二代目モニカの日々・・・ときどき俳句

【日々のいろいろ、十七文字の世界】二代目モニカです✨日々の出来事やときどき俳句も🐰

石倉夏生句集「百昼百夜」

2021年02月16日 | 俳句




素敵な句集が届きました

響焔同人の石倉夏生さんの句集

「百昼百夜」

石倉夏生さん

私が響焔に入会以来

ずっと憧れの俳人です
 
句はお姿同様とてもダンディ

切り口が鋭く独特で

いつもハッとしたりドキッとしたり

夏生俳句の世界に遊ぶのは

とても楽しいひととき



響焔賞を3回

響焔の最優秀作家賞の他にも

現代俳句協会年度作品賞や

栃木県俳句作家協会賞なども受賞されています

また、

朝日新聞栃木版の選者や

栃木県現代俳句協会の顧問などなど

きっと一度はそのお名前を拝見した方も多いでしょう




そんな雲の上の先輩俳人の方の句集から

僭越ながら十句ほど選んで

こちらで紹介させていただきます
 
十句…悩みに悩みました

あれもこれもと付箋だらけになりました

石倉さん自選の句とはまた違うのですが

私の好きな句ということで…



甚平といふ精神に腕通す
(句集一句目。やっぱり違う、と呟く私です)

日本の齢の色の梨をむく
(うん、何故かものすごく納得。梨のあの薄い茶色は日本の色、じゃなくて日本の齢の色!)

理髪椅子春の深みに存在す
(春の片隅、少し暗いところに確かに存在する理髪椅子…ただの椅子じゃない、日常と非日常のあわいの理髪椅子がいい!)

鶏頭は絶えず微量の闇を吐く
(俳人の中でもこの微量の闇をキャッチできるのは極僅か)

冬帽子かぶるや遺失物のやう
(比喩が新鮮。なのに心も見える)

白昼を奪ひ合ふ山桜かな
(管理されていない山桜は強欲。白昼という言葉が効いていて、大好きな句)

月光の全量を浴び帰郷せり
(月光って、質量が確かにありそう。なんて気持ちの良い故郷への道なのだろう)

午後の陽と同じ角度でラムネ飲む
(夏の午後の強いけれどすこし傾きかけてきた陽。ラムネ玉の音まで聞こえる)

死の音す日傘の骨を開くとき
(日傘の中の人の顔は半分暗く、すこしだけ死に近付いているかのよう…日傘の骨まで言ったことで死の音に納得できて、どの言葉も無駄がないのですね)

人類のひとり花ふぶきの一片
(対比の妙。当たり前だけど言えそうで言えない。人間ひとりは花びら一枚の価値と同等なのか。それを軽いとみるか、素敵とみるか…読者のその時の心のありよう次第)




俳句に大切なのは詩情ということを

改めて感じる句集です



最後に山崎聰名誉主宰の言葉を添えます

映りたきものを映して冬の沼
(冬の沼は無表情にして無意識。だから映りたいと思うものすべてを受け容れる。
氏の云う「虚の奥の実に拘泥し」とは即ち「実つまり真」を表現するということ。善き哉。
これからの氏の仕事に注目したい。)