「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

里山問題に想う

2013年08月01日 | 日記

皆さんは「ナラ枯れ」というものをご存知でしょうか?

里山の美しい紅葉! ?でも、周りの木はまだ緑のまま???

近くで見るとこんな感じ。そう、ナラ・シイ・カシ等のいわゆる「ドングリの木」だけが枯れているのです。

これが「ナラ枯れ」と呼ばれる現象で、私の家の近くにも沢山見られます。

犯人はこの虫、「カシノナガキクイムシ」が運んでくる病原菌で、1980年代以降大量発生しています。

これら「ドングリの木」は元々薪・炭の原料で、その需要激減により、抵抗力の弱った老木が増えた事がその主な原因です。

また、1970年代以降に大量発生している「マツ枯れ」により、競争相手が減ったことも一因です。

 

 公園のようにきれいに下草を刈って整備しても、逆に「カシノナガキクイムシ」の格好の餌食になるというからやっかいです。

 「ナラ枯れ」の根本対策は、単純明快、“成長した木を伐って使う”ことです。

 

  

皆さんおなじみのタケノコ、とても美味しそうです。

 しかし、輸入タケノコとの価格競争に敗れ、管理されない竹林は荒れ放題。これではタケノコは出来ません。

更に、生命力の強い竹は野放図に拡大しています(鳥取:赤線内が30年前、黄線内が現在)。

竹林は、人が管理して竹やタケノコをどんどん使わなければ暴走するばかりなんです。

 

 

シカ!可愛いですよね!

鹿氏!いや、しかし、保護の行き過ぎと狩猟の衰退により、山に甚大な被害をもたらしています。

樹皮がこんなに食べられています                

正常な杉苗はこうですが、

シカに芽を食べられて上に伸びなくなっています

シカの食害に遭った苗を植替えたのですが、多くが枯れてしまいました

 

桧のシカ食害防止ネット。膨大な手間と費用が掛かりますが、それでも完全に防げません。

今やシカは日本の農業・林業最大の“害獣”です。

生産者の防御にも限界があり、山の生態系維持の観点からも、シカは“適正な捕獲”が必要です。

 

時代の流れにより、日本人の生活様式も変わり、山との関わり方も問題点も大きく変貌しています。

これらの「里山問題」はそれらを我々に明確に告げているのではないでしょうか?

 

日本の里山の木々は、マツもドングリの木も竹林も、“手付かずの自然林”ではなく、元々人が管理していたものです。

スギ・ヒノキ等の建築に使われる針葉樹林は言うに及ばず、殆どが人工林です。

 

今必要な「管理」とは、ある意味明快で、“伐って(獲って)使う”ことです。

困難は山ほど(山だけに(^^;)あると思いますが、資源はそこにあり、使われるのを待っているのです。

 

 

世界の木材の3分の2は実は先進国で生産されていて、オーストリアの貿易黒字の5割は木材産業が稼ぎ出し、世界有数の自動車生産大国であるドイツの木材産業の雇用人口は自動車産業のそれをしのいでいます。

そのドイツは日本の人工林とほぼ同じ面積から、日本の4倍以上の木材を生産しているのですが、逆に考えると、日本はドイツ並みの木材生産が可能なだけの資源を持っているということになります。

もちろん、林業のインフラから行政から何から何まで違うので、日本とドイツを同列に考えることはできないのですが、我々は“宝の山”を確かに持っており、それが今まさに危機に瀕しているのです。

 

日本の林業がこのまま衰退を続けるのか、新たな日本経済の成長エンジンになるのか、その選択をするのは我々自身です。

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