、Heart & Brainは「より多くの臨床データ量が必要」というハードルを、いとも簡単に乗り越えてしまったことになる。医学研究用アプリに期待されていることが、実績で証明されたことになる。

 ただし、たくさんの臨床データが集まったからといって、それで満足しているわけではない。木村氏は「情報に大事なのは量と質だと思います。量が収集できることはわかりましたので、次はデータの質に注目しています。携帯電話で収集したデータを医療情報として扱っていいのか、医学研究にどれくらい有用なのかを検証します。iPhoneで臨床研究に参加する方は、病院で通常の臨床研究に参加される方と違う特徴があるかもしれません。アプリをダウンロードして研究に参加してみようと考える人は、もともと健康意識が高い傾向にあるかもしれません。こうした情報の偏り、バイアスも明らかにする必要があります」と語る。

アプリを開発したのは医師自身だった

 Heart & Brainは、実は木村氏自身がプログラミングしたものだ。

 木村氏は以前にもプログラミングの経験があるそうだが、アプリを作ることができたのはResearchKitによるところが大きいという。「ResearchKitは医学研究に特化したフレームワークなので、研究に参加してもらうための同意を得る手続きや臨床データの収集の仕組みなどが準備されています。質問票などの画面の遷移フローも少ない工数で開発できました」。

 Androidスマートフォンにもセンサー類は付いているので、ゼロからプログラミングすればAndroidでもアプリを開発できる。しかし、「もしそうしていたら、短期間での開発は難しかったでしょうね」と振り返る 。

 医学研究用アプリが簡単に開発できるようになることを通して、臨床研究がより活発になることを期待したい。

※Heart & BrainはApp Storeからダウンロードできる。
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