大寒を過ぎ、雨模様ですが気温が高かった週末。まだまだ早いかも知れませんが、今回は少し春の気配を感じる工芸品をご紹介しましょう。
こちらでも駅ナカふるさと出会い市や年末のご挨拶で何度か登場した干支の置き物や、北山丸太以外の木も使用して木工品を製作されている京北町の葵工芸さんを訪ねてみました。
中川とはまた違い、広々とした自然の中にある工房の内部は整頓されていて、それだけでもきちんとしたお仕事だと言うことが伺えます。
恐ろしげな工具がいっぱい。
ふと上に目をやると窓際に祀られているようなもの、あれは何かしら?
その昔、こんな大きな鋸で背割りをしていたそうなんです。いつの時代の、誰のものかは判らないということですが何だか神さまに見守られているみたいですね。
これはくり貫く機械。他にも製材する機械があります。
欅(けやき)の臼をくり貫く作業の途中です。こうして、線のところまでだんだんとくり貫いて行きます。欅の木目はまた、杉とは違った風合いです。ものすごく太くなりますから丈夫な臼になるのですね。
さてさてこの可愛らしいものたちは何でしょう?
あっ!お雛さまです。胸元の合わせの部分は手描きですが、扇は木に細い注射器のようなもので染料を染み込ませるのだそうです。こうすることで年輪を消してしまわずに自然な色合いに仕上がります。
工房の奥には別室があり、そこでの作業を見せていただきました。今回協力して頂いたのは息子さんです。サラリーマンを経て、29歳からお父様のもとでこの仕事を始められ、息子さん考案の干支シリーズはもう一周したそうです。
大きなダクト?! これは作業の間、大変細かい木の粉が出て空気中を舞うのでなるべく人が吸い込まないように外へ送り出しています。
それでもほら、機械の周りには黄な粉のような細かい粉が積もっています。
「今はどんな作業をしておられるのですか?」
before 【使用前】
「杉の細かいヒゲや、凸凹を細かいやすりでなだらかに整えています。」
after 【使用後】 こんなに綺麗になりました。
それでは春のラインナップです。お借りしてみんなでワイワイ言いながらディスプレイしてみました。画用紙を並べてみたり、スタッフの一人が手持ちの和風ハンカチを出してきてくれたり…
お内裏さまとお雛さま。北山丸太の素朴な風合いを生かして、お内裏さまは肩が張った感じ、お雛さまはまぁるい優しい肩です。
そして五月人形、兜です。これも人形店で販売されているものとは一味違い、手作り感いっぱいです。
でもやっぱり、真ん中は何故かバウムクーヘンに見えてしまいます。^^
同じく端午の節句にこいのぼり。
懐かしいような温もりが溢れています。兜と併せて飾るといいですね。
丁寧に梱包された、箱の底には一枚の紙が入っています。
「北山杉
山は高くも、そう深くもない。山のいただきに、ととのって立ならぶ、杉の幹の一本一本が見上げられる程である。霧が樹間を流れる日、粉雪が飛ぶ日、北山時雨が音もなく降る日、雑木が紅色に燃える日・・・・
それぞれの日に違った新鮮さで、北山杉の山を知る事ができる。
春の苗木植えに始まり、夏の枝打ち、秋の伐採、冬の丸太磨き等、様々な人の手をかけて全国に送り出される銘木である。
北山丸太が特殊な建材として価値を認められたのは明治以降のことであり、床柱、化粧垂木、床框(かまち)等にこの磨き丸太が使われています。
北山杉は京都府の木に指定されています。」
葵工芸の木工品を手にされた方は、きっと必ずこの文章に目を通して頷かれることでしょう。
整頓された工房で生まれる美しく愛らしい作品たち。
お父さんの経験と技術にあわせ、息子さんの新しいアイデアが更に磨きをかけています。
是非ともこの、季節のお人形や置き物もお父さん、お母さんから子ども達の世代へ受け継がれて行って欲しいものです。
葵工芸はこの他、オーダー家具なども製作しています。詳しくはホームページを訪ねてみて下さいね。
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