ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

会社が従業員の副業を禁じることはできるか

2015-08-13 17:19:01 | 労務情報

 就業規則に「会社の許可なく業を営み、又は、在籍のまま他に雇われてはならない」といった規定を置く会社は多い。
 就業規則は、法令や労働協約や公序良俗に反しない限り、どのような内容を定めるのも経営者の任意とされ、 一般的には従業員はこれに従う義務を負っている。ただ、この「副業禁止規定」に関しては、「従業員が会社の指揮命令下に無い時間帯には何をするのも自由」との意見も根強く、「退職後の競業避止規定」と並んで、 労働法の専門家の間でも賛否が分かれているテーマの一つだ。

 では、裁判所はどう判断しているかと言うと、副業禁止規定を置くこと自体は肯定しつつも、それをもって懲戒処分を科すことには柔軟な運用を求めるケースが多い。
 具体的には、競合会社の取締役に就任した従業員に対する懲戒解雇を有効とした事件(名古屋地判S47.4.28)、建設会社の事務員が夜間にキャバレーで働いていたことを理由とする普通解雇を有効とした事件(東京地決S57.11.19)がある一方で、病気休職中に内職をしたのは就業規則で禁止される副業にはあたらないとした事件(浦和地判S40.12.16)、運送会社の運転手が年に1~2回、貨物運送の副業に就いていたことは業務に具体的な支障は生じないとしてこれを理由とする解雇を無効とした事件(東京地判H13.6.5)も挙げられる。

 そもそも会社が副業を禁じる目的は、企業秩序を維持し、秘密の漏洩や信用の失墜を防ぎ、従業員の労務提供に支障が無いようにするためであったはずだ。とすれば、その目的に反しない限りは、副業したことのみをもって従業員に懲戒を科すことはできないと考えるべきだろう。
 むしろ、 今日的には、 私生活を含めたライフプランをどう設計するかは従業員個々人ごとに異なるものであり、その多様性を会社は受け容れるべきとする「ダイバーシティ」の理念を鑑み、加えて、時短やワークシェアリングに伴って収入が減り、あるいは、そうでなくても必ずしも給与が右肩上がりに増えるわけではない中、インターネット等により副業を容易に探せるという実態を踏まえれば、副業を一律に禁止するよりも、会社への届け出を徹底させ、条件付きで副業を容認していく方が賢明と言えるかも知れない。

 ちなみに、労災保険法では、平成18年の法改正により、二重就職における「第1の事業場から第2の事業場へ移動する間の事故」も“通勤災害”として認められることになっている。法律が二重就職を前提として考えるようになったことは、検討材料に加えておきたい。


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