〈3学期・始業式式辞〉
◆この冬という季節は、12月、1月、2月の3ヶ月です。
ですから、きょう、1月15日というのは、冬の真ん真ん中ですね。
古来、日本では、この冬の真ん真ん中に、寒中稽古、寒中水泳等を行うという慣わしがあります。
わたしの母校の中学校は、この時期に登山をやっていました。
耐寒訓練(寒さに耐える訓練)といって、大阪でいちばん高い山、標高1125メートルの金剛山に登ります。
雪に覆われていますから、ツルツル、ツルツル、ほんとうにたいへんでした。
もちろん、ギザギザのアイゼンとか、軽アイゼンとかはないですから、みんなで靴に縄を巻いて登りました。
というか、登らされました。
冬の真ん真ん中の寒さに耐えることによって、精神をひきしめる。
身も心も鍛えて、強くする……ということです。
わたしたちも、新しい年のスタート、きょうのこの極寒(たいへん寒い)始業式を、精神をひきしめる、そして、自分の心(みなさんひとりひとりの「決意」「夢」)をポンと押して勢いをつけてやる1日にしましょう。
◆まず3年生に。
3年生は、これまで、みなみの新しい歴史を創ってきました。
「歴史を創った学年」といわれるくらい、名誉なこと、うれしいことはありませんよ。
これまで、学習面で、あるいは、合唱、委員会活動、部活動を含む生活面で、0.1ミリずつ創ってきた「歴史」に、3学期ははっきりとしたカタチを与えて、2年生にバトンタッチしてほしい。
これから、入試直前の猛勉強。
面接の練習もあります。
カゼも流行るから健康管理もたいへんです。
そして、合格発表……卒業式。
もう、ほんとうに、あわただしく、めまぐるしく、人生の中でも、もっとも、心の揺れ動く時期といっていいでしょう。
このあわただしさに、ただ、流されていくのではなく、これまでのように、学年プロを中心に、みんなで力を合わせて、 0.1ミリずつ、(念のためにくりかえすけど)学習を通し、委員会活動を通し、清掃活動を通し、卒業式練習、卒業式本番を通し、みなみの歴史に、くっきりとしたかたちを与えてほしい。
いいものは、確実に伝わります。
ほんものは、確実に伝わります。
今度の3年生(今の2年生)に伝わる、それがまた、その次の3年生(今の1年生)に、またその次の、またまたその次の……そして、今、まだ生まれていない、みなみ中生にも伝わっていきます。
このことがみなみの力になるとともに、(みなみでわたしたちはこんなふうに生きたのだという自信が)、みなさんの新しい世界を拓いていくことにつながると信じます。
3年生の奮闘努力を期待します。
◆次に1・2年生に。
大事なことだから、わたしは、何度も何度も言います。
わたし自身の人生を振り返ると、人生の方向を決定づける、大きな決断は、ほとんどこの時期に、このピリッとする冬の真ん中で、決めています。
よし、この高校にしよう。
この大学にしよう。
この職業につこう。
こんな人間になろう……というのもある。
こういう記録が出せる選手になろう……というのもある。
こういうプレーができる選手になろう……というのもあるでしょう。
オリンピックに出る……というのもあるかもしれません。
こんなふうに、はっきりとしたかたち・方向を与えてくれぇ~といっているエネルギーが、今、みなさんひとりひとりのなかに充満しています。
長い人生の中で、今、いちばん、そういうエネルギーが充満してる時期でしょう。
そのエネルギーに強いかたちを与えてやるという決断。
この決断から逃げないようにしよう。
決断して、こんなこともやってやろう、あんなこともやってやろうと、どんどんチャレンジしていってほしい。
1年生のみなさんの大きな決断に期待します。
2年生のみなさんの強い決断に期待します。
◆最後にわたしの原点。
わたしの原点は、これ(「清貧」←張りもの資料)です。
以前、青春とは貧乏でなければいけない……親に金を使わせているようなのは青春とは言わないと言いましたけれども、清貧=貧乏だけれども、志・夢・希望は高い……これがわたしの原点です。
ひとつ、自慢をしますけれども、わたしは親にお金を出させないで大学を卒業しています。
そのかわり、すごく貧乏をしました。
大阪みなみに空堀通り商店街というのがあります。
「空堀」というから、昔、大阪城の堀だったんでしょうね。
すごい坂道で、長~い商店街です。
わたしは、1円でも安いチキンラーメンを求めて、店をのぞきながら、どんどん商店街をくだっていって、安いチキンラーメンを見つけて、その箱を抱えて、今度は逆に空堀の坂を登っていく……これが、わたしの原点です。
あるいは、肉屋でウインナーソーセージを2個買う。
肉屋のおじさんが「2個ですか?」と笑って、はかりではかって「なん円です」という感じです。
2個しか買えないんです。
それをアルミホイルでくるむ、バターを少し入れる、それを反射式ストーブの上に載せて焼くと、いい匂いがします。
それに食パン1枚、コーヒー1杯。
これが、わたしの食事でした。
ウィンナーソーセージとコーヒーの香り。
これが、原点です。
貧乏だったし、いつもお腹を空かしていたけれども、希望・志は高い、わたしの場合は、教育哲学を勉強するんだぁ~と燃えている。
2009年、新しい年、またこの原点に立ち返り、みなみ中生、みなさんといっしょに、わたしも、夢を追いかけていくつもりです。
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