「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

The making of 「素材の素」.

2012年12月10日 | 北山杉加工品

日ごとに寒さが増していくようになりました。既に雪の影響で列車や飛行機にも影響が出ています。

朝、バケツに張った氷。少し陽が射してくると樹々を包んだ霜が雫となり、冬の青空には静謐な空気が漂います。

そしてまた水彩画のような白い線、飛行機雲。

旅客機は人々を安全に運ぶだけでなく、より心地よく機内で過ごせるよう様々なサービスが提供されています。 

 

機内誌もその一つ。ANAは毎月「翼の王国」を発行し、持ち帰る方も多いほどその内容は充実しています。

その中で、デザイナーの小泉誠さんが隔月連載しておられるコラム、「素材の素」の取材のため北山杉の里に来られたことは少し前にお伝えしました。

一体、どのような誌面になるのかとても楽しみにしておりましたが、先日「翼の王国」12月号が届きました。

コラムを拝見しながら、取材のあれこれを懐かしく思い起こします。今回は、その時のメイキング写真です! 

 

ここは・・・来られたことのある方なら一目瞭然! 美しく手入れしてある北山杉が一望できます。小泉さんもスタッフの方々も「おぉ~~!!!」

人気のある草もち屋さんの隣です。まずは撮影の前に草もちを購入されましたよ。そして季節がら飛び交っていた赤とんぼにも夢中で、ライターさんの帽子に止まったアキアカネにシャッターチャンス! まだまだ回るところはたくさんありましたが、幼い頃に帰ったようなひと時でした。 

 

次は皮剥きの実演です。手によるものと機械と両方ご覧いただきました。職人の手により見事に剥けていく荒皮の様子、剥けたばかりの木肌のしっとりしていること!じっと見つめておられます。

 

小泉さんも丸太の切れっ端を持って皮剥きに挑戦?楽しそうです。

 

小泉さんが剥きたての立派な杉皮を持ち上げて「重いなぁ!」

状態のいい皮は商品になります。自然のままを生かした色や風合いは日本建築には欠かせない要素でもあった時代がありました。侘び寂びは外から見れば日本人独特の雰囲気のように言われますが、本来モノを大切に使い自然とともに暮らすという考え方から生まれたものかも知れません。

今では時間効率が良いことから高水圧の機械で剥くことが多くなり、細かく砕け散った皮は燃やしてしまいますが、例えば手漉きに混ぜて和紙にしたり消臭剤に使われたり、リサイクル・リユースもされています。 

 

さて誌面を見て最初に驚いたのが、タイトルの大きな文字とともに北山杉の緑ではなく「水」の写真であったこと。

これがその撮影シーンです。先にも書きましたが夏の集中豪雨で菩提の滝へ行く菩提道はところどころ陥落してとても危険な状況でした。

にもかかわらず、小泉さんとスタッフさんは強行突破! 

 

滝を撮影するカメラマンさん。

普段ですと何とか靴のまま向こう側に渡って滝を正面から見ることが出来るのですけど、水かさが増してとても無理。こんなこともあろうかと長靴を履いていたので、お貸ししました。お役に立てて幸いです。(笑) 

 

もう水が冷たく感じられる筈なのに皆さん裸足になって菩提の砂を集めて撮影をされました。

ここに時間をかけたのも、小泉さんの「菩提の砂」への想いが強烈だったことが今なら理解できます。

これまで様々な取材を受けましたが、大抵は杉木立や大きく聳える台杉などの写真が前面に出されています。

けれど「素材の素」の一面は繊細な表情の砂と、そこにたゆとう流れる水でした。

この世に生きるものの源、水。そしてその水が菩提の赤砂(あかご)を運んできている。伝説の旅の僧が言った「あの滝壷に沈む砂で丸太を磨いてごらんなさい。」

北山杉が北山丸太としての命を与えられたそのルーツは水にあったと、小泉さんは菩提の砂の中に「素材の素」を見出されたのではないでしょうか。 

 

たくさんの箸状あて材が巻いてある、人造絞も撮影されました。 

 

ちょっとピンボケですが(^^ゞ、小泉さんのカメラにはきっと素晴らしく写っていることでしょう。 

 

失われてはいけない伝統がここに守られています。どこまでも続く台杉とまだ固いススキの穂。 

 

こちらはナーサリー。私は幼稚園などとも呼んでいますが、植林の時を待つ若い杉たちが鹿や猪などの動物から守られています。 

 

掲載された写真は、やはり「流石だなぁ」と感動する美しさ。砂の一粒ひとつぶが手に取るようだし、幼い杉たちの緑はちゃんと幼さが残っているのを捉えています。 

 

聴こえてくるのは鳥の囀りと虫の音だけ。しばし時を忘れて苗床を前に語らう皆さんの姿がありました。 

 

そして撮影の最後は小泉さんデザインの「イマトコ」シリーズが展示してあるモデルハウスです。

イマトコは言わば小泉さんの子どものようなもの。

ソファやテーブルの一部に使ってある北山丸太のふるさとを一日回って来られて、感慨深さもひとしおなのでは。 

 

小泉さん自らテーブルをヨイショと持ち上げての撮影。絞り丸太を使った脚が空に舞っています。 

 

優しい手触りのソファーの肘掛撮影に手タレさん登場!生産組合の前専務(現在は理事長)も何とレフを持って撮影に協力しました。 

 

 

長かった取材が終わりを告げる頃・・・小泉さんやライターさんの心にはどんな想いが慕っていたのでしょうか。

時代とともに暮らしが変わり、それと共に着るもの、使うものがどんどんカタチを変えて行きます。

「伝統」と一言で言ってしまえば、もの凄く良いもので一生変わらないような印象を受けますが、実際はどうでしょう。

使う人がいなければ繋ぐことも難しくなり、過去の栄光であり高価な飾り物としか扱われないかも知れません。

だから、人は続けようとします。二部式の着物?そんなの着物じゃない、丸太が家具の一部?丸太は真っ直ぐ長いまま、柱に使ってこそ北山丸太なんや!

そのご意見もごもっとも。

けれど、カタチを変えてもその姿が見る人の目に映り、手に触れる限り少なくとも伝統は受け継がれ、素材のふるさとは生き続ける。

そのことが小泉さんの創るモノの源となっているのです。

今回、取材に同行させて頂いて私たちが見慣れている北山杉や北山丸太をまた違った視点で考えられるようにもなりました。

「翼の王国」をたくさんの方が手に取って、「素材の素」のページがその目に触れる時・・・生き続ける北山丸太のふるさとと小泉さんのアツい気持ちが伝わればいいなぁ・・・冬の空にキラリ、駆けてゆく飛行機を見上げながら思うのでした。(了)

 

 

 

 

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