倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

北京冬季オリンピック スキージャンプ高梨沙羅よもやの失格 ~国を超えた励ましが~

2022-02-08 | 日記

開幕を迎えた北京冬季オリンピック大会は、連日に亘り各競技で熱戦が展開され その度に さまざまなドラマが創出されています。

そんな「ドラマ」でありますが、全てにおいて笑顔と感動…というワケにもゆかないことも報じられ、それら全てを込みで〝ドラマ〟と呼ぶのか と胸中にさまざま去来するところです。

 

先日は、ストックが折れたまま見事完走(滑走)を果たした フリースタイルモーグル男子の杉本選手の話題に触れましたが、大会3日目のこの日(7日)には 何というか言葉にできない〝悲運〟というかやるせない出来事に触れ、そのうえで トップアスリートのもつ達観性のようなものを感じ取ったところです。

みなさん 既にご存知のとおりの「高梨沙羅選手 よもやの失格」の悲事です。

 

この日(7日)、スキージャンプ混合団体 が行なわれました

この種目は 今大会からの新種目で、1チームは4人(男女各2人)で構成され 各々が2度飛んで合計得点を争うものです。

日本チームの先鋒は 先日の個人戦で僅差でメダルを逃した 女子のエース高梨沙羅選手。さきの悔しさをバネに 気持ちを切り替えて臨んだ団体戦でした。

1回目の飛距離は堂々の103m。誰もが〝復活ジャンプ〟に歓喜の声を上げた その直後でした。

 

 

 

あろうことか 当の高梨沙羅選手が「スーツ規定違反」により失格となり、1本目の彼女のポイントが無効となってしまったのです。

FIS(国際スキー連盟)によると、空中で浮力に影響するジャンプスーツには厳しい規制が課せられているとのこと。

スーツのサイズは「選手の体にフィットしていなければならない」の大前提の下、いわゆる「ゆとり」は 男子が1~3cm以内・女子は2~4cm以内と規定されているそうです。

で、今回 高梨選手は、1本目のジャンプ後に抜き打ち検査を受け、その際に スーツの太腿回りのサイズが規定を2センチオーバーしていたことが判明し 失格となったとのことです。

それを知らされた高梨選手は「個人戦なら自己責任で済むが、こと団体戦では 自分が失格になったことで みんなに迷惑がかかることになってしまった…」と 持ち前の責任感から号泣することとなってしまいましたが「自分には2本飛ぶ責任がある」として 果敢に2本目に臨み、大きな精神的ダメージを受け 目に涙を浮かべながらも 98mの大ジャンプを飛んでみせたのでした。

しかし、ついに心の琴線が切れたのでしょう。

2本目のジャンプ後は その場にしゃがみ込み、しばらく動けない状態に。

 

 

 

メダル獲得を自らへの使命として臨んだ北京冬季五輪。

しかし その夢は個人戦では叶わず、それでも気持ちを切り替えて臨んだ団体戦においては、まさか着慣れたスーツが規格に外れて失格の憂き目に遭うとは…本人はもとより 周囲の誰もが想像だにできない〝悲劇〟でありました。

ただ しかし、ルールはルール。

関係者によると、会場の寒さや本人のコンディションにより、ここ数日で太もも周りが痩(や)せたことで 規格に引っかかったようですが、このことについては 本人というよりも、コーチやメーカーのチェック不足という誹(そし)りも免れないところでありましょう。

 

 

 

 

そんな悲嘆に暮れた高梨選手に対し 周囲は実に温かく接してくれ、そのことは 彼女同様に嘆きを覚える私たち視聴者を、せめて安心させてくれるものでありました。

チームメイトの伊藤選手は 彼女を独りにすることなく そっと寄り添い慰めの言葉をかけてあげます。

 

 

 

そして 何より私が胸打たれたのは、本来はライバルである他国の選手が 高梨選手の下(もと)に歩み寄り慰めてくれていたことでした。

 

 

 

これは、共に世界を転戦し 互いに切磋琢磨を重ねるトップアスリート相互にしか無い友情でありましょうし、互いを真にリスペクトしているからこそ為(な)される行為ではないかと思います。

 

この行為は、さきの東京五輪でのスケートボードで 果敢に大技にチャレンジするも失敗し メダルを逃した日本の岡本選手を皆で抱え上げた他国選手の姿や、

 

 

 

さきの平昌五輪で2位となり失意にくれる韓国選手を慰める 日本の小平選手の姿が重ね合わされるところです。

 

 

 

 

スポーツには、運・不運がつきものであり、それらを含めて われわれ視聴者は一喜一憂しているところですが、当のアスリートたちは いわば極限状態でピッチに臨むもの…そんな達観した境地の中、勝敗を超えて 互いをリスペクトし合うトップアスリートの所作に、私たちは また違った感動をもらうものなのかもしれません。

折しも昨今…人々の心を荒(すさ)ませるかのコロナ禍も手伝い、社会は思いやりに欠ける世知辛い風潮となっています。

他者を否定し、ややもすればクレームやバッシングを浴びせるような行為が横行し 他人(ひと)の不幸をあざ笑うかの風潮には、やや辟易とさせられているところです。

そんな中にあって、厳しく競い合う者同士であっても 相手が窮状に陥ったときには優しく肩を抱いて慰める様(さま)は、まさに一服の涼風を受けたかの爽やかさを感じ取るところでありました。

 

なお、高梨選手 よもやの失格の後も、日本チームは一丸となって飛翔し 最終的に4位入賞を果たしたとのことです。

その団結心に改めて大きな拍手を送るところです。

 

 

すでに巷に出回っている、2030年札幌五輪招致ポスターには、高梨選手の笑顔も載せられています。

 

 

 

まだ25才。才能あふれる彼女が、次なるステージで 再び花開くことを期待したいものであります。

 

 

 

 

 

 

◆ 長野市コロナ報告

2月8日(火)、長野市内で新たに91例のコロナ陽性感染者(市4909~4999例)の発生が報告されました。

 

2/8(火) 長野市におけるコロナ感染症の発生について(市4909~4999例) [PDFファイル]

             ⇓

https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/741137.pdf

 

 

ここ数日は 2桁の感染者数となっており、何となく「少なくなったな…」との印象を抱いてしまいますが、それは正に 私たちの感覚がマヒしているというものでしょう。

現に 第5波の収束の頃には、感染者ゼロの日が続いていたハズであります。

今の2桁(90人台)でも十分に多い感染者数です。

これから もっともっと感染者数を減らしてゆかなければならない…道は はるかに半(なか)ばなのであります。

 


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