セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

帰ってくる住田前副市長

2014-04-21 22:30:21 | 名古屋

住田前副市長が何とかという役職名で名古屋市役所に戻るのだって。昨日日曜日昼食を食べる中華料理店で中日新聞を見て驚いた。役職名は忘れたけど副市長とかの普通なものではなかった。もちろん9時から4時までの嘱託職員ではない。中日新聞は取ってないし月曜日は図書館が休みだから確認できない。その時は、なんだこの令外の官は。令外の官というのは律令制の古代日本で律令で定められていない官職で大概は同じ一族のものが世襲した。代表的なものは関白だ。検非違使とか蔵人もそうだね。征夷大将軍もだね。そういえば『悪の出世学』という新刊書の新聞広告に「最高権力者になったら、それまでと異なる新たな役職名を考案し、『初代』となる」と書いてあった。独裁者を目指しているのかな。これは冗談。しかし 自治体が法令の根拠がない職を作っても給料や報酬を払えるはずがないので令外の官ではないだろう。

でも市長選への色気は別として、市長と議会に挟まれて苦労したから副市長を任期前に辞めたのになぜまた市役所に戻ってくるのだろう。もちろん河村市長の強い要請があったとしてもだ。

でもまず先に河村市長の目論見を考えよう。河村市長は住田副市長が辞めてから大変こまっていたと思う。現在の副市長がなかなか言うことを聞いてくれない。民間出身の副市長は子供対策専門だから仕方がないけど、後の2人の副市長が河村市長の言うことを実行してくれない。あからさまな反抗なら解任もできるが、「それは無理です」と理由をつけて言われるとあきらめるしかなくなる。実は「無理」とか「出来ない」にも大きい幅がある。法令違反とか倫理に反するというなら確かにできないが、予算がないとか人員が足りないというのは工夫とやりくりでなんとかなる場合が多い。でも能力不足とやる気のなさが本当の原因なので出来ないのだ。そして出来ない理由を並べ立てる。役人は出来ない理由を考えだすのが上手いのだから。これが住田副市長なら、生真面目だから市長の命令をまともに受けとめ苦労することになる。また自分の能力にプライドがあるから出来ないとは言いたくないのだ。かくして河村市長は住田氏に戻ってもらうことを切望する。

では住田氏はなぜ今になって戻ってくる気になったのか。一つは大組織の中枢にいた感触が懐かしくもなったことだろうが、最大の要因は丸八キタン会のSOSだと思う。丸八キタン会というのは名古屋市役所内の名古屋大学経済学部卒業生の同窓会だ。住田氏は副市長の時に丸八キタンの会長をしていた。でもキタン会なんて変なネーミングだね。他大学の卒業で母校の同窓会にも行ったことがない僕には奇妙な名前に思える。普通同窓会なんてものは社会的地位なんて関係なくみんな忌憚なく話そうという建前があると思う。だから無忌憚会というのがもっともらしいのだけど。

おっと話をもどすと、丸八キタン会のSOSというのは名古屋市役所内での名古屋大学卒業生の優位性が危機に瀕しているということ。それは今年4月の定期人事異動で中央官庁の官僚が局長クラスで出向してきたことだ。尾張名古屋は他の地域に比べて閉鎖性が高いところだ。今まで名古屋市役所に中央官庁からの出向者がいなかったことにも現れている。ちなみに名古屋大学への地元民(愛知県民)の割合は他の旧帝大に比べて極端に高いそうだ。むかし水谷研二とかいう名古屋大学教授が名古屋大学をでて名古屋市役所に入り親に建ててもらった家に住むのが名古屋人の理想のコースになっていると名古屋の閉鎖性を嘆いていた。それを読んだ僕は、勉強という努力をしないでほどほどの高校からほどほどの大学をでて気がついたら名古屋市職員の僕は、努力なしという点でコストパフォーマンスがいいので僕こそ一番の勝ち組かなと思った。もちろん名古屋大学出の職員が他の大学出より高い能力をつけているなら意味があるが、それは個人個人様々で全体としてなら同じ採用試験で入ったものは差がないような気がする。だから名古屋大学出の優位性としたら学閥や人脈とレッテルの差だね。

そんなわけで閉鎖的な尾張名古屋では名古屋市役所は名古屋共和国の小中央官庁で名古屋大学は鳥無き里のコウモリで小東大ということになる。だから名古屋市役所では助役あるいは副市長の二人の一人は名古屋大学出であとの一人は他大学出という気がする。といっても正確なことは知らない。助役や副市長の学歴をいちいち調べていないし、第一現役時代はそれらの人の名前を知らないことがほとんどだった。

もちろん名古屋市職員には東大とか京大とか世間的に名大より評価の高い大学の卒業生がいないわけではない。採用試験に何の差別があるわけではないから毎年当然に入るだろう。でも数が少ないので派閥力や人脈力では名古屋大学の比ではない。

ところが中央官庁からの出向者が来て居座ると、やがて総務局長とか財政局長になりそのあと副市長になるかもしれない。それだけでもポストが奪われるのだが、それだけでなく彼は旧来の派閥とか人脈を無視して、能力本位あるいは市長路線への近さ、を基準として人事権を行使するかもしれない。かくして名古屋大学派閥の優位性が崩れる可能性がある。また今回の出向を皮切りとしたら、これから名古屋市役所は中央官庁出向者の局長や副市長が絶えず複数名古屋市役所に跋扈するかもしれない。

中央官庁からの出向者を抑えられるのは住田前副市長しかいない、ということで名大閥が住田氏に頼み込んだと思う。住田氏がいないと、副市長が河村市長の指示をサボタージュしても、出向者が中央官庁と協議してできますといえば副市長はかたなしだ。あまり中央官庁出向者にリニア以外のことで活躍させないで本省におかえりいただくために住田氏が出て来たと思う。

これは河村市長の策略か?リニア新幹線をネタに念願の政務担当秘書を議会に認めさせただけでなく、手駒になるかもしれない出向者の局長を得たほかに、嫌がる住田氏を市役所に戻して骨折り仕事をさせることができるからだ。

あそうそう明日火曜日はNHKで『サイレント・プア』をやるね。公務員必見のドラマだ。とはいっても正確には公務員ドラマではない。主人公は社会福祉協議会の職員だもの。でも区役所の地域福祉課長もよくでてくる。あのひと『トッカン』で税務署の特別徴収官をやっていた人だ。公務員役がにあうのかな。主人公は深田恭子だ。



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