8月6日に 開催の可否が検討されてきた長野市の夏祭り「長野びんずる」について、29日に実行委員会が行なわれ その結果、同祭りは予定どおり開催されることになったことが報じられました。
これは、コロナ禍「第7波」の最中(さなか)にあり 長野県の警戒レベルが「5」となった状況であっても、これまでのレベル5で実施してきた 会食における人数や時間制限・イベントの中止や延期・公共施設の休止などの強い要請は行なわないとしている県の(新たな)方針を踏まえ 開催を決定したものです。
なお、長野県が示す警戒レベルが「6」に達した場合は中止とするとのことです。
県内においては これと同様に「松本ぼんぼん」や「上田わっしょい」も予定どおり開催、他方「飯田りんごん」と「小諸ドカンショ」は中止が決まったとのことです。
昨日(29日付)のブログでも触れましたが、長野びんずるの実行委員会は コロナ禍で2年に亘り中止を余儀なくされていた同祭りの再開について「今度こそ!」の意気込みで計画を進めていました。
そのうえで「眼前の敵はコロナ」と据え、感染拡大防止に最善を尽くすことで「踊りの間は感染者を出さない」を大前提に、踊り手の人間(じんかん)確保・酒類の扱い禁止・沿道での観覧自粛などを徹底したうえで開催するとしています。
このことについては(やはり昨日も触れましたが)さまざまな評価や考え方が寄せられており、「開催することに意義がある」との主催者評に対し「感染拡大が止まらない中、さらに市民総参加ができない状況で その(開催の)どこに意義があるのか」との意見も寄せられるなど、賛否両論の中での開催となるところです。
確かに、踊っている間の感染は防げるでありましょう。
人間(じんかん)確保・マスク着用・飲酒禁止のうえでの〝無言踊り〟に徹すれば、(踊っている間の)感染リスクは低いと思われ、そういう面では主催者の目標は達成するでしょう。
しかし、本当の感染リスクは〝踊りが終わった後〟なのです。
開祭が高らかに宣言され、びんずるの音頭が流され「ソーレ!」のかけ声(音声テープ)に乗って黙々と踊り手さんは踊る・進む…ただひたすらに〝正調びんずる〟に徹する間は、おそらく感染リスクは限りなく低いと見込まれます。
そのうえで、ひたすら踊ってフィナーレを迎え「おつかれさまでした!」と閉祭した瞬間に、それまで我慢を強(し)いられていた踊り手のみなさんは、一気に制約から解放されるのです。
それまで マスク着用・無言で、ロクに飲まず食わずで頑張ってきたご一同は、呪縛から解き放たれるが如く、打ち上げ会場で さっそくマスクを外し、ビールジョッキを掲げて「おつかれさまでした、カンパーイ!!」と気勢を上げ、飲み会モードへと突入するのです。
しかし この行為を不謹慎と断ずることはできません。まさに これ(踊り後の打ち上げ会)こそが「経済活性化」であり、主催者が求める社会経済効果の発揚なのです。
これ(踊り後の飲み会)無しでは、せっかく復活したびんずるの御利益はあり得ないと言っても過言ではありません。
で、このこと(踊り後の集団での飲食)によって生じる いわゆる「コロナリスク」については、既に踊りは終わっており 主催者の責任の範疇を超えて(過ぎて)いることから、後は「自己責任」ということになります。
主催者は、踊りの間の感染リスクを抑えたことで責任を果たしました。その後 飲みに行こうと何をしようと、それは自己責任であり びんずるに行ってコロナに感染したとしても、踊りが終わってからの出来事については 主催者の責任は問われないことになります。
そして、このこと(踊り後の集団での飲食)については、既に〝織り込み済み〟でありましょう。
去る26日に行なわれた「長野市新型コロナウィルス対策本部会議」においても「びんずる」の話しは一切出されることなく終始しました。
現下のコロナ禍の状況をもってしても、開催の是非等については あくまで実行委員会の裁量で決められるものであり、長野市は「そのご意向を真摯に受け止めて対応する」立場ということなのです。
一連の判断を通じて、このこと(びんずる開催の実質容認)は、長野市(行政はじめ関係者)自体が「腹をくくった」ことを示しています。
保健所の業務や医療機関が逼迫の度を高めていようと「びんずる」の開催を容認したことは、万が一 踊りの後の感染が発生したとしても、それは(可能性として)想定済みの現象であり、長野市は それ(びんずるによる感染拡大)もひっくるめて(事態を)受け入れることを暗に表明していると同じなのです。
これ(びんずる)で感染拡大したとしても、それは万(ばん)やむ無し ということなのでしょう。
先日も触れましたが、行政関係者は 今や「矛盾」の中でコロナ対応に臨んでいると見受けられます。
感染者が急増し 人々に感染抑止を求めながら、一方で行事やイベントは容認する。
これを例えれば、右手と左手で違う指づかいをする〝ピアノ弾き行政〟とでも申しましょうか。
(ピアノ演奏の場合は、左右の指づかいは違っても、結果 すばらしい楽曲となりますが、コロナ対策における〝左右違い〟は如何(いか)なるものか…)
コロナ禍の中でも 訴求すべきも地域経済社会の復興、しかしながら その途上には必ずと言っていいほど コロナウィルス感染症が待ち受けているのです。
何というか、オバケがいると分かっていながら敢えてお化け屋敷に入るが如くの〝矛盾〟を禁じ得ないところですが、ここをクリアしないことには「いつまで経っても同じことの繰り返し」ということなのでありましょうか。
いずれにしても、それぞれの地で 夏の大行事が予定どおり開催されます。
その、開催を〝決断〟した とりわけ3つの市は、いずれも県内で突出して感染者の多い自治体であることが重ねて気になるところですが…。
コロナ対応が〝曲がり角〟を迎える中、それぞれの判断の吉凶は 如何(いか)に現れるでありましょうか。
◇長野市コロナ報告
7月29日(金)~30日(土)、長野市内で新たなコロナ陽性感染者の発生が報告されています。
7/29日(金) 長野市におけるコロナ感染症の発生(446人/市23020~23465例)について
[PDFファイル]
↓
https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/752457.pdf
7/30日(土) 長野市におけるコロナ感染症の発生(457人/市23466~23922)について
[PDFファイル]
↓
https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/752519.pdf