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「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

2024年度の振り返り~東京建築士会女性委員会様 視察編~「北山杉エクスカーションツアー」

2025年03月20日 | 北山杉体験・研修

本日もご訪問くださり誠にありがとうございます。

本年度は北山杉利用推進プロジェクトの取組のひとつとして、北山丸太を知ってもらい使ってもらうきっかけづくりとして、東京建築士会女性委員会のみなさまに当京都北山丸太生産協同組合及び京北銘木生産協同組合にお越しいただきました。

ツアーは秋の終わりを感じる2024年11月18日に開催されました。

当日は京都市内では晴れていたものの見学時間の午後は天候が崩れ、名物「北山時雨」がご到着をお迎えいたしました。
「北山時雨(きたやましぐれ)」は京都独特の気象現象で、一気に雨が降ったかと思うとさっと止んで、晴れはじめ、そうかと思ったらまた大雨になるというものです。

京都北山丸太生産協同組合に到着後、まずランチタイム。昼食をとっていただきながら中川地区および北山林業の歴史について、北山丸太についてPRビデオを見ていただきました。

 

今回は建築士様中心の視察ということで、家づくり・モノづくりにはストーリーつくりも必要と、北山杉の物語をご案内しました。

北山杉の魅力はこの中川地区を中心とした「北山杉の里」での「山稼ぎ」(林業)にあります。急峻な山々が連なる北山では平地が少なく、わずかな土地に集落が点在していましたが、農業には向いていませんでした。

厳しい環境と立地で生きるために育て方を工夫し、遺伝子を選び抜き、表面を磨くことで付加価値をつけ、村を繁栄させた北山の先人たちの知恵のストーリーを徒歩で巡りました。

 

➤中川地区巡り
中川小学校バス停前の「京都府の木」に選定された記念碑から見学をスタート。


中川八幡境内にある北山杉の御神木をご覧いただきました。


中川地区にある北山杉の母樹といわれている600年のシロスギのその大きさにも感動していましたが、そのシロスギが無花粉遺伝子をもつ杉ということにも興味を持たれていました。

➤生活者が使う山道を抜けて…

ここからは徒歩で中川地区を散策。大台杉を目指しました。

色づく山肌の美しさを写真におさめようとつい、足も止まります。

 

弱い北山時雨の中、「貴船菊の寺」「花の寺」と呼ばれる宗蓮寺を通りました。

普段は非公開のお寺ですが特別に許可をいただき入らせていただきました。

参加のみなさまからは「庭木としての台杉と紅葉のコラボレーションが大変美しい」「目の前の北山杉の借景にこころが洗われる」とのご感想をいただきました。関東には台杉の庭木を見ることが少ないそうですので、造園アイデアとしても活用したいとの事でした。

 

➤「北山大台杉」に母の強さを…大台杉見学

いよいよ樹齢400年の大台杉に到着。狭小の土地に母樹を作り、その木で何本もの北山杉を育成するその技術と、それを支えぬいている樹齢に感動が集まりました。

女性の集まりなだけに「母としても尊敬する!」との感想が…

母は強し…ですね

➤産地問屋見学

山を下り、今は使用されていない北山杉の倉庫群を見学したあと立ち寄ったのは「山の麺どころ」です。

葉っぱの笑顔がお出迎えでした

ここはかつて「中仁(なかに)商店」という屋号で北山丸太のお商売をされていた産地問屋。中川地区には宿泊施設がなく、昔は北山杉を買い付けに来た業者さんたちは地元の産地問屋に宿泊していました。

そんな中川地区の生活を京都北山の文化遺産と風景の保全に取り組む建築史家で京都芸術大学の本間智希先生に解説していただきました。

散策のあとでお疲れの皆さまに、中川地区で唯一の草餅専門店「北山の里」さんの草餅とお抹茶でおもてなし。北山の味を堪能していただきました。

➤北山丸太ができるまでを体験
続いては丸太磨き体験を行いました。

小雨のため組合の倉庫内での実施でしたが、磨いているとこだわりが出てついつい熱心になってしまうようで、みなさんとても熱心に丁寧に磨き作業をしていました。

そのまま倉庫内の丸太の見学を行いました。

➤京北地区へ

京都北山丸太生産協同組合の見学を終え、次は京北銘木生産協同組合へ移動。
御杣御料地として平安時代から木材を供給してきた京北は北山丸太をはじめ、杉・檜・香木、良母、赤松、名栗、桜、椿などさまざまな種類の木材を扱っています。

丸太のみならず腰板・壁板用製品も開発しており、参加者からは価格や使用事例などの質問を受けました。

さすがに設計士さまのツアー!
新たなプロダクトや住宅などの設計のヒントになったでしょうか?

活用していただけるとうれしいです(ドキドキ)

➤「北山杉」の未来のためのディスカッション

倉庫見学のあとはツアー参加者とコンソーシアムメンバーとの意見交換会。

「北山杉」について気付いた点や新たな活用方法などが話し合われました。

今現場で活躍されている建築士として、また女性ならではの鋭い意見や質問が出ました。

 

短い時間の中でとても有意義な時間でした。
「あらたな形で北山杉を活用してみたい」というご意見もいただき、これから北山杉がどのような形で活用されていくかとても楽しみです。

「また訪れたい」という感想もいただき、是非またゆっくりと北山杉の里をめぐって頂きたいと思います。

 

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2024年度の振り返り~視察編~「日本ウッドデザイン協会様視察ツアー」

2025年03月20日 | 北山杉体験・研修

本日もご訪問下さり誠にありがとうございます。

今年度も多くの方に視察にお越しいただきました。

昨年6月26日27日に開催された一般社団法人日本ウッドデザイン協会様の『木の魅力、京都の深みに触れる2日間』京都視察会で北山杉の里中川をガイドさせていただきました。

1日目に京都大学百周年記念館で行われた講演会及び京都市木材関係者との交流会では京都の木材の取り組みとして、京都市産業観光局農林推進室 林業振興課 木の文化推進担当課長 林達朗氏より北山杉利用推進プロジェクトの御紹介をいただきPR BOOKを配布しました。

京都で木材利用に取り組んでいる魅力あるメンバーを紹介する京都市の林課長

北山杉の魅力が詰まっているPR BOOK。

2日目の27日には、株式会社奥谷組展示資料館見学と京都市茶室見学で京都の木の文化を理解していただきました。

高度な技術と美意識を誇る日本の社寺建築専門の奥谷組。展示資料館にて代表取締役社長の千田真由美氏が社寺建築の技術について解説しました。

国内外の来賓らを受け入れる「正庁の間」の控室として設けられた「茶室」を株式会社千本銘木商会 専務取締役 中川典子氏が解説。北山杉の魅力から茶室に使われている工匠の技、茶の湯のマナーなどを交え茶室の魅力を伝えました。

いよいよ北山杉の里・中川地区の見学。

京都北山杉の里総合ンターにて昼食をとった後、「中川地区の歴史と北山林業」についての座学を行いました。

➤枝打ち実演

続いて枝打ち作業見学です。

北山杉利用推進プロジェクトのメンバーでもある、京北銘木生産協同組合の一瀬章弘理事による枝打ち実演を行いました。

現在、枝打ちを行える熟練の職人は10名程度と後継者不足になっています。 ハシゴを使わずスイスイと木に登る熟練の技に、見学者からは驚きのどよめきが上がりました

今回は低い木での実演でしたが、高い木になると一日中そこで過ごすことになります。

知識として知っていることも実際見学していただくことで、北山林業の成り立ちと現状を感じていただいたと思います。

枝打ち見学を終えて、続いて磨き丸太体験と倉庫の見学を行いました。

➤皮剥き体験

まずは皮むきの体験から!

北山丸太の伐採から磨き作業までの工程を説明しました。

皮剥きの実演。

ひとりひとり体験していただきました。昔は木肌を傷つけないように「へら」で皮むきをしていたので、今回はへらでの皮むき体験。

きれいに皮がむけたときにホッとすると同時に「きれい!」という声があがりました

➤丸太磨き体験
続いて丸太の磨き体験です。
「菩提の滝」で採取した砂で磨きを体験していただきました。

砂で磨くことで光沢の美しい北山丸太が出来あがります。「スクラブ洗顔みたい♪」

この砂が傷つけない絶妙な粒子だそうで…。昔の人の知恵に感心。

本来は秋から冬(9月~11月)にかけて伐採し皮をむき、そのあと一か月の天然乾燥の後、1月から3月に磨きをかけさらに半年以上倉庫内で乾燥させる北山丸太。美しく仕上げる作業における自然環境の条件などの解説をし、このように手をかけて作られる北山丸太の価値がどのように評価されていたかご説明しました。
近年は、機械化が進み専用の高圧の洗浄水圧機で仕上げますが、参加者からは「雪の降る時期にこの作業は厳しそう」と声があがっていました。

➤倉庫内見学
続いて盛り上がったのは展示倉庫内でした。

様々な形の磨き丸太を見学し、丸太の価格の質問や変形の磨き丸太などの用途についての質問がありました。
やはり建築の現場の方々の集まり、今後北山杉の活用方法や価格についてなどのご意見がありました。

組み立て式茶室にも注目が集まりました。

➤中川地区の見学

続いて徒歩で中川地区の見学を行いました。
まずは北山杉が京都府の木に選定された事を記念する石碑の見学からスタートしました。

続いて中川八幡境内にある600年のシロスギの御神木を見学しました。

次に大台杉の見学です。
中尾山 宗蓮寺の横を通り、樹齢400年といわれる大台杉まで歩きました。
山に沿って歩いていくと中川地区の美しい景観が一望でき、凛とした北山杉の姿を楽しんでいただくことができます。

大台杉は「台杉仕立て」という萌芽更新育林技術です。苗不足の解消法として編み出された技術ですが、現在では海外からもサスティナブルな育林技術として注目を集めています。

一社)日本ウッドデザイン協会様では、木を使い、木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的とした新たな時代の価値づくりを「ウッドデザイン」と定義し表彰を行っています。

北山杉の里中川での北山林業の視察を通じ、「台杉仕立て」という世界でたった一つのユニークな「林業のウッドデザイン」を後世に伝えていただくためにぜひ北山丸太を活用していただきたいです。


ご来京ありがとうございました

 

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