外は暗く雨が降っているのがわかる。しぶしぶ寝床を這い出しても、うーっ、寒っ！とぶるぶるっとくる冷え込みは失せた。
ひと気のない六畳の間を覗けば、ひな壇に白く浮かび上がる人形の顔がある。桃の花を飾り、小さかったわが娘を膝に乗せてその前に座る母が見える。人形も、また巡ってきた春に大きく息して生きているかのようだ。その白い肌、美しい衣装に今を刻み込んでいる。
いろいろな思い出が交錯する三月。やはり心弾む「三月」の声。
日高川を渡って塩屋へ入った前回。熊野古道は塩屋から上野、海沿いに印南（いなん）に続き、切目王子へと歩くコースが待っている。
海のない大和人は紀ノ川筋を経て三日も四日もかかって広大な海洋にめぐり合ったという。眼下に和歌の浦の入り江を見下ろしたときの喜びは…。藤白峠の頂上、御所の芝から目にしたあの一望はまさに絶景、だったが。
平坦な道が続く。変哲もないコースだと受け止めてしまえば、退屈極まりなく疲れは大きいかもしれない。万葉に歌われた明るい紀伊の沿海地。この「風土景観の刻々の変化は、壮麗な南海の交響楽を奏でているようだ」と犬養孝さんは言われた。
これもまた熊野の文化に触れる小さな旅だろう。その一回一回の満足感は案外意義深いものだとちょっとだけ自負している。
疲れたー！と滅入りそうなときがある。ただ、ほんの5パーセントでも楽しもうとする気持ちが残せているかどうか、これを失わずにいられることが自分の強さだろうか…。新たな一歩も更新したい。
（なで大黒さん。脚も足も膝も念入りに撫でなで～）
ひと頃の寒さが薄らぎました。いよいよ心弾ませる三月。
新たな気合いを込めたいですね。
そんな意味でも格好の、熊野文化に触れる古道ウオーク。ええですね～。
今回は太平洋に面する海岸線ですか。
一回一回の満足感は、疲れたー！と滅入りそうな気分を一掃してあまりある思い出を残してくれるのでしょうね。
これまでとは少しことなる空気・陽気・潮の香り・・・楽しみですね。
Keiさんには
『思い出が交錯する三月。心弾む「三月」』なのですね。
歳月人を待たずと言いますが、月が改まるときには私も何がしかの感慨を覚えます。
熊野行はもうすぐですか？
楽しんでいらして下さい。ご報告楽しみにしています。
私にはなで大黒さんはおわしませんから、足腰お守りで。
惹きつけられる言葉ですね。
今度はその太平洋を右に見て歩かれるんですか。
yattaro-さんじゃありませんが
「ええですね～」と思わず出てしまいます。
藤村の「椰子の実」はこの辺の事でしたっけ？
日焼け止めもお忘れなく。
ですが毎回出発に当たって少しの不安とも一緒です。
2回目、山中の古道で遠く広がる海を目にして心はずんできました。
今回は南東方向に大海原がながめられるのでしょう。この景観を目に焼き付け、潮の香りを期待してます。
台風で荒れ狂う海でもありますが、お天気もまずまずのようです。
春本番前の準備期間、できれば今回もクリアーして弾みをつけられたらと思います。
5日、今回はこうした大海原を楽めそうです。何かひとつでも目的を持たないと、
連れて行ってもらうことで終わりそうです。
黒潮が流れ荒れ狂う大きな波が打ち寄せることもある太平洋。
台風の通り道にもなる潮岬を思い出します。
日頃海を見ることがなく、今回はどのような光景が眺められるのか、
楽しみです。
椰子の実、柳田國男の話は伊良子岬のようですが。