平成の京町家モデル住宅展示場「KYOMO」が11月3日、オープンしました。
平成の京町家とは省エネや近代化が飛躍的に進んでいくこの時代、歴史都市・京都において長い年月をかけて培われてきた町家の伝統的な知恵を継承しつつ、現代の技術とが融合した家のこと。四季のうつろいや自然の力を大切にした住まいと、豊かな住まい方を提案するものです。
場所は河原町塩小路北西角。アクセスも良く、一目でわかります。
「KYOMO(きょうも)」という名称は公募で、「京都モダン(新しい京町家)」と「京もの(京都のもの)」、「今日も明日も(現代と未来をつなぐ)」というイメージを連想させ,言葉の響きがとても美しいということから選ばれました。
親しみやすくて呼びやすくてバッチリなネーミングだと思います。
この展示場の中で、京都市域産材をご紹介したのは100年住宅のゼロ・ホーム。
檜の床材を使っていただき、仕上がりの様子に興味津々!オープン前日、内覧会に行ってきました。
ゼロホームが100年住宅と言うゆえんは、木造住宅を正しく施工し、品質が確保され、定期的な管理をしていたなら軸組みは100~200年持ちますが、大切な住まいを長い間、高いレベルで品質を維持するために、30~50年に一度取り替える必要のある壁や屋根、サッシ、配管の取り替えが容易にできる構造にて施工しているという点です。ゼロホームの100年住宅は、建売住宅も注文住宅も長期優良住宅の認定を受けています。
それでは早速、おじゃましま~す。
玄関ドアまでは屋根のあるポーチになっているので雨に濡れることもありません。
靴箱の上がフリーになっていて、一見お店のディスプレイのよう。
京都市産材供給協会のプレートと、みやこ杣木の認定証が鎮座しています(笑)
ゼロホームの平成の京町家モデルハウスへのこだわりは、「風・光・庭」。
庭が三か所も配置してあって風が通り抜けます。吹き抜けの天井からは光が。こんなに現代的でありながら玄関から見通せる庭は、町家の「うなぎの寝床」を少し、思い起こさせます。
靴をぬいで、ゆっくりした段差を上がれば目の前に広がるキッチン。
たっぷりと外光や風を感じながらダイニングテーブルを見渡せるアイランド型。シンクにはおしゃれなグース・ネックの水栓です。
特に感じたのが採光。照明もいらないくらい明るく、大きな窓を開けると風が通って気持ちいいだろうなぁと思います。
そして窓の目隠しは縦格子で、京都らしい和風な感じもします。
奥に見えていたのが洗面所・バス・トイレ。
最近は洗面ボウルを上に置くのも流行っていますが、こちらは埋め込み式のアンダーボウル。スッキリとしたデザインです。
仕切りの向こうにトイレ。個室ではないので完全バリアフリー、無駄を省いたシンプルな設計だと思います。勿論、換気も万全。
透明ドアがチョット恥ずかしいかも?なバスルームです。明るくて広い!
床はタイルではなくて、ウレタン素材のようなフッ素コーティングのような。。あたりが軟らかく、撥水性が優れているものです。
中庭はウッドデッキ風。玄関から直通で抜けられるドアがあります。ここを解放すると風がす~っと通り抜けて夏も快適でしょう。
近代的でありながらも細かなところに昔の智恵が取り入れられています。
入って左手の和室。平成の京町家ですから、やはり和室がなくてはですね。こちらは客間としても使える、趣きのあるつくりです。
丸窓は何か料亭の一室のよう。しいて言えば・・・小さくてもいいから床の間があったらもっと素敵かも(笑)
リビングはたくさんの関係者で賑わっていました。設計担当の女性も大忙しです。
それでは二階へ行ってみましょう。全体的に白を基調とした清潔な明るいイメージの中、手すりや窓枠の黒がきいています。
階段の途中にもこんな窓があります。寝室を壁で閉鎖しないでこの窓を開けておくとここからも風が通ります。
デザインは古都をイメージしたようなレトロ感。
上からリビングを見下ろしてみました。吹き抜けになっているので高く、より広々とした空間づくりが実現しています。
二階のフロアです。現在は様々な展示物がありますが、どのような間仕切りも可能。家を建てる時、出来るだけ大きな区切りにしておくのがベターだと聞いたことがあります。
狭く区切った部屋は壁を壊して広くするのが大変です。例えば子ども部屋を作ったり、書斎を作ったりなど広いフロアを区切るのは自在だからです。
収納やちょっとした遊び場に楽しい、ロフトもあります。天窓からの光が部屋全体を明るくしています。
さて寝室へ・・・いよいよ京都市産材の登場です。檜特有の、少しピンクがかった色はとても優しく木目が美しく、手触りもすべすべ。
今回は節のないものが準備されたようで、よりクリアに極上な雰囲気が味わえます。
寝室ですので、窓の格子が採光をやわらかくしています。
先ほど、階段の途中で見えたまどは内側から見るとこんな感じ。
その窓から顔を出してみると・・・リビングやキッチンの様子が感じられます。いつも、どこにいても風とコミュニケーションが流れる住まいです。
壁一面のクローゼットで収納は十分。
フロアからベランダに出てみましょう。
広いベランダからは京都の景色が一望できました。
これならお洗濯ものはたっぷり干せますし、子ども達の良い遊び場になりそうです。
ベランダからは中庭のウッドデッキが 見下ろせます。「ただいま~っ」「は~い、お帰りなさ~い」なんて声が聞こえてきそう。
KYOMOのモデルハウスの中でも、ゼロホームは施工例や建材を詳しく展示していました。
実際に見ることで、どんな木材をどのように施工しているか知ることが出来ます。
勿論、「みやこ杣木」の宣伝も!
いかがでしたでしょうか? モデルハウスですから、見るもの全てが素敵でいいなぁ!と思いますが、この「平成の京町家」のモデルハウスそれぞれが確かなコンセプトを持っていました。
デザインが違っても、自然の力を借り、自然と共に人々が暮らしていた昔の町家の智恵を取り入れた家。現代人が忘れがちなものを住まうことで思い出させてくれるような家。それが平成の京町家なのかも知れません。
そこに京都市産材「みやこ杣木」が使われることで、住まうことが京都の森や林業に携わる人たちを豊かにするなんて、何て素敵なことでしょう。
こちらは京都建築専門学校の建築家「卒業制作木工コース」の学生さんが建築している伝統型モデルハウスです。
先月には大勢の方が参加しての荒壁塗り体験イベントが行われました。来春完成予定、とても楽しみですね!
今回はゼロホームの内部をご紹介しましたが、この他二つの住宅会社のモデルハウスが展示されています。
それぞれの思いを込めた、平成の京町家。モデルハウス展示場KYOMOへ一度足をお運びになってはいかがでしょうか?